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箱根駅伝の熱戦から仕事に役立つ学びを分析してみた

本日のテーマについてですが、正月の風物詩、箱根駅伝の今シーズンを見ての学びにしたいと思います。

実は、今回ですが、きっかけがありました。

Voicyパーソナリティである新R25の編集長の渡辺さんが”箱根駅伝からの学び”を取り上げていて結構参考になったので、スポ深目線でも分析するのも面白いかなと思ったからです。

このnoteはVoicyの過去の放送を文字に起こしたものです。

本日のお題 今年の箱根駅伝からの学び 創価大、青学大、駒澤大を中心に

さて、まず箱根駅伝についてのおさらいです。
箱根駅伝は、合計200kmを超える距離を、往路5区間、復路5区間で争われる競技です。

・1人あたり、だいたい、ハーフマラソンぐらいの距離を走り
・東京から箱根までのコースは起伏が激しい
・海風、ビル風に加えて、気候変動が大きく、低体温症、脱水症状など不確定要素が多いことから
多くのドラマが生まれてきました。

そんな箱根駅伝。
今年の第97回は、稀にみる大激戦でした。
・戦国駅伝とは呼ばれますが、番狂わせがおきました。
番狂わせの主役は、今年4回目の出場で、前回初めてシード権を獲得した創価大学の往路優勝
・20015年〜2018年で4連覇、前回の覇者である青山学院大学が大ブレーキで往路の時点で12位とシード権を失いそうな不振
・最終10区のラスト2キロメートルでの大逆転劇が起きて、駒澤大学が総合優勝を飾る。

まさに筋書きのないドラマでした。

また、この筋書きのないドラマを見て、今年の仕事も頑張ろうとか、自分に当てはめる共感できるから、この箱根駅伝は人気なのではないでしょうか?

今日は、その中でも、創価大学の番狂わせ、青山学院大学の往路12位から復路での挽回、駒沢大学の大逆転を中心ついて触れていきます。

それでは本編スタートです。

往路優勝の創価大学 番狂わせには理由がある!

では、簡単に新R25の渡辺さんかの放送で、何が言われていたかについて簡単に触れていきますね。

渡辺さん自身も長距離離陸上を経験されており、箱根駅伝は物凄い楽しかった、ビジネスに置き換えても、ものすごい参考になる点があったと感想を述べていました。

何が参考になるかというと、流れを作る大事さについてです。
・一旦、良い方向に流れがいくと、パフォーマンス以上の結果が生まれるし
・逆に悪い方向に傾いてしまったら、なかなかリカバリーするのは難しいと言っていました。

私もまさにその通りかなと思います。
また、同時に、流れに引き込むための準備 や そのトリガーを弾き起こすための動きも同じぐらい大事なんだなと思います。

その象徴的な流れの例としてあげられるのが、今回の創価大学の番狂わせといえます。

創価大学の駅伝部ですが、1972年に創設。箱根駅伝には2015年に初出場で、今回が4回目の出場、前回大会でようやくシード権獲得ができたというどちらかというと新興勢力でした。

今回の戦前の予想では、うまく歯車が噛み合えば、上位に入れるかもだが、10位内のシード権の獲得が現実的なラインでした。
そんな前評判を覆して、往路の4区でトップに立つと、そこから勢いにのって、往路優勝。
復路でも優勝候補の駒澤大学に、いつ追いつかれるかというのが焦点でしたが、9区終了時点で逆にリードを広げ、10区も残り2kmまではずっと1位を走ってしまいました。


最終的に10区で逆転されてしまいましたが、それでも総合準優勝というのはとても素晴らしい偉業と言えます。


監督やチームメンバーもこのように振り返っていました。


「選手はよく戦ってくれた。往路から想像以上の走りをしてくれて頼もしい」

また、駒澤大学の選手に抜かれて、2位の小野寺選手が無事にゴールした直後に他の選手の表情がカメラに捉えられたのですが、みんな笑顔で拍手して健闘を称えるのをみて、いいチームだなと思いました。

3位を目標にしているなかで、力以上のものを出し切れた、本音をいうと悔しいけど、ホントによくやれた、力を出し切れて結果に満足しているという思いが、テレビを見ていて伝わりました。

