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ドイツ語学習の参考書 「笑うときにも真面目なんです」 NHK出版

語学学習本シリーズ第7弾です。
語学学習方法は十人十色。この記事は完全に私見であり、私に合っても合わないかもしれないし、私に合わなくても合うかもしれないという前提でお読みいただければ幸いです。良い相棒が見つかりますように!

今回は参考書というよりは本のご紹介です。

「たのしくドイツ語力をつけたいあなたへ」

と本の帯に書いてある通り、楽しくドイツ語とドイツに触れたい方、真面目に教科書に向き合う勉強は疲れたけど、息抜きにドイツ語に触れるものを探している方にお勧めの一冊です。

著者は日本語でドイツ…と検索すればたどり着くであろう、「職業はドイツ人」マライ・メントライン氏(@marei_de_pon)。twitterでは日本の時事問題なんかに切り込んでコメントしていらっしゃるので、twitterをフォローしていると興味深いです。

◎対象レベル

全てに日本語対訳があるため、読み物として使うのであれば初学者でも問題ないです。ドイツ語自体のレベルはA2〜B1前半程度。 ※主観です
著者が「楽しく読めるように、できるだけやさしいドイツ語にして、読みやすい日本語にこだわりました」と書かれているとおり、ドイツ語も日本語もリズムを崩すことなく読めます。

◎特徴

ドイツ人であるメントライン氏が、ドイツの「あるある」を出発点に日独対訳式で書いたエッセイ。ドイツ語の引っかかりやすい単語には辞書代わりに説明が載っています。全部で16編収録されており、テーマは硬派な政治経済というよりも、ステレオタイプな国民性や、生活習慣に根ざした「あるある」が多いので、気軽に楽しく読めるのがなんと言っても特徴でしょうか。ご本人が「エピソードはあくまで個人の見解ですので、あまり「大真面目」に受け取らないでください」と書いてあるとおり、結果的にステレオタイプを強化しているのでは?と思うネタもありますが、エッセイなので、それもまた面白さです。
ドイツ語の文章は構造が単純な短文を連ねた文章が主なので、特にA2後半〜B1の入り口ぐらいでまとまった文章を話さなくてはいけない際の文章の組み立て方として、とても参考になるのではと思います。
ご本人の音声がダウンロードできるので、ヒアリングもできるのが一石二鳥。

◎注意点

日本語はドイツ語に忠実ではなく意訳なので、ドイツ語からの訳出の訓練には使えませんし、なぜドイツ語のこの表現がこの日本語になるのか?というところは自分で考える必要がありますが、逆にニュアンスはよく掴めます。
自分でも話題にしがちなテーマも多いので、ドイツ語でこう表現するのか〜と表現を真似るような気持ちで使うのが良いかなと思います。ただエッセイですので、ガチガチの書き言葉ではない、という前提で読むべきかもしれません。

◎雑感

軽快な語り口もあって、読むだけなら手軽に1時間ぐらいで読めてしまうのではないかと思います。でもところどころに、ピリッとスパイスが効いている。ドイツのことを全く知らない状態で読んだら、ちょっととっつきにくく感じてしまう箇所があるかもしれませんが、ドイツのことを知ってから再び読むと新しい発見があるというか、噛めば噛むほど味が出てくるというか、スルメのようなエッセイだなと思います。私はドイツへ来る前に読んだのですが、ドイツへ来てから読んで、また新たな発見がありました。がっつり勉強するのはちょっと疲れてしまったけど、何かしらドイツに関係したものを…と思った際の一冊としてお勧めです!


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