中部横断自動車道

中部横断自動車道は、信州と甲斐、そして駿河と、日本列島のど真ん中を南北に貫かんとする高速自動車道であるが、山梨県の甲府双葉JCT〜静岡県新清水JCT間74、3kmが、2021年の8月末に開通した。
そもそもの計画の基点はさらに北部の「上信越自動車道」の佐久小諸であるが、八ヶ岳山麓を走る線はまだ完成されておらず、中央道長坂〜双葉間と重複し、双葉JCTから「本線」に入り、右手に赤石山脈と身延山系左に富士山を望みながら、海のない山梨県最西部を海のある静岡県東部に向けて真っ直ぐに南下する。
甲府双葉JCTからややしばらく陸橋の上を走り、釜無川と笛吹川が合流して富士川となる富士川町増穂の大きな橋で富士川を東側に渡ると、そこから先はただひたすら山中橋梁とトンネルの繰り返しで、景色なぞたまに見えるかと思うとすぐトンネルという始末だった。後で調べるとおよそ75%が橋梁とトンネルである路線ということだから改めて驚かされる。ここでも、近年トンネル採掘技術の飛躍的向上があったことが確認される。
この新東名同様の最新型のトンネルと橋梁の高速道路。速くて便利だが、何せすぐトンネルばかりで落ちつかない。
富沢、六郷、下部温泉、南部と結構長いトンネルだらけで、南部の前に「富士川大橋」(994m)で富士川を西側に渡り、最長の「樽峠トンネル」(4999m)を経て新東名清水JCTに入る。甲府〜静岡間は1時間以内で結ばれたことになる。
料金が面白くて、富沢〜六郷間では、静岡方面に抜けるのは有料、逆に山梨方面に抜けるのは無料となっている。
富沢ICで一度降りて、この旅行1発目の佐野川温泉に入った。ここは鉱泉で、掛け流しの泉温は31度。元漁師の老人が長く浸かって若い者に大声で話している。もちろんその隣に加熱泉もあり、これは暖かい。
「えっ?台湾産と静岡産の桜海老の違い?それはよく見れば台湾産のはやや足が長い」
「昔の漁師の仕事は、魚を陸揚げするだけでは終わらなかった。最後に船を陸揚げするのが一仕事だった」
「魚探がない頃は、陸の山の位置で場所を把握して魚のいるところを狙ったもんだ」
弱硫黄泉で肌がすべすべになった。

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