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トルティージャに学ぶ栄養貯蓄 ~トルティージャ祭終了~

『みんなで元気を分け合おう』

のスローガンを基に、好みの具でトルティージャを焼いてツイッターに投稿する『第二回オンライン・トルティージャ祭』が今週水曜日12月8日に無事終了しました。

今回も国内外を問わず大勢の方にご参加いただき、3週間の目標投稿枚数100枚に対し、投稿総数132枚、78名もの方に参加をいただきました。

今回の大盛況の中、イベントを終了できたのは、皆さんのご協力があったからこそ。支えてくださった方々に心よりお礼申し上げます。



スペインの定番家庭料理であるトルティージャ。溶いた卵にジャガイモや玉ねぎといった具を入れて、フライパン全体を使って丸く焼き上げます。

太陽をイメージさせる黄色、命の象徴である卵。真ん丸で角がないフォームは見ているだけでも思わず笑顔になってしまいます。

卵という身近な食材を使って、安くて簡単に作ることができる料理というは、家庭の味、思い出の味、ソウルフードとして記憶されている事が多いのは卵が命の象徴だとされている所以でもあるかもしれません。

いずれにしても、面白いのが、記憶の中にしっかりと残った味というのは、正確な作り方や食材が分からなくても、その記憶を辿っていくことで、その味を再現できることができるということです。


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私は幼稚園に入ったばかりの頃、お弁当が食べられない子でした。理由は今でも全く分かりません。ただ、お弁当箱を開けるとなぜか気分が悪くなってしまうのです。

そこで、お弁当箱を変えてみたり、サンドウィッチお弁当にしてみたりと毎日、アイデアを凝らしたお弁当を持たせてくれた母が、毎日、忘れないで入れてくれたのが卵焼きでした。何も食べられなくても玉子焼きだけは食べられたことを知っていてくれたのでした。

大人になってから、あの玉子焼きが食べたくなり、レシピを調べたりして試行錯誤を繰り返しながら作ってみました。最初はうまく出来ないかもしれないけれど、何回か作るうちに、味も形状もほぼ同じように作ることができるようになりました。

そうさせてくれるのは、料理の上手下手ではありません。記憶があるからです。

記憶した当時の時の自分に戻ってみます。つまり、内側にいる自分に問い合わすという作業です。けれど、そう簡単には内側にいる自分は答えてはくれません。

では、どうすればいいのでしょうか。

五感を研ぎ澄ます

視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といった五感は、それぞれ、色、音や声、舌触り、味、匂いといった、人間が持つそれぞれの臓器が持つ機能によって、その対象となるものを分析し、情報化することができるセンサーです。

けれど、五感というのは、実際に今、目の前にあるものだけに反応し、分析するだけのものではありません。

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少し、過去に戻ってみましょう。

私がその昔、玉子焼きを食べた時、無意識のうちに五感を使って、母の玉子焼きを分析しています。

アルミ製のお弁当箱には3匹のパンダの絵が描かれていた。冷たい蓋をスウッと持ち上げると、クリーム色で白身の部分がきれいな層になった玉子焼きが、いつもお弁当箱の右肩に二切れ入っていた。

冷めた母の玉子焼きを口の中に入れると、程よい弾力のある塊がすっと潰れて、優しい甘みが口の中に広がっていった。

たくさん食べられた日には、カシャカシャというお弁当箱の音が大きくなった。

これらは情報です。ここに、その他の情景(人、場所、雰囲気、情景)さらに自分の感情が加わってきます。

玉子焼きのあの匂いが大好きで、匂いがなくならないように、最初に一切れ、最後にもう一切れ食べるのが私だけのお弁当の儀式だった。

幼稚園の先生が横に座っていてくれたけれど、お弁当を温めてくれたストーブは、温めなくてもいいミカンまで温めてしまった。

「今日は食べれた?」と母に聞かれるのが、本当はプレッシャーだった。

姉のお下がりだったお弁当箱は好きではなかった。

これらが記憶を構成していきます。



記憶を蘇らせる

再び、現在に戻ってきます。
玉子焼きを目にし、口に運ぶと、あの時と同じように、五感が動き始めます。色、音や声、手触り・舌触り、味、匂い……。

そして、あの時の玉子焼きの記憶が蘇ってきます。今、実際にあるものに対して五感が働くことで、過去の記憶が呼び覚まされてくるのです。


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今回のテーマ「アタシんちのアイツ」では、そのまんまの自分を大切に、直感で楽しんでいただきました。

自分の「スキ」に蓋をしない。
ジャッジをせずに受け入れる。
自分の持っている物を価値化する。
誰かと分かち合う喜びを味わう。


当たり前のように思えるこうしたことを、大人になるほどどこかに置き忘れてしまっているものです。



予想以上に上手く出来て「やればできるじゃん」と思った。

薄さに動揺した一回目とは違い、今回は余裕で薄さも受け入れた。

焦げちゃったトルティージャを囲み、大爆笑の食卓を楽しんだ。

ご当地素材をアレンジし、独自レシピを開発した。

家族のルーツを思い出し、ラーメントルティージャを公開した。




それぞれにドラマがあったはずです。
その一つ一つを、五感を働かせながらもう一度、思い出してください。
人も、会話も、空気も……。

そうすることで、今のそれぞれの記憶が、この先、トルティージャを作った時により鮮明に呼び起こされてくるでしょう。

そして、こうして一緒に時間を共有した人たちの記憶もまた、あなたの記憶の中に蘇ってくるのです。


『食べて癒す』

人は体内に取り入れる物「食」でつくられています。

食べ物の持つ栄養素だけが栄養ではありません。タンパク質、ビタミン、炭水化物といった要素は身体や骨を作ります。

そして、食を通して受け取る感情は心をつくります。さらに、そこから生まれた記憶が未来への栄養となっていくのです。

こうした全ての物のバランスがとれた時、食べることが癒しに繋がってくると信じています。

どうか、あなただけの「アタシんちのアイツ」を大切に、五感を研ぎ澄ましながら丁寧に生きてください。

皆さん、本当にありがとうございました。
またね!

「あなたは今、ちゃんと食べて生きていますか?」




参加して頂いた方すべてのトルティージャの写真を集めました。
ZOOM背景に使用できる大きさにしてありますので、ダウンロードしてお使いくださいね。

ダウンロードはこちらから↓


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