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第732回「今日のベトナムニュース解説」受注減の台湾系大手靴メーカーが「交代での有給休暇取得」を義務化

本日の記事:
「PouYuen(宝元)ベトナムの従業員約2万人が受注不足のため有給休暇を取得」
Title:
" Some 20,000 PouYuen workers take paid leave amid order shortfall "

記事リンク:https://english.thesaigontimes.vn/some-20000-pouyuen-workers-take-paid-leave-amid-order-shortfall/


(写真:ホーチミンの工場近くを歩くPouYuen (宝元)Vietnam の労働者の様子)


【本日のポイント】

(1)台湾系大手靴製造のPouYuewn(宝元)ベトナムが受注現象への対応として一部の従業員へ交代制での有給休暇取得を依頼

(2)原因は欧米からの受注減少だが、やはり労働集約的であり、かつ付加価値利益率が低く、景気が悪くなると買い控えが起きやすい、という産業構造的な弱点が今回も大きく影響している

(3)ただ、テト休暇も近いということで人員解雇は避ける意図があり、これは祝祭の時期に無職にさせる、ということはメンツを重んじる国であればあるほどタブー視されていることの反映であるといえる。

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【解説】

アジアゲートベトナム代表の豊田です。

さて、今日の記事について。

ここのところ、海外輸出系の繊維、縫製業は一気に受注減少→人員調整の大波がきていますね。

その雇用人数の大きさ故にこういった景況感の変動による人員削減などではいつも登場するホーチミンの台湾系大手履物メーカーPouYuen(宝元) ベトナムですが、やはり新規受注の減少により、5万人の従業員のうち2万人を対象に12月1日から2023年2月28日までの3カ月間、輪番で有給休暇を取得するよう要請したそうです。

「靴の製造」というのは、電子機械などの工場に比べると、やはり、人間の手を使う部分の多い「労働集約的」な産業なので雇用人数も多い訳ですが、工業製品などに比べると、やはり付加価値率は低い上に、少し景気が悪くなると買い控えが起きてしまう、ということで、製造業の中では

「景気の影響をモロに受ける」

産業という印象があります。

今回、PouYuenの説明によると、主要な輸出市場(おそらく欧米)が急激に注文を減らし、顧客から50%の値下げを提案されている、とのことで、そりゃ、キツすぎるよなぁ、、という感じですが、、、、

まぁ、まず、とりあえず人員削減などは現時点では行わず3カ月間ほど一部の従業員に有給休暇の取得を奨励することで対応するそうです。

今回、解雇に踏み切らない理由の一つに「テト休暇も近いので」というコメントがありましたが、これは現代の日本人ではピンとこないかもしれないですね。

中華文化圏においては、やはり、一族郎党が集まる「旧正月」というのは、一年の中でのダントツ、スーパー、ウルトラ重要イベントで、そこでは1年間の自分の稼ぎや頑張りの成果を見せ合う

「面子(メンツ)の張り合い」

の場でもありますので、この直前に雇用解雇して、無職でテト休暇を迎えさせるというのはベトナム的には完全にアウトで、もうその企業は

「ろくでなし企業」

のレッテルを貼られ、解雇された従業員だけでなく、その話を聞いた赤の他人まで

「とんでもない企業だな」

と思われてしまうので、これは、もう、できるだけ避けなばならない、というのは台湾企業だからこそ、合い通じ、配慮する部分なのだと思います。

以前、楽天がシンガポールで旧正月前に従業員を一斉解雇した際には、かなり批判的な記事が現地誌で出ていました。



Rakuten to shut Singapore website, cuts 30 local staff
(楽天がシンガポールのサイトを閉鎖、現地スタッフ30名を削減)




"We usually tell unionised companies to avoid retrenchments during festive seasons. This is good industrial relations practice," said labour MP Patrick Tay, who chairs the Government Parliamentary Committee for Manpower.
(「私たちは通常、労働組合のある企業に対し、祝祭シーズンには人員整理を行わないように言っています。これは良い労使関係慣行です」と、労働党のパトリック・テイ議員(政府労働委員会委員長)は言う。)



ということで、先進国のシンガポールでさえ、やはり、旧正月時期の雇用解雇はタブー視されているようで、まぁ、こういった文化的な配慮をきちんとできるかどうか、というのは大事だな、と改めて思いました。

以上 豊田英司
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