20200609

目覚ましを止めて、30分遅く起床する。
寝起きのすっぴんで煙草を吸いに行くのはさすがにもう控えようと思うくらいに6月の朝は明るい。
始業時間に10分遅れて会社に着き、同僚は「昨日忘れていったんですか」と私のデスクにひっかけられたままの日傘を見遣りながら笑いかけてきた。

11時半まで特に空腹を感じなかったので、手元にあるパンとチーズで足りるだろうと思っていたのに、昼のチャイムが鳴ると、決まっていたようにきちんとお腹が空いた。
正午を回ってからのコンビニや飲食店は混むし、外は暑いので買い物へは行かなかった。

仕事がひと段落したのと、気分転換をあわせて郵便局へ行く。収入印紙を買いながら、少し前に発売されたドラえもんの切手シートの見本に、売り切れのテープが貼られているのを見る。
本屋を眺め、エクセルシオールで冷たいメープルラテを注文する。たどたどしい手つきで作られたラテは、もうガムシロップひとつ入る余裕はありませんよという風にホイップクリームがたっぷりのっていた。

夕飯の献立を考えあぐねスーパーをぐるぐる徘徊しながら、郵便局の帰りに立ち読みをした、山崎ナオコーラのエッセイを思い出す。魚を焼く夫についての文章をぼんやりと反芻しながら鮮魚コーナーへ向かうも、手は伸びない。そもそも、生食用のサーモンが既に家の冷蔵庫にしまわれていることを忘れていた。

安くなっていた豚バラのブロックを買い、人が住んでいるのかいないのか、よく分からない平家から、歩道を覆うように茂った枝に枇杷がなっているのを見上げるように歩き、鍵屋で煙草を吸って帰宅する。こちらの花や果実が、東北と比べて1、2ヶ月早く旬を迎えることに、私はいまだに少し心を乱す。どの季節も、記憶のそれより早く訪れ、過ぎ去っていくことが、心細さを連れてくる。
鍵屋の角を曲がると美容室のシャッターが下りていて、毎週この瞬間に、そうか、今日は火曜日か、となぜか噛み締めるように思う。

靴を脱ぎ、スカートのポケットから煙草や携帯電話を取り出しテーブルの上に並べると、エクセルシオールでもらっただけになってしまったガムシロップが一つ出てきた。

夕飯を食べ、食器用の洗剤を買い忘れたことを思い出し近くのドラッグストアまで出かける。よそのマンションの駐車場に猫が行儀良く座り、夜の風に吹かれていた。

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