さて、側から見ると、今回の創価大学。大番狂わせと言えますが、”実はこの流れを引き寄せるための緻密な采配が裏にはあったんだろうな”と色々調べてみて気づきました。

その立役者が、創価大学の駅伝部監督である榎木監督。大学時代は中央大学に在籍して、箱根駅伝では4年連続区間賞を獲得した方でした。

2019年に創価大学の監督に就任した当初は、箱根駅伝の出場を逃している状態。そこから、チームの環境面の立て直し、一人一人と向き合う指導で、2020年の箱根駅伝では9位に入り初のシード権を獲得しました。

そして、今回の大会での采配ですが、いろいろ調べてみると、区間配置が絶妙でした。
まず箱根駅伝は長丁場であり、経験のある4年生、エース、さらには、1年生も投入するという感じで、総力戦と言えます。そして選手の能力やコンディションを見誤ってしまうと、あっという間に遅れてしまうし、一気に流れを引き寄せることもできます。

この采配が創価大学は見事はまりました。
例えば、繋ぎの区間と呼ばれる、4区では、1年生や若手が投入されることも多いのですが、創価大学は勝負に出ました。

前回の10区の区間賞を獲得した嶋津選手を投入して一気に一位に躍り出ました。

そして、一番、能力やコンディションの差がモロに出てしまう特殊区間である、5区の山登り。
ここでは東洋大学の宮下選手や、東海大学の西田選手などが区間賞候補として注目されてましたが、実は創価大学にも三上選手が控えていました。
この三上選手、昨年11月21日に行われた「激坂最速王決定戦2020@ターンパイク箱根」登りの部を優勝した、登り坂にとても強い選手。
後続に追いつかれない、区間2位の走りで見事優勝に導きました。

そして、翌日の復路では選手層の厚い駒澤大学に追いつかれるのではという予想もありました。
6区の山下りで1分近く差が縮まりましたが、7区に準エースである原富選手を投入して差を詰めさせないなど、的確な采配が実りました。

さて、このように、側から見ると番狂わせに思えますが、
実は、その理由は、綿密な環境整備、そして適材適所な人員配置ができたからなんだなと今回調べてみて思いました。

青山学院大学の往路の不振と復路の復活までを分析

続いて、青山学院大学についてです。

今回の往路の結果は私もびっくりしました。
優勝候補筆頭に数えられていた青山学院大学が、2区では14位に沈む、3区、4区でも挽回できない、5区で私も注目していた、竹石選手も足の痙攣を起こしてしまい、区間17位に沈みます。
最終的には往路では、首位とは7分以上も差をつけられる12位、来年の出場できるシード権の圏外にいたからです。

この要因なのですが、大きく2つありました。
・一つ目は、昨年の総合優勝の原動力になった2年生エース岸本選手の離脱
・二つ目はチームのキャプテンであり、大黒柱、精神的支柱である神林選手が、直前の12月29日に骨折が判明。

当初往路3区を走ることが濃厚でしたが、キャプテンの離脱は、チームのコンディション、さらにはメンタル的なところへの影響がかなり大きかったんだと思います。

原監督も、往路の結果を見て、このようにコメントしていました。

「総合優勝は“ゲームオーバー”です。意地の復路優勝を目指します。もちろん、シード落ちという危機感もある。最後まで全員で戦います」と気持ちを切り替えるように話した。

しかし、そのコトバで、選手にスイッチが入ります。
”まだ、復路優勝の勲章がある”と目標を復路優勝に切り替えました。

そして、復路のタイムでは、総合優勝を飾った駒澤大学よりも早く、見事復路優勝、総合では4位までジャンプアップ。

一度沈んでしまう、負の流れができてしまうと、なかなか挽回するのは難しいのですが、
・メンバー全員に力がある
・そして、これまで培ってきた練習量
があるから、往路は落ち込むが、総合的に見ての力があったので、復路では青山学院大学は本来の力が発揮でき、復路優勝に繋がりました。


また、第23回目の原晋監督の回では、マネジメント能力に触れたのですが、
・選手の目標管理、長期目標、中期目標、短期目標の設定
・そして、選手自身が、自分で主体的に目標を立てる
・その際には手に届きやすいように目標を設定している
この練習がベースにあり、選手も自信を持ち、更に前回王者のプライドがあるからこそ復路の挽回につながったのだと思います。


さて、青山学院大学以外の話にも該当しますが、今回の箱根駅伝は波乱のレースと言われました。
ただ、蓋を開けてみると、明治大学がシード落ちをして、順天堂大学がシード入りのみで、シード入りしたのは昨年から1校しか変化はありませんでした。

往路終了時点でシード落ちしていた、青山学院大学と早稲田大学ですが、復路で挽回を果たしました。

このように総合力や地力のあるチームが本来の力を出し切れば、結果に反映される、よって、地道に力をつけることがこの事例から学べるのではないでしょうか?

