自分の欠片を探して……。
「今日で『平成』が終わるん知ってた?」
昨日、姉から届いたメッセージ。正直、海外にいると「元号」は全く意味がなく、領事館などの公的書類に記述を求めら、やっと平成何年だったか分かるという程度だった。
思えば、平成元年に社会人一年生になった。大手企業の営業所で「花のOL」として、後は将来の安定した素敵な旦那様を見つけて玉の輿を狙うだけ!という憧れのポストは、どうひっくり返っても魅力的に見えず、3年でスペインへ逃亡した。
数日前、偶然、同期入社だった友人とチャットをしていたのだけれど、彼女は私に続いて7年で退職。コトブキ退社でなかったことに対する周囲の圧力は凄かったらしい。責任感が強く、誰よりも優しい彼女は初対面の人と打ち解けるのに時間がかかった。営業のフォローとしてニコニコと愛想よくしているのはかなり苦痛だったと話してくれた。
「私も実は人見知り。年の功で、誤魔化すのが上手くなっただけや。」
という私に、「はるちゃんは、それでも前に一歩出て行こうとする。その勇気がいつも羨ましいねん。」と言う。
同じく同期入社の女性の中には勤務30年を越し、中間管理職となってバリバリと仕事をしている人もあれば、めでたくコトブキ退社してそのまま家庭に入り幸せに暮らす人、全く別の職に転職した人、起業した人と様々だ。
中学生の同級生が言った、忘れられない言葉がある。
「辞める勇気と続ける勇気。どっちも同じくらいに強烈な力で、決めるのは簡単とちゃう。どっちが凄いとか正しいとかいうのは誰にも分からん。」
***
平成の30年間。就職、退職、留学、結婚、出産、育児、教育、仕事。綴り始めるとキリがないくらいの事をしてきた。いろいろな物を失って、失うことによって得てきた物がたくさんある。同時に、ずっと守ってきた大切な物もある。
自己紹介文の中で「自分探しの旅」の中で自分は見つからないと言った。でも、見つからないからこそ面白いのではないだろうか。
なりたい自分を想像しながら、足りない欠片を探していく。突然、欠片がどこからか飛んでくることだってある。
新しい時代の幕開けと同時に、欠片探しをスタートしようと思う。
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