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リアルタイム会議 メタバースの勃興 (その5) ~デジタル・ヒューマンの作り方 パート2 ~

4月末に全世界をズームで結んで行われた「リアルタイム会議 2021年春」。今年はメタバースに使われる技術を広く紹介することが主な目的でした。今回のnoteでは、前回に引き続きデジタル・ヒューマンを実現する技術についてのダイジェストです。

アプリに登場するデジタル・ヒューマン

まず Metastage 社のCEOのChristina Heller氏の講演、"The Future Of Volumetric Capture"から。人間の情報を3次元CGで再構築するための技術を使って、リアルなデジタル・ヒューマンを作り出します。多数のビデオカメラ画像から人間の立体的な身体の膨らみを再現するボリューム・キャプチャと呼ばれる技術を使っています。

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Metastageは人間のパフォーマンスを忠実に再現することに重きを置いています。デジタル・ヒューマンの他、ARを用いた放送やヴァーチャル・プロダクション(後述)、ゲーム、ファッション、スポーツなどの応用が考えられます。

ちなみに、以前取り上げたバレンシアガの「インタラクティブ・ジャーニー」においても、同ブランドのコレクションをバーチャル空間に作り出すために、同じ手法の技術が使われているそうです。(ただし実際のゲームの制作はMetastage社ではありません。)

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New York Times アプリの他、ベライズンのスポーツ観戦のファンが利用するアプリなどに使われています。

ゲームエンジンに登場するデジタル・ヒューマン

先ごろ、Epic Gamesによって発表された Metahuman Creatorは、同社のゲームエンジン Unreal Engine 上で利用可能なデジタル・ヒューマンを制作するツールです。簡単に説明すると、眼、鼻、口、髪の毛、肌の色、といった分解された要素を組み合わせて、誰でも人間そっくりなCGのキャラクターを作成できます。同社のVladimir Mastilovic氏の講演から抜粋します。

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ツールの特徴として以下の4つが挙げられています。
・高品質であること
・デジタル・ヒューマンには、既に評価の高い技術を利用していること。
・従来なら何時間もかかった制作時間を短縮出来ること。
・制作してすぐに Unreal Engine でアニメーションの制作が可能なこと。

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またゲームエンジンでの使いやすさを第一に考えられています。
・望み通りの顔を制作するために、素早いプロトタイプが可能。
・個人や少人数のグループで、物語のプロトタイプを制作できる。
・従来では考えられなかったような大きな世界の構築のために、制作された複数のキャラクターの間で簡単にアニメーションを共有できる。

ヴァーチャル・プロダクションでの利用が可能。
※ヴァーチャル・プロダクションは、従来なら撮影場所を探して、その場所に行かなければいけなかったような撮影を、スタジオ内にデジタルのヴァーチャル・セットを構築して行う撮影方法です。

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当然ながら(?)会議中にこのツールを利用してつくられたデジタル・ヒューマンを用いて発表を行うスピーカーも登壇されました。

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