ROUTE_順路

2009~2013「転機」

今書き残しておく意味

自分で自覚している転機のタイミングは、たぶん10年くらい前だったと思う。その後起業をして約7年。少しその頃のことを文章に残してみようと思った。

この振り返りが誰の何に繋がるのかはわからない。でも、もしかしたら誰かの人生の節目にヒントのような役割を果たすかもしれない。そんなことを想像しながら書いてみようと思う。

とは言いながらも、決して読みやすい文章ではないし、何より長い(汗)

なので、もし今自分の転機かもしれないという方に、且つ10分くらいまとまった時間がとれるという時に、この文章が届くことを願って。

本棚

モヤモヤぐるぐる期

「あなたは今やりたいことをしていますか? もし、していないとしたら今何をしているのですか?」これが、私の転機になった問いでした。(確か、本田健さんのHPか何かにあった気がする)俺いったい何やってんだろう?本当にこのままでいいのか?そこから自分のシフトがはじまった。

でも、じゃあ何をしたいのか?と自分に問うてもモヤっとして出てこない。なんとなく好きなものはあるが、それらが自分のキャリアシフトに結びつくとは思えない… はっきりしているのは今のままではダメだってこと。

でも、何が自分の(お金を払ってまで求められる)提供価値なのか?と問うと、、、「自分には何もない…」

振り返って思うと、当時は求められることにとにかく応えることが最優先だった。その先に自分のキャリアが開けるとも思っていた。だから意識して”自分の提供価値”を言語化し自覚するということをしていなかったのだ…。

雨の曇りガラス

問いを変える

私は自分への問いを変えた。提供価値だとかは横にいったん置いた。そして、自分が心からそのことに時間や労力をかけても惜しくないと思えることは何か? 誰がなんと言おうが関係ない。自分はこれをやるんだ!と感情やエネルギーが湧くものは何か?と問いはじめた。

いくつかキーワードが出てきた。例えばNumberという雑誌。スポーツ選手のヒストリーやストーリーが丁寧に紡がれているところがすごく好きだった。企業や働く人たちの想いにフィーチャーしてるもの、プロフェッショナル仕事の流儀とか、プロジェクトXとかは超好きだった。

自分のやっていることに誇りと情熱を持って楽しんでる姿。そんな姿に熱くなった。翻って、自分は今どれだけそうなれているか?さらに周りを見て、どれだけの人がそうなれているか? 残念ながらそれとは違う状態ばかりが浮かんだ…。

そうして思った。なんでこんなにも元氣をなくしているんだろう?なんでこんなにも夢を語りづらい感じの空気感があるんだろう?そしてさらに思った。この状態や感覚と、あのナンバーやプロフェッショナルやプロジェクトXの世界との違いは何なのか?

自分を最大限活かして生きる

一番望んでいることは、一番苦しんだことの中に

その頃私はファンケルで店舗事業のマネジメントをしていた。ふと、店長たちとの面談を思い出した。彼女たちは本当に頑張っている。素晴らしい仕事をしている。面談で、彼女たちがしていることの価値、素晴らしさを私が感じるままによく伝えてた時の嬉しそうな顔が好きだった

WORKはLIFEの一部だ。それもかなり大きなウエイトを占めている。直接にしろ間接にしろ、LIFEの中でも自分が誰かとの関わりの中で何かを創り分かち合うことはすべてWORKだと私は思っている。お金が生まれる時もあるし、それ以外の時もある。

そのWORKが本当に素晴らしいと思える。自分を最大限活かし、誰かを喜ばせ何かが良くなっていく。そんな感覚で生き、はたらく人を一人でも多く増やしたい。そのために出来ることをもっとやりたい!それは何より自分が一番望んでいたことだった。点と点が繋がった瞬間だった

インスピレーション

見える世界が変わっていく

それが見えると、まるでアンテナが立ったかの様に、紐づく人・場・情報に出会った。新たにキャリアカウンセラー資格を取り、ワークショップを仲間とやり、さらにワークショップデザインを学ぶ。今までやってきた経験も、むちゃくちゃ活かせることにも気づいた

自分では当たり前にやっていた、人の話を要約して図化することも、自分のGIFT(才能)だと気づかせてもらった。ちなみに、人のGIFT(才能)って、本人が一番それに気づきづらいものだ。なぜなら本人にとっては極めて自然で、「普通にやってます」くらいの感覚だから

「俺いったい何やってんだろう?本当にこのままでいいのか…?」そう思ってから約3年。内省、行動の繰り返し。その間、会社とは別の場で、様々な出会いと機会をつくった。2つ以上のコミュニティに属することのメリットはかなり大きいことにも気づいた

