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スーパー〇〇やめませんか?過熱報道と早期専門化

今回は、取り上げるのは、皆さんも聞いたことあるかもしれません「スーパー〇〇(何何)」です。
・スーパー小学生
・スーパー1年生
・スーパールーキー

などなど、耳にしたことが1度はあるのではないでしょうか。

このnoteはVoicyの過去の放送を文字に起こしたものです。

本日のテーマ「スーパー〇〇」について

普段、スポーツ好きなみなさんだと思いますが、「この言葉、特にジュニアや若年層の選手に対して使い方には気をつけましょう。」という話をさせていただきます。

ついついね、若い才能にワクワクしてしまう気持ちもわかりますが、選手にとってもすごく大事なことだと思っています。

ぜひ、最後まで聞いてください。

スーパー1年生という表現の危険さ。

“スーパー1年生”。
特に、高校野球では聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

ただし、この表現について、スポーツジャーナリストの氏原さんは、記事の中で警鐘を鳴らしています。

「新星扱いに苦しんだ甲子園経験者。スーパー1年生という表現の危険さ。」という記事の、前半部分を抜粋します。

気がかりなのは、“1年生”というだけでスター選手に祭り上げられることの危険性だ。いわば、伝える側のメディアがどういう見立てで、“スーパー1年生”と書いているかだ。
高校野球の歴史において2、3年生を凌駕するような1年生が出てくることは少なくない。
誰がみてもワクワクする逸材の登場は、競技レベルの高まりを感じさせる喜ばしいものである。
かつて「桑田・清原」のKKコンビ登場には誰もが驚いた。
甲子園で145キロを連発し、ホームランを放った中田翔もそうであろう。
大谷翔平は高校1年生での甲子園出場はならなかったが、もし1年夏に甲子園に出場していたら、“スーパー1年生”と呼ばれたはずだ。
ただ、本当にそう呼ばれるにふさわしいのは限られた選手だけである。

続きます。

この表現が恐ろしいのは、まだ入学したばかりの1年生に過剰なプレッシャーを与えてしまう危険があるからだ。
注目度が時に無茶な登板を呼び、あるいは、選手のプレースタイルまで大きく変えてしまう。注目を浴びることで適正な育成の階段を踏み外すことが少なくないのだ。

甲子園って、学生スポーツの中では注目度がやはり段違いで、これまでなかったような注目を浴びてしまいますよね。
それだけでもすごいのに、メディアの過剰な報道が重なると、15歳,16歳が平常でいられる事すら難しいですよね。

記事の中では、日本ハム中田選手と同年に「スーパー1年生」として取り上げられたとある選手が、自身を振り返って語っています

「『〇〇選手は絶対にプロに行く』と記事を書いて、それが現実にならなかったとしても、書いた人が責任を取るわけでも、選手たちに声を掛けるわけでもない。
責任を取らない大人がそうやって子どもの夢を勝手に大きくして、慢心させる環境は良くないと思う

その競技が好きなファンにとっては、スターの誕生は喜ばしいことですよね。
ただし、この氏原さんは、「書いている人間は“スーパー1年生”という言葉の重みを理解して伝えるべき」としています。
印象度の高いフレーズを使えば、原稿を書く上では楽ができます。
物事を冷静に見る必要がなく、その表現がイメージを作ってくれるから。
だけど、やっぱり選手にも影響を与えてしまうことは考えないといけないですよね。

ここでは報道側にフォーカスを当てましたが、
次のチャプターでは、「スポーツの早期専門化」について考えていきます。

早期スポーツエリート教育は「悪」か

スポーツの早期専門化とはそもそも何かを解説します。

定義は様々ですが、例えば小学校低学年頃から特定の競技スポーツに特化した練習を積み、そのスポーツを専門種目としてしまうことを早期専門化と言います。逆に、高校から特定の1種目に絞り、それまでは複数種目に参加していることを「複数種目参加型」「専門化が遅い」と言ったりします。

いわゆる「野球一家に生まれて、小さい頃から野球漬け」の選手が前者。
「中学までは他の部活もしていた」というような選手が後者になります。

アメリカのスポーツ文化の特徴として、季節ごとに異なるスポーツをプレーする、シーズンスポーツ・マルチ―スポーツがあります。
ただし、日本では専門種目を先に決めてしまう例が多いようです。

低年齢のうちに特定の競技に打ち込み(専門化し)、同世代の中でパフォーマンスを高めておくことが、その後、よりレベルが高く、充実したトレーニング環境に身を置くことにつながり、将来的な競技力を高めることにもなる――「先手必勝」的な考え方もあるようです。
また、競技によっては早期専門化の方がエリートレベルになりやすいという研究もあるようです。

ただし、メリットばかりではありません。
第4回「#4 早生まれほどプロ野球で活躍!?記事を考察」でも紹介したように、いわゆる「早生まれの子供」は若年層の時には不利で、のちに逆転していくということがわかっています。
早期に専門種目に特化しても、「まわりと比べて自分は体力が劣っている」と思ってしまい、スポーツが嫌いになって辞めてしまうケースや、出場機会を与えられずに成長できないケースもあるようです。

さらには、思春期前から単一のスポーツを行っているアスリートは、そうでないアスリートに比べて過去の怪我をレポートする傾向が高いという研究結果も報告されています。

ここまでスポーツの早期専門家について考えてきましたが、「スポーツの早期専門化は悪」で「複数のスポーツをすることは善」と単純に二元論的に論じるのは、好ましい議論とは言えません。
次のチャプターでは、これらの解説とともに、今日のtipsをお話ししていきます。

大人の都合だけでスポーツを見ていませんか?

ここまで、「過剰な報道による弊害」・「スポーツの早期専門化」について考えてきました。ただし、どちらも単純に二元論的に決め付けることはできません。

早期に始めれば、より専門性の高い指導者に出会ったり、最短距離で上達できるかもしれません。しかし、複数スポーツをすることで運動体力そのものを伸ばしたり、より自分にあった競技を選択できるかもしれません。

スーパー1年生という報道により、過度なプレッシャーがかかってしまう選手もいれば、よりモチベーションとなったり競技そのものにスターが生まれて全体のレベルの底上げになるかもしれません。

このように、どちらが善、どちらが悪ではありません。
重要なのは、「誰のタメであるか」です。

ここからが、今日のtipsです。
「大人の都合でスポーツ見ていませんか?」

注目度が高まれば大人は楽しいけど選手は苦しむこともある。
親がやらせたいスポーツよりももっと子供に向いてるスポーツがあるかもしれない。

選手のために、僕たちが好きなスポーツで、もっとみんながハッピーになればと思います。

終わりの挨拶

はい、本日はいかがでしたでしょうか?

オリンピックもありますし、どのスポーツでも、過熱な報道は続くと思うんですよね。もちろんね、100歩譲ってプロ選手はともかく、それでも気になりますけど。学生や若年層のアスリートを大切にするような、そんな世界になれば良いなと思います。

好きだからこそ盛り上がっちゃう気持ちもすごく分かりますけどね。
ぜひ、そんなスポーツ好きな方にこそ、考えてみて欲しいテーマでした。

このnoteはVoicyの過去の放送を文字に起こしたものです。
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