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ワンダフル裁判(ナンセンス小説 2023/11/26)

「被告ー、被告いるかー?」
「はい!被告は僕でーす」
「原告はー?」
「ここにいま~す」
「よし!裁判始めっぞー」

ワンダフル裁判、開廷!

「まずは罪状じゃ。えー、被告は自転車に乗りながら両耳でガムを噛んでいたところ、うっかりジャイロ回転が始まってしまい気が付いたら隅田川の水面を走っていたことにより、中の軽寄りの軽の重犯罪防止法によって逮捕されましたー」
「いやあ、うっかりしてました……」
「よろしい。原告、あなたは被告人の自転車を務めてるんですよね?」
「そうなの~。ジャイロ回転のせいでタイヤがズタズタでまいっちゃう」
「こんにちは。検事でございます。求刑していい?」
「よろしいよ」
「ありがとうございます。被告には懲役9時間を求刑しますですです」
「えー、終電逃しちゃうじゃん」
「そこー、私語謹んで!弁護人いるよね?なんか言いたいことある?」
「おいらが弁護人だね。ジャイロ回転が始まってから、本人にも制御フノーになってたみだいだね。それだとしょうがないから、4時間ぐらいにまけてくれない?」
「お、それなら帰れそう」
「はいはいはいはい!異議!異議でございます!」
「検事、どうぞ~」
「ありがとうございます。しょうがないといっていますけれど、両耳でガムを噛んでたのがそもそもまずかったんじゃないです?なんで両耳でガム嚙んでたのか聞きたいですー」
「被告、検事ああ言ってるけどなんで両耳でガム嚙んでたんすか?」
「ああ、それかあ。ガムが硬すぎて歯で噛めなかったから、耳たぶの力を使って噛んでたのよ。それでもギリギリだったけどね。」
「そんなガムあります?」
「検事、発言するときは手挙げてね」
「失礼しました、ごめんなさい!……はい!」
「はい、検事」
「そんなガムあります?」
「弁護人、そこんとこどう?」
「うんうん、これはおいらじゃなくてこの人に話してもらおっと」
「この人とは?」
「私で~す。証拠人で来ました、ガムの専門家で~す。その硬すぎるガム、たぶんガムじゃなくて煎餅なんじゃない?茶色くなかった?」
「被告、どうでした?」
「あー、言われてみれば茶色かったかなー。でもあんまり覚えてないや」
「私から証拠人にお聞きしたいんですけど、そんなガムと間違えるような煎餅ってあるんです?」
「いや~私は煎餅には詳しくないんでちょっと分からないですね~。すみませ~ん」
「あら、それは失礼」
「ちょっと待って!異議異議、異議あります!」
「あ、検事、どうぞ」
「ありがとうございます。ガムと煎餅を間違えていたのなら、結局は被告の過失なんじゃないですか?」
「確かに」
「おいらも異議!」
「弁護人、どうぞー」
「この話で大事なのって、食べたものがなんか想像よりも硬かったってことじゃないかなあ。だったらガムでも煎餅でも同じじゃない?」
「なるほどね、一理ある気がする。ところで、そろそろ判決出していいかな?被告ー」
「僕は問題ないんじゃないかと思いまーす」
「原告」
「まあいいかな~うん、判決で」
「おっけ~判決出しまーす。被告はね、有罪でーす!」
「あーやっぱそうだよね……」
「懲役8時間、執行猶予5年を科します。被告、執行猶予ついたから今日は帰れるよ!今後は注意して自転車乗ってねー」
「はい、ほんとお騒がせしました。すみませんでしたー」
「みんな今日は気を付けて帰ってください。お疲れっす!」

ワンダフル裁判、閉廷!

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