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VN3ライセンスの理念と制定過程について

VN3ライセンスをご愛顧してくださる皆様、ありがとうございます。
このnoteでは、まだVN3ライセンスをよく知らない方や、もっと知りたいという方に向けての紹介や、新バージョンリリースのご案内などができればと考えて利用したいと考えます。

最初の投稿ですが、これまで各担当者が個別に発信をしていたようなVN3ライセンスの作成経緯についてと、その理念についてご説明したいと思います。

作成の経緯

VN3ライセンスは2020年の5月頃に正式にリリースをしました。
このライセンスを作った背景としては、当時のアバター用3Dモデルの売買では販売者が個別に利用規約を作成しておりましたが、多種多様な要望に応えられるようなひな形となり得える文章があまりなく、しかも実際に販売者がBOOTH等で掲載している利用規約には事業者として販売する際にはもっと盛り込んだ方が良いと思われること(例えば免責や暴排)がありましたが、規定されたものはあまりありませんでした。

これを必要十分で最小限の構成で成文化したうえで、しかも個別に設定したい条件をカスタマイズできるようにするように作成したのがVN3ライセンスです。
格好よく言えば、ある意味で規約作成に関する企業法務を民主化するような試みと言えるのかもしれません。

明文化したVN3ライセンスの理念(趣旨)は下記に記載しています。

参考にした先行事例

VN3ライセンスの作成に際しては多くの先行事例を参考にさせて頂きました。例えば例を挙げると以下の通りです。
特に、ジェネレータという方法を提示したUVライセンスからは非常に多くの着想を得たため、感謝しております。

  • UVライセンス

  • タオルライセンス

  • Creative Commonsの規定

  • ユニティちゃんライセンス条項

  • UnityのAsset Store Terms of Service and EULA

  • 2020年4月当時にBOOTH上で売買されていた個人モデラーの作成した利用規約(※特に当時の長兎路こよりさん、ぽんでろさん、アルマジロンさんの規約をよく参照した記憶があります)

作成に際して工夫した点

これらの先行事例を参考にしつつ以下の観点を観点を鑑みて文書と作成ツールを作成しました

  • 法律に精通していない人でも読みやすい文章

  • 構成を工夫し上から下に読んでいくことができる文章(例えば「前項に定める」のような個所を減らす)

  • 簡単にわかるようなアイコンを整備する(アイコンがあるだけで可読性が向上する)

  • 様々なクリエイターが望んでいることを分析して、その共通点を洗い出して項目化する

  • 基本的に選択式にして誤字脱字を防ぐ

結果として完成したのが下記の利用規約本文とジェネレータです。

特に冒頭には、各観点とその許可内容をアイコンとともに表示させた参考一覧を添付することで、利用者の理解促進を促しました。

品質の担保について

素案の大部分の作成は、3DCG会社での法務経験もあるあしやまひろこが個人で作成したものでした。あしやまはこれを一般に公開して意見を募るとともに協力してくれる方を募集した際に、知的財産等を専門とする弁護士の出井甫(骨董通り法律事務所)がプロボノ活動として参画し、内容の法的適格性をより精緻にするとともに専門的な知見を、外部アドバイザーとしてではなく、メンバーの一員として提供することとなりました。
したがって、本文や解説は3DCG会社での企業法務経験のある者と知的財産を専門とする弁護士が協力する形で品質を担保しようとしています。

またシステムやアイコン作成、外国語翻訳に関してもそれぞれスキルを持ったものが参画し、3Dモデル流通のさらなる発展や企業法務の民主化を目指すことに関して、それぞれの長所を生かしながら活動をしています。

最近の展開と今後について

最初は日本語での利用規約のひな形とその簡単に作成できるツールとして提供し、2021年の3月に英語版の作成機能を追加、2022年の6月に中国語と韓国語の作製機能を追加しました。
とくに韓国語は権利者・利用者双方からの要望も厚かったため、外部協力者の助けも借りつつ、対応できたことを嬉しく思っています。

今後も我々の思いつかなかったような新たなサービスや、新しい取引プラットフォームが発生する可能性があります。現状のVN3ライセンスは、特定のサービスや利用方法ではなく、一般的に適用できるように作成はしているものの、それらとは全く違ったものが登場するかもしれません。
そういった世の中の変化も観察しながら、クリエーションのさらなる活性化や、トラブルの防止に貢献できるよう活躍していきたいと思います。

今後とも何卒宜しくお願い致します。


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