まず、視点が偏らない。いつも多方向からものごとが見られるような感覚でいられた。精神衛生上もプラスに働いた。何かあっても別の方向にシフトできる準備があると、ストレス耐性もあがり、余裕も出てくる。自分が居られる複数のコミュニティがあることの価値は大きかった

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時が満ちる

時が満ちるとはこのことかもしれない。ある時大きな組織変更があり、私自身も新たな役職の打診を受けた。それは内容も待遇も普通なら受けるメリットしか感じないようなありがたい話。しかし、私の中では逆にそれがスイッチになった。「今が会社を離れる時かもしれない」

やりたい方向性は、だいぶ見えてきていた。後はそこに全力を注ぐだけ。会社を離れれば、与えられた安定は手放すことになる。しかし自分の内から湧き出る想いに思い切りコミットできる。真の安定とは外的な条件でなく、内的な充実とやりがいがもたらしてくれる。そう考えた。

時間はある

自分が試される時

私にとって、ファンケルの創業者、池森賢二は、たぶん人生最大のメンターだ。自分のビジネス観の多くは、池森さんの影響を色濃く受けている。新たな役職の打診は、池森さんから直接あった。それは私にとってはやりたい分野ど真ん中とも言える役割でもあった。

やりたい分野ど真ん中ではある。でもそれをこの会社の中でやるということは、純粋に自分のやりたいようにやることとは違う。葛藤が起きた。本当にやりたい分野だからこそ、逆にジレンマが大きくなるのではないか。

尊敬する池森さんからの直接打診、やりたい分野ど真ん中、それゆえの予想されるジレンマ。しかしここでその打診を断り、「会社を辞める」と自分は言えるのか?浮かんだのは不安よりも「申し訳なさ」のような感覚だった。

今までの私であれば、ここで折り合いをつけたかもしれない。「この機会はチャンスだ」「今やめることはない」違和感を押し殺して頭でそう言い聞かせるような。でもその時もう1人の自分が言った。「お前はいつまでそれを繰り返すんだ!」

DNAっぽい伽藍

俺は弱い。本当に弱い。

もう、「辞めるのを止めるのをやめよう」
そして池森さんに直接それを伝えに行った。私が辞めると言い出すなんて夢にも思っていない池森さんは笑顔で迎えてくれた。心が揺らいだ。「やっぱり辞めるの止めようか…」

俺は弱い。本当に弱い。ここで「頑張ります」と言えば池森さんはきっと喜んでくれるとは思う。気まずい思いはしなくて済む。そして打診された役割はとても魅力あるものでもある。そんなこんなで心は揺らぐ。いつもなら…

でも、結局私は辞めることを伝えた。

私の転機はもしかしたら、この一瞬だったのかもしれない。今までの自分ならかなりの高確率で、最も期待に応えたい人を目の前にして、自分の想いを優先させることはなかったと思う。しかし、ここでは揺らがなかった。それを上回る大義のような感覚が自分にあったのかもしれない

誰になんと言われようと自分はこれをやる。その価値と意義は今は自分にしかわからないかもしれない。そんな自分の声に応えられるのは、私以外にはいない。自分の人生は私にしか生きられない。「実は、辞めようと思っています」私は切り出した。

旅するように生き働く

沈黙の後に

沈黙が流れる。たぶん10秒くらいだと思う。しかし私にとっては永遠にも感じられる時間だった。「そんなおおげさなことか?」と思われるかもしれないが、その時の私にとっては本当に怖いことだったのだ。

「それで、何をするんだ?」その静寂を破ったのは池森さんだった。池森さんは、元々ガス会社のサラリーマンだった。そこから脱サラし、紆余曲折を経て、42歳の時にファンケルを創業した。私にとってそのストーリーは、まさにヒーローズジャーニーだった

私は自分の想いを語った。池森さんはその時いろいろと語ってくれたが、実は正直あまり覚えてない。。私は結構いっぱいいっぱいだったのだ。でも一言だけ覚えている。「何か困ったことがあったらいつでも言ってこい」そのの一言にじわっと涙が出てきた。

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応えるべきもの

39歳の私は、新卒入社して17年所属したファンケルを離れ、そして起業した。人生には無数の分岐点がある。そして、そのうちのいくつかは、かなり大きな分岐点だ。そこでガチャンと音を立てて人生の航路が変わるような分岐点。

誰かの期待に応える人は他にもいるが、自分の期待に真に応えられるのは自分しかいない自分の人生を生きる。その上で誰かの喜びや何かが良くなることにつながるイメージを持つ。それがVisionary Work

起業して7年。あらためて自分の転機を振り返って言葉にしてみました。この体験が、どこかの誰かの何かに役に立つことがあるかもしれない。そんなことを思いながら綴ってみました。私は私の旅を続けます。そして共に旅することがあればぜひ一緒に冒険しましょう

ものの見方(^_^)

そして、2年後


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