猿の惑星
みなさん、こんばんは。
ぼくは、たまに考えます。
なぜ、こんなにもお金が必要なのか。
お金があれば、幸せなのか。なくても豊かに暮らせるのでは無いか。
いや、欲しいものは欲しいです。
ということで、今回はお金にまつわるこんな話。
サルに貨幣価値を教える実験:
オマキザルの行動経済学
貨幣経済の進化とは。
貨幣が生まれる前、人間社会では物々交換が主流でした。この方法には、いくつか大きな問題がありました。
たとえば、「交換の一致」が必要でした。
つまり、取引を成立させるには、双方が欲しいものを持っている必要があったんです。羊を持っている人が小麦を欲しいと思っていても、小麦を持っている人が羊を必要としていなければ、交換は成立しません。
さらに、物々交換では「価値を測る基準」がないため、どれくらいの量を交換すればいいのかが曖昧でした。
「羊1頭は小麦何袋分に値するのか?」という疑問に答えるのは難しいですよね。
また、交換する物が腐りやすいものだと、保存しておくのも一苦労。こういった問題を解決するために生まれたのが「貨幣」なんです。
貨幣の登場は社会に大きな変化をもたらしました。
まず、貨幣があれば「取引のスムーズさ」が格段に向上します。
みんなが貨幣を受け入れることで、「交換の一致」を考えなくてよくなりました。
また、貨幣を使うことで、物の価値を統一的に測ることができるようになり、取引の公平性が高まりました。
そして、保存が難しい物に代わって貨幣を持てば、長期間にわたって価値を維持できます。
このようにして、貨幣の登場は経済活動を発展させ、社会の仕組みを大きく変えていったのです。
オマキザルを対象とした今回の実験でも、「トークン」が貨幣と同じ役割を果たしていました。
この実験は、貨幣が進化の過程でどのように社会や取引の効率性を向上させたのかを小規模で再現したといえます。
実験の背景と目的
この実験は、イェール大学の研究者キース・チェンとローリー・サントスによって行われました。
目的は、オマキザルに貨幣の概念を教え、彼らの経済行動が人間とどれほど似ているのかを明らかにすることでした。
対象になったオマキザルは、小型で賢いサルとして知られていて、行動経済学の研究にはぴったりの動物です。研究者たちは、銀色のディスク(トークン)を使って「トークン経済」の仕組みを教えました。このトークンを渡せば特定の食べ物、たとえばブドウやゼリーと交換できるというルールを設定したんです。
最初はトークンを渡して食べ物を受け取る練習をさせましたが、サルたちはすぐにルールを理解し、自発的にトークンを使い始めました。
実験の詳細と観察結果
この実験ではさらに、価格変動という要素も導入されました。
食べ物の価格を変えると、サルたちは「安い食べ物」を選ぶなど、コスパを考える行動を見せました。
これだけでも十分賢いですが、もっと驚いたのは、サルたちが「非合理的な行動」をすることも確認された点です。
たとえば、損を恐れるあまり効率の悪い選択をしたり、ギャンブルのようなリスクのある選択をしたりする行動が見られました。
これは人間の経済行動ともよく似ていて、サルたちの判断には感情的な要素も関わっていることが分かりました。
また、興味深いことに、サルたちはトークンの価値を理解するやいなや、他のサルからトークンを盗む行動も見せました。
この盗んだトークンをすぐに食べ物と交換するなど、計画性のある行動が観察されました。
さらに、一部のメスのサルがオスのサルに性行為を提供し、その見返りとしてトークンを受け取るという行動も確認されました。
これらの行動は、貨幣が新しい社会的取引を生む可能性を示しています。
実験の意義
この研究が示すのは、経済行動が人間だけの特有のものではなく、進化の過程で他の動物にも見られる普遍的な現象であるということです。
貨幣の導入が社会的行動や取引関係にどんな影響を与えるのかを理解する上で、この実験は非常に重要な手がかりを提供しています。
さらに、この実験は私たちの経済行動のルーツを探る助けにもなります。
トークンを使った取引で新しい行動が生まれるのは、貨幣経済が人類社会に登場したときに起きた変化を縮図のように表しているのかもしれません。
まとめ
貨幣は、取引の非効率性を解決し、経済活動を飛躍的に発展させた道具です。
オマキザルを使ったこの実験は、貨幣が経済活動だけでなく、社会的行動にも大きな影響を与えることを証明しました。
サルたちが見せた行動は、人間社会の経済活動の原型を垣間見るようで、とても興味深いものです。
この研究は、行動経済学や進化心理学の分野で貴重な示唆を提供しています。
どうでしたでしょうか?
お金ってとっても大事な物ですが、同時に怖さも感じました。
みなさんは、どう思いましたか?
では、またお会いしましょう。