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近内悠太『世界は贈与でできている』ニューズピックス、2020年、第3章

1 目的の提示  以下において、「第3章 贈与が『呪い』になるとき」の要約を行い、問題を提示、若干の議論を展開する。この第3章では、贈与のネガティブな面が言及される。 2 要約  贈与は時として、「呪い」として機能する。その呪いの効果によって、私たちは、他者とのつながりを求めながら、同時にそのつながりに疲れ果てるのである。家庭、恋愛関係、先輩後輩関係、職場の人間関係、学校のクラスメイトなど、その関係性から離脱することが困難な人間関係を想像してほしい。  ここで「呪い」とは「

    • 近内悠太『世界は贈与でできている』ニューズピックス、2020年、第2章

      1 目的の提示  以下において、「第2章 ギブ&テイクの限界点」の要約を行い、問題意識を提示しておく。この第2章は、第1章で「贈与」に対置するものとして提示された「交換」に、焦点が当てられている。 2 要約  交換の論理とはいかなるものか。「交換の論理は『差し出すもの』とその『見返り』が等価であるようなやり取りを志向し、貸し借り無しのフラットな関係を求め」る。  交換の論理を生きる人間は、他人を「手段」として扱ってしまう。仕事上の関係だけならそれで上手くいくかもしれな

      • 近内悠太『世界は贈与でできている』ニューズピックス、2020年、第1章

        1 目的の提示  以下において、「第1章 What Money Can’t Buy ーー『お金で買えないもの』の正体」の要約を行い、いくつか疑問点を提示する。この第1章は、本書『世界は贈与でできている』全体の導入に当たる。 2 要約  プレゼントには、お金に還元できない「余剰」が生じる。モノを贈るという行為は、モノを「モノではないもの」へと変換させる創造的行為なのである。「贈与」とは、このような「僕らが必要としているにもかかわらずお金で買うことのできないものおよびその移動」

      近内悠太『世界は贈与でできている』ニューズピックス、2020年、第3章

      • 近内悠太『世界は贈与でできている』ニューズピックス、2020年、第2章

      • 近内悠太『世界は贈与でできている』ニューズピックス、2020年、第1章