【人事note】「能力が高い人が、より高い給与を得る」社会は「暗い未来」なの?

「ジョブ型」について、いつも思うのが、

(1)「なぜ、多くの日本の大手企業が、今、これを導入しようとするのか?」

(2) 日本社会で従来、あり得なかった働き方なのか?

という視点で、(1)については、大手企業の人事部にインタビューすれば、色々な言い方はするであろうが本音で言えば

「バブル時代の大量採用により、明らかに多くなりすぎている45歳〜54歳の労務費抑制(さらに削減)対策である」

である企業が多いことを完全に否定する人は少ないのではないでしょうか?

加えて言えば、今後、毎年、自動的に全員の基本給与が増加するという「定期昇給」という制度自体も停止しようとしているのではないかな、と思います。

で(2)の「これは日本の歴史上あり得ないようなとんでもない制度」なのかと言えば、結局、今のアルバイトや派遣社員の制度そのもので、「年齢や学歴、経験ではなく仕事内容に応じた賃金額が定められており」、毎年の昇給があるとは決まっておらず、給与額は主に市場価格で決まる、という点で、単に「正社員の一部」も、そのグループに入っていく、と思えば理解しやすい。

私はいつも思うのだが、「正社員」という制度が元々あって、それが「崩されていく」と思うから、本質が見えなくなるのであって、逆に、「基本的に、この世の中の採用形態が派遣社員のように職務内容に応じて賃金が払われ、一定期間で雇用契約を終了することができる」がベースだったとした時、「では、どんな人だったら、「期限を定めない雇用契約を結び、よほどのことがない限り雇用契約の解消ができない」ような雇用契約をオファーするか、と考えた時、

(a) 極めて得難い高い専門性を持っている人材を獲得したい際に条件の一つとして「長期雇用」を提示する場合

(b) 他社ではあまり活かせない、身につけるのに数年単位かかる自社特有の情報や知識を身につけてもらう必要があり、代わりに長期の雇用を約束する場合

(c) 大手企業ほどの給与条件は提示できないが、「雇用期間が長い」というメリットで勝負したい場合

ということで、今後は日本における「期間を限定しない雇用契約」や「毎年、必ず一定の昇給を得られる賃金条件」というのは企業戦略に応じて与えられるもので、「大学を出た人はおおむね、正社員(と、それが意味する上述のような雇用条件)になる」というのは難しくなってくるのかな、と思います。


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