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所長コラム⑦「メタバース・カウンセリングを私が受けてみました」

 こんにちは、VCラボ所長の松本です。今回は私自身が相談者として、メタバース・カウンセリング研究会でリアルなキャリア相談をしてみました。その感想を書いてみたいと思います。

 カウンセリングを受けてみて、思った以上に話の内容に没入できると感じました。もちろんカウンセラーのスキルによるのでしょうが、Workroomsのメタバースでは、手と指が実際のものと連動するので、相手のノンバーバルな表現が見て取れるのは結構パワフルだと感じました。猫とか熊とかのアバターで相談するのとは、臨場感が違うと思います。

 Workroomsのアバターは実際の表情とは連動していません。加えて、ネガティブな表情は表現されません。つまり、相手の表情は分からないのですが、怒りや不快などの表情が示されないというのは、安心感がある気がします。言語的にも相手からネガティブな反応が示されない限り、自己開示は進みやすい印象です。

 ただし、相手の呼吸が読めないので、話すタイミングを取りづらいと思いました。Zoomなどでも相手の呼吸を捉えるのは難しいですが、やはり呼吸が見れたり聞こえたりする方が、今話していいタイミングか、相手が話し始めそうかが分かるので、タイミングは取りやすいです。

 また、VRの世界では交感神経が活性されやすい感覚があります。テンションが上がりやすい感じがします。例えば、自然空間での相談では、風や鳥の声などが聞こえるため、安心感に繋がりやすいと思います。景色や音楽など、メタバース内の環境を工夫するのが重要ではと思いました。

 研究会の参加者のリフレクションでは、「自宅ですっぴんでアバター相談するのと、化粧して職場でアバター相談するのとでは違いそう」といった意見も出されていて、興味を持ちました。たとえアバターでも、実体が自宅で部屋着ですっぴんで相談をする方が、より率直に話ができるような気がします。

 他にも「自己開示が促進し過ぎてしまった場合に話の収束の付け方や、開示し過ぎに対する罪悪感ケアも重要だね」なんて意見も出されていました。色々と気づきがあった貴重な体験でした。

■所長プロフィール

松本 桂樹(まつもと けいき)
株式会社ジャパンEAPシステムズ 取締役
神奈川大学人間科学部 特任教授

精神科クリニックにて心理職として勤務後、日本初の外部EAP専門機関であるジャパンEAPシステムズの立ち上げを担う。 現在もEAPコンサルタントとして、勤労者の相談を多く受けている。
 臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士、キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、日本キャリア・カウンセリング学会認定スーパーバイザーなどの資格を保有。

お問い合せ:https://www.jes.ne.jp/form/contact