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小説【アコース・ティックブルー】夢を忘れたくない全ての人へ。

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※オリジナル小説※  伝説のロックバンド”Mor:c;wara (モルクワァラ) ”は人気絶頂の最中、ボーカルTASKの事故死により解散を余儀なくされた。  TASKの死後、彼… もっと読む
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#音楽

小説【アコース・ティックブルー】目次

track0: Introduction track1: SLOWDOWN #1     #2 track2: I still haven't what I'm …

G@ck
4年前
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小説【アコースティック・ブルー】track0: Introduction

 ステージを照らすスポットライトの光が弱まり、足元のフットライトが淡い光を放ち始める。 …

G@ck
4年前
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小説【アコースティック・ブルー】track1: SLOWDOWN #1

 ノイズ混じりの古い録音。  薄い膜を張ったような少しくぐもった音声データには、柔らかな…

G@ck
4年前
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小説【アコースティック・ブルー】Track1: SLOWDOWN #2

 どこまでも透き通る歌声が、吐き出す煙草の煙とともに冷たい夜の闇に溶けていく。相変わらず…

G@ck
4年前
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小説【アコースティック・ブルー】Track2: I still haven't what I'm looking for #1

「コチラが来春発売予定の新モデルです」  差し出された一枚のプリント用紙を覗き込むセイイ…

G@ck
4年前

小説【アコースティック・ブルー】Track2: I still haven't what I'm looking for #2

「オーディション?」  録音作業に追われるスタッフ達の傍らで、TASKの歌録りを見守っていたIC…

G@ck
4年前

小説【アコースティック・ブルー】Track2: I still haven't what I'm looking for #3

 生バンドの演奏があるのは週に二~三回。  JazzyNightやRockNightのような特別なイベントがある週末は立ち見が出るほど客が押し寄せる。そのため平日の夜は客の数は少ないが、静かな店の雰囲気が好きな常連客も多い。 ”シドとナンシー”と店員達からあだ名されている二人はそんな平日夜の常連客だった。彼らはいつも十八時頃にやってくると入口に近いカウンター席に陣取って二~三時間、音楽(特にロック)について熱く語っていく。  知識が深い二人なので、セイイチも店で顔を合わせると

小説【アコースティック・ブルー】Track2: I still haven't what I'm looking for #4

「オーケー、お疲れKANON」  ミキシングブースからレコーディングブース内に声をかけるセイ…

G@ck
4年前
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小説【アコースティック・ブルー】Track3: Time after Time #1

 ロココ調の椅子やテーブル。細かなダマスク柄が描かれたベージュの壁紙には年代を感じさせる…

G@ck
4年前
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小説【アコースティック・ブルー】Track3: Time After Time #2

 ツアー最終日まで残すところあと3日。  完成した舞台装置の点検作業も終わり、演出プラン…

G@ck
4年前
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小説【アコースティック・ブルー】Track3: Time After Time #3

 開店までにはまだずいぶん時間がある。  ケンジが来るのはいつも夕方4時頃だし、照明の点…

G@ck
4年前

小説【アコースティック・ブルー】Track3: Time After Time #4

 セイイチは思わず店の扉を開いた。  取材を受けたカフェから録音スタジオがあるビルまでは…

G@ck
4年前
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小説【アコースティック・ブルー】Track4: IN THE HOLE #1

 ヘッドホンから流れる懐かしい友の声を聴きながらラップトップのプレイビューを見つめる。曲…

G@ck
4年前
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小説【アコースティック・ブルー】Track4: IN THE HOLE #2

 ちょうど営業が始まる居酒屋やバーの看板に明かりが点り始め、昼間は寂しく感じるくらい静かな通りが俄に活気づいてきていた。  仕事終わりの時間にはまだ少し早いはずなのに、すでにほろ酔いでふらついているスーツ姿の中年男性や、学生バイトらしい威勢のいい若いスタッフが店先で通行人に声をかけている。楽しげに行き交う人々の笑い声や忙しなく開店準備に追われる繁華街の雑音に紛れながら、ただ街の様子を眺めているだけで余計なことは考えずに済むように感じた。  飲み屋ばかりが連なる細い通りを抜け、