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桜〜幸せのある風景〜


桜の季節になりました。

私が持つ桜の印象は、儚くも潔い凜とした強さを感じる、とても魅力のある花。
自分も桜のような生き方をしたいと思っている。

桜の記憶を辿って見たら、私が小学4年生の頃に遡る。
あの頃、毎日1枚描いていた絵には必ず桜の木があった。

小さな池のほとりに1本の桜の木があり、池には蓮の花が咲き、蓮の葉にはカエルが乗っていた。

毎日1枚描いていた桜は、満開の日もあれば、散り始めた頃、花吹雪の光景など、日々変わるのです。
その絵を仕事から帰宅した父に見せるのを楽しみにしていて、絵を見た父は必ず「上手に描けたな」と褒めてくれる。

なぜその絵を描き始めたのかは全く記憶にはないのだけれど、描いている時間が楽しかったことと、子供ながらにこの景色が幸せのある風景だと感じていたのです。

桜を見るとこの頃の自分を思い出す。
桜が何よりも好きだったわけではなかった。

きっと桜を描くと褒めてくれる、桜好きの父のことが大好きだったのだと思う。

幸せのある風景は絵の中にあったのではなく、実際に幸せだったのです。
幼かった私は、そこに気付けていなかっただけ。


この話は今から15年前、アートステンドグラス作家の頃に新聞に掲載してもらっています。
桜をテーマに書くにあたり、当時の新聞を読んでみました。

作品を制作する根底にもこの光景は存在していたのです。

桜の記憶は幼い頃の幸せの時間でした。

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