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プロが準備していること

ナレーターや役者は、他人に書いていただいた言葉を読み上げています。どこまでいっても自分の言葉じゃない。でも自分から発せられた言葉のように話す。それが表現者のお仕事だから。

生々しいお話、それでお金をもらっているので、他人の書いた言葉を自分の言葉にするために相当な訓練を積まなくてはいけない。だからお金になる。誰でもできることではないんですよね。

それは書く人もそうです。喋る、書くというのは誰でもやったことのある事柄。だから「すぐできるでしょ」と思われてしまいがち。何度も「喋るだけでお金をもらえていいですね」と言われたこともありました。

いつふられてもいいように、いつでもできるように普段から練習する。

作品を見て、読書をして、たくさんの人生経験をして“使える言葉”を増やしていく。

いつふられても喋れる準備がある。

だからみんなプロなんです。「意識高い系なんですね」なんて言われてしまったこともありましたが、お金を貰って喋っているんですもん。そりゃ意識は高くあるに決まってますよ!!!

当たり前ですが、文章がないと読むことができません。その文章を書いてくださっているのが本屋さん(脚本家、作家さんなど総称して本屋さんと書かせて頂きます)がいるから読める。

伝える上で頼りになるのは声のみ。

わかりやすい言葉遣いで書いてくださっているので、だから読み手はイントネーションやアクセント、基本的な(声が届く)発声を体得していなければいけないんです。イントネーションがめちゃくちゃだったり、言葉の意味がわからないまま声に出してしまったりしたら本が台無し。

どうやって読もうかな?
声を変えた方がいいかな?

考えるところはここじゃないんです。すぐにやれることは個性にも芸にもなりにくい。しかし、これらを変えるとやってるっぽくなれるのでみんなやってしまう。やっぱり、基本がないとダメなんです。

逆にいえば基本ができているだけで個性になる。独学といえばかっこいいですが、初めっから独学でやるには“基礎”ができているかどうかの確認もできません。

土台が安定していないのに家を建てるようなもの。立派な構えを立ててもすぐに崩れてしまいます。だから大切なんです。それか、基礎を度外視するような変わった個性や表現があるかどうか。僕含め、大体の方はしっかり基礎を体得しています。

養成所や学校ではこの“基本”を学べる。そしてできているかどうかをすぐ確かめることができる。その後ようやく応用にいくことができる。読むというのはこれくらい大変。ま、これもいわなくていいことなんですけどね。



ナレーター
有野優樹(ありのひろき)

ラジオ番組始めました!

11月9日 怪談イベント

正直に言います。話を上手くするため、映画を見たり本を読んだりのお金に当てます。直近、島に暫く住む予定なのでそちらの生活費に。