優勝駒澤大学の勝てなかった時代と監督の変化

最後に、優勝校の駒澤大学についてです。
まず、駒澤大学駅伝チームについて、簡単に説明します。

出場記録は55年連続55回目、駅伝の強豪校で、2002年〜2005年シーズンは4連覇など平成の常勝軍団とも呼ばれていました。
強豪校になったのは、駅伝監督の大八木監督が1996年に就任してからでした。

現在62歳の大八木監督は、ザ・体育会系で、熱血漢、厳しも熱い指導法、「男だろ」というフレーズを思いつくリスナーさんも多いかと思います。
しかし、駒澤大学は、2008年に優勝してからは優勝から遠ざかってしまいます。

今回は見事、13年ぶりに優勝しましたが、実は今シーズンは、
・経験を積んだ4年生ではなく、勢いのある若手に経験を積ませたい、結果として総合3位が目標
・翌シーズンが本当の勝負と考えていた
という感じで、若干棚ぼた的な優勝なのかもしれません。

ただ、今回の優勝できた要因は、数年かけての積み重ねが結果に結び付いたんだろうなといろいろ調べてみて分かりました。

この要因は大きく2つあるかなと思います。
・1つ目が、指導方法の変更
・2つ目が、2年生のスーパーエースの田澤選手の影響


まず、1点目の指導方法の変更
大八木監督は、これまでの厳しい指導法だけでは、今の大学生はついてこないということから、2015年ごろから指導方法を少しずつ変更したようです。

今までは、選手から恐れられ、怖いと思われていましたが、練習後は距離感や対話を意識するなどして、選手から良い「おじいちゃん」みたいと、良い意味でいじられています。

でも、練習では、今まで通り、厳しくも熱い指導をするというスタイルは変えない、緊張感を持って締めるところと緩めるところを意識的に使い分けたんだと思います。

あと、対話を意識したのは、
・昔は体育会系で、監督のいうことは絶対だけど、今の時代には合わない
・今の子は優秀だけど、自分が納得して動く
ということで対話を重視する方法に切り替えたんだと思います。

また、2015年に大学OBである、藤田コーチが就任したことも良い緩衝材としての役割を果たしています。
2015年のNumber webの抜粋ですが、それぞれこのようにコメントしていました。

まず、大八木監督のコメント

ちょうど藤田が現役を退くタイミングで、それまでも実業団でコーチを兼任していたし、学生を指導してみたい気持ちがあるのか訊きました。私と今のコではもう、年齢差がオヤジと息子でしょ。イメージが厳しいオヤジみたいになっているから、なかなか気軽に話しかけてこない。だから藤田には兄貴的な役割を果たしてもらいたくて。実際、色んなアドバイスを学生たちにしてくれています。

続いて藤田コーチのコメント

駒澤は負けられないチームなので、コーチを引き受ける際には相当の覚悟がいりました。監督がよくおっしゃるのは、自分が厳しい分、お前はよく選手の言うことを聞いてやれと。ですから、なるべく親身になって話を聞くようにしています。


そして2点目が、スーパーエースの田澤選手

田澤選手ですが、2019年入学の2年生。

1年生の全日本大学駅伝では7区区間賞、出雲駅伝では3区2位、箱根駅伝では3区3位とルーキーとは思えない、鮮烈なデビューのシーズンを送りました。
そして、2年生のシーズン、全日本大学駅伝ではアンカーを務めて、駒澤大学を優勝に導きます。

また、スーパーエースの田澤選手に引っ張られるような形で、選手個々のレベルも上がっていきました。
つまり、エースに依存するというのではなく、エースを活かすチーム作りができていると言うことです。

