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地域コミュニティに足りないのは「決める力」。「やめる活動」を決めるために、ものさしを作っておく。

地域がどこまで進んだか評価できない

「どうせ1年だけの自治会町だから、いつも通り過ぎればいい」

「わしの目の黒いうちは、変えることは許さん」

両極端な意見ですが、どちらも地域の退化を招く考え方です。

全国に小規模多機能自治組織(地域運営組織:概ね小学校区くらいに作られるまちづくり組織)が広がる中で、
各地域で「地域振興計画」や「地域ビジョン」を作っているところも多いです。

岐阜県関市でも小規模多機能自治である地域委員会が立ち上がって6,7年経過しています。現在、当初に立てた地域振興計画の見直しが進められています。
その時に、問題になるのが、果たしてこの計画はどこまで達成できているのか、評価ができないとう点です。

評価のためには、最初にものさし/指標を設定しておく必要があります。

ただ、その数字を事前に把握しておくことが市民ではなかなか困難です。

地域診断で地域コミュニティごとの数値を出す

我々が運営する関市市民活動センターとしては、その指標に使えそうな数字を地域に提供することを一つの事業としてきました。
地域の数値があれば、指標だけではなく、地域が新規事業を作る時、もしくは、活動を辞める時に役立ちます。

今年度、関市の高齢福祉課が一般社団法人日本老年学的評価研究機構 へ委託して、関市の高齢者の数字を調査をして、
「関の地域診断書」として、公表しました
この地域診断書がすごくいいのです。
運動機能低下者割合
閉じこもり者割合
趣味の会参加者割合
スポーツの会参加者割合
情緒的サポート受領者割合
肥満者割合
幸福感のある者の割合
一人当たりの医療費

などなど、50以上の指標の調査結果が全部、小学校区ごとで出ています。
これはすごいことです。

早速、地域からの相談に活用させてもらっています。


先日、関市のある地域委員会が、地域活動に女性にもっと参加してもらうためにどうすればいいか

という相談で、地域の女性のお困りごとを考えるワークショップをやろうということになったのですが、
その時に、地域診断書を使って、この地域の女性高齢者の課題の数字を出してみました。
そうすると、この地域では、全地域中2番目に肥満者割合が高く、閉じこもり者割合も高いことがわかりました。
ワークショップでは、この数字もおみせしながら議論することになりました。

関市市民活動センター通信「しっぷす」では、この地域診断を紹介して、活用方法について特集を組みました。
地域で活動を辞めることを決めるために、指標が必要。「地域診断書」を生かす

市民活動センターのニュースレター

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例えば、上之保地域では、一人当たり医療費の額が全地域中で一番低いですが、主観的健康感が良い人の割合では全体の10番目と低くなっています。これは病院に行きたくても行くことができない状況があるかもしれません。
また、安桜地域では、運動能力低下者の割合が全地域中で一番高くなっています。いかに、高齢者の運動能力低下者を減らしていくのか。
これが健康維持活動を取り組む上での、安桜地域の目指す指標になります。


数字は活用してこそ。
この地域診断を地域で活用するために、関市役所の地域支援職員を対象に研修会も実施しています。

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