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コンテンツは、目と耳を没入させるべき?沼るデジタル三角関係

高桑宗一郎

今回は「没入感とマルチとコンテンツの三角関係の行く末」を、プロダクト観点で考えてみます。

動画が得意とする「没入感」は、そのコンテンツ以外への意識をなくして楽しむ。
主役は「」、スタイルは「VR」など。

音声が得意とする「マルチ」は、そのコンテンツ以外への意識と並行して楽しむ。
主役は「」、スタイルは「ながら聴き」など。

「ながら聴き」の現状と未来は、前回の記事でご紹介しました。

そもそもコンテンツにお金を払う理由は?

toC向けのサービスのうち、ヒト⇆ヒト間でお金を払う理由は、主に

  1. コンテンツ(Contents)
    例 有料記事、音声のサブスク

  2. コミュニティ(Community)
    例 オンラインサロン、各種メンバーシップ

  3. コミュニケーション(Communication)
    例 ギフティング、スパチャ

があると思います。
この3つのCを、「体験」観点でマッピングすると↓こんな感じ。

ざっくりとした見方は下記です。
・縦軸に「意味」
・横軸に「コスパ」
・緑色の枠を越えると「イノベーション」

【マッピングの見方例】「イノベーション」と呼べるものって具体的になに?

例えば、「DAO」がイノベーションといえるのは、
・技術観点で「ブロックチェーン」
・構造観点で「非中央集権型の民主組織」

一方で、「体験」観点で現在の標準的な「コミュニティ」と比較すると、
・「運営の自律自動化」でよりコスパ高く
・「全メンバー意思決定者」でより意味が高く
なる意味合いで、上記のマッピングで右上に成長します。

つまり、右上に成長して緑色の枠を越えて、イノベーションといえそうです。

目の没入:長尺と短尺で完全に分かれた「動画の世界」

僕は家にHMDがあるので、酔うまでVRで遊んだ経験があります。
動画は加工合戦です。なので、現実世界との差を生むことが大きな価値です。

結果、日常とは別世界を作る場合が多いです。

だから、芸能人とかハリウッドスターに現実世界でオーラを感じることになるわけです(=偶像化現象が起きる)。
そう考えると、「TVの中の世界」「映画の中の世界」などの表現が、実際に普及しているのも自然ですよね。

一方で、世の中の消費トレンドの1つに、映画とは別物の「ショート動画」があります。2時間が基本の映画と好対照に、10秒前後の短尺コンテンツです。

先ほどのマッピングの話に戻ると、この「ショート動画」トレンドは「コンテンツ」のコスパがぐいーーーーと成長した形で、1つのイノベーションといえます(マッピング内のオレンジ色)。

Q. なのに、なんで映画は長尺のまま成立しているの?

A. この「世界観」に浸ることが価値であるため。
「コスパ良く、一期一会で数秒笑う」というショートの体験とは別物です。

冒頭で「没入感」と書きました。
スマホ画面では「没入感」は生まれにくいです。
映画館では生まれます。

その差は「画面の大きさと空間」で、つまり冒頭の通り「外の情報への意識をシャットアウトする」です。

VRはこの「別世界なのにそこに入った感覚になる」のが過去にない体験(イノベーション)で、これは言い換えると「没入感」です。

※再掲

耳の没入:SoundCloudと擬似ライブUI

この「没入感」は、動画だけでなく音声でも実現できます。

SoundCloudみたいなUIモデルは、タイムスタンプつきでコメントが表示されます。タイミングをピンポイントで刺した(タイムスタンプ)コメントだと、アーカイブでもリアルな共感が得られやすいです。

これはライブ配信のリアルタイム体験の擬似ともいえます。

ライブ配信の視聴は、比較的「没入感」に近い。コメント入力をする、配信者の様子を見たい、などの理由から「目」を画面から離さないためです。

双方向性はライブの大きな価値なので、バックグラウンド再生で聴き専する、そんな視聴者は少ない方かなと思います。

コメント一覧から気になるコメント探してタイムスタンプから追うこともできるので、音声コンテンツでありながら「目」を奪いにいけます。

見逃さない、一つずつ、ピンポイント実況、これは「目」も奪いやすいライブ配信体験の要点そのもの。これを「音声(音楽)」に取り入れることで、音声コンテンツの中でも、比較的「没入感」を勝ち取ることができます。

耳が没入以外でイノベーションを起こそうとしている

3つのCの配置は、僕もざっくりなので改善の余地があると思います。

仮に、これが実状に近いとします。
「意味」から一番遠い「コンテンツ」が意味体験をぶち抜くと、めちゃくちゃ面白いイノベーションなわけです(マッピング内の紫色)。

そしてこの可能性を、一番持っているコンテンツ形式の1つとして「音声」があるなと感じつつあります。

学習やライフスタンスの取り入れと高いシナジーがあり、聴く人が増えるだけでGDPが上がる可能性を感じているからです。

あなたは目と耳を、どう分配させて没入させますか?
どちらも没入させない距離感で、楽しみますか?
また、それは自分の意思ですか(思考停止でハックされてないですか)?

世の中の3つのCは、一生かけても消費しきれない量に到達しています。
その中で、自分の好みを選ぶなら上記の「意味」と「コスパ」のどのあたりを求めるのか。
考え直してみるとより豊かなスマホ生活が待っていると思います。

【余談】なぜ動画はコンテンツ勝負なのに、動画のCGMはコンテンツ課金じゃないのか

面白いのは、動画のマネタイズモデルは「コンテンツ」ではないこと。
つまり、「コミュニティ」とか「コミュニケーション」である点。

「コンテンツ」と聞くと動画が強そうだし、実際に動画は「コンテンツ」としての側面が強いはずなのにも関わらずです。
一般ユーザーが動画を投稿する主なPFは、

  1. YouTube

  2. TikTok

  3. Instagram 

これらのそれぞれの主なマネタイズは、順に

  1. 広告

  2. 投げ銭

  3. コマース

一般的に「コンテンツ」課金の印象がないのは、こういった主力の動画PFの仕様も要因なのかなと思います。
一方で、「コンテンツ」課金の印象がある動画PFもあります。

・年間製作費1兆円以上で、トップクオリティのオリジナル作品を出すNetflixが月2000円のサブスク
・単品の例ならリアルタイム性も掛け合わせた「The Match 2022」を出すABEMAのPPV

これらのPFが、「コンテンツ」課金としての、価格とクオリティの基準を作り始めていそうです。

つまり、よほど「ヒトとして好き」がない限り、CGMの動画PFで「コンテンツ」課金を成り立たせるのは、現状の市場環境では厳しいからかもしれません。

仮に「ヒトとして好き」が強いとしたら、むしろ消費者の需要は「コミュニティ」「コミュニケーション」に向かうはずです。
実際、冒頭にまとめた3つのCの例のように、CGMはその2つのCになっている。

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