こちらは、Numberの箱根駅伝特集の抜粋です。

意欲に満ちた選手たちの変化が、2020年11月の全日本大学駅伝の優勝を呼び込んだと大八木は言う。
選手たちと話していると、いろいろなことが見えてきます。今の1年生には、全日本を走った鈴木や花尾といった意欲のある子が入ってきてます。練習で田澤の走りを見て刺激を受けているんでしょう。元気の有る1、2年生を見て、今度は上級生が自分たちもやらないといけないという危機感を持つようになった気がしますね」

このように、
・指導法を変えていく、厳しさの中に親しみやすさ、
・チームの雰囲気作りをしていくという2015年からのちょっとした変化
が、良い意味で回り始めて、
・2019年のスーパーエースの加入、チームメンバーへの刺激
その成果として、今回の優勝に繋がったんだろうなと思いました。

大八木監督も当初は3位狙いとおっしゃっていましたが、今年優勝を果たしましたし、来シーズン以降も更にスキのない盤石なチームになると予測されます。

次のチャプターでは、Tipsについて考えていきたいと思います。

不確定要素が多いから箱根駅伝は勇気を与える!

さて、今回ですが、箱根駅伝からの学びを、創価大学、青山学院大学、駒澤大学の結果を踏まえて考えている回です。

それぞれの大学自体が、仕事に活かせるTipsなのかなーと個人的には思っていましたが、各大学の今回の戦い方でそれぞれ、どういう学びがあるんだろうって分析、解釈するときにあるフレームワークを思い出しました。


それは、思考のフレームワークでよく例として出される”帰納法と演繹法”です。
・帰納法は複数あるA、B、Cという具体的な事例に着目して、そこから何か共通性を見出す思考法です
・演繹法とは、A=B B=C からA=Cであるという共通点を見出す思考法です。

ちょっとまどろっこしくて、うまく説明できないかもですが、
例えば青山学院大学から、流れを変えるのは難しいよねっていう話は、ビジネスシーンや日常の生活シーンとかでもある程度の経験則があるからピントくるんだろうなと思います。


例えば、私が所属しているIT・Web業界でいうと、プロジェクトマネジメントをしている時、仮設を立てて提案したり、先回りして動いていると、円滑にプロジェクトは進行します。
ただ、一度、予測できないコントロールできないことなどが起きてしまうと、そこから無理してリカバリーをする、そうすると無茶な動きなので、メンバーの士気が下がる、ケアレスミスが起きる、更に事故につながりそうになるということを私も経験してきました。


ただでさえ不確定要素が他と比べて多い箱根駅伝は、コンディション、ピーキングで少しのズレがあるだけで、結果にものすごい影響してしまう。

なので共感を得やすい、抽象度を上げるとで、
・こういうことって自分の日常生活や仕事でも起きるよね
・でも選手たちは頑張っている
・じゃあ自分たちも不確定要素が起きた時に、なんとかあらがわないとということでヤル気が湧くんだろうなと思います。


さて、ちょっと熱くなってしまいましたが、こうやって話してみると、仕事や日常生活で活かせそうなTipsが2つ思いつきましたので発表します。


・1つ目は、打つべき時に策を投入できていますか?
これは時間軸が異なりますが、「創価大学の今回の躍進」と「駒沢大学のここ数年での動き」です。

・前者は適材適所での区間配置。
・後者は問題意識を感じた大八木監督の変化、藤田コーチの招聘、ルーキーの田澤選手加入後の周りの影響です。
この、一つひとつの打ち手は、時間が経過するにつれて効果が大きくなったんだろうなと思います。


・2つ目は、運などの不確定要素も大事だが最終的には基本が大事、力を蓄積しておくべきということ
これは、青山学院大学は、不確定要素によって往路では崩れてしまいましたが、復路では挽回します、それは日常の練習で培った力、自信、プライドがそうさせたんだろうなということです。


以上が今回のTipsでした。ちょっと今回は、情報盛りだくさんで広げるだけ、広げてしまいました。

2回、3回に分けて話すべきだったのかもなと途中から気づいてしまいましたのでこじつけ感が出てしまったらすいません。

ただ、箱根駅伝は不確定要素が非常に大きく、だからこそ人の感情を動かせる、仕事や日常生活や自分に投影できるんだろうなと思いました。

このnoteはVoicyの過去の放送を文字に起こしたものです。
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