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肯定型の子育て

日本人として育ち、親になり私も実感したことがあります。これは仕事でもよく感じてきたことなのですが、我々はミスや改善点を見つけることに優れている人種です。ですから子育ての中でも「これは良くない」「これはダメ」という指摘が多くなりがちです。

昨今、「肯定感を持てない大人が増えている」と言われていますが、この減少は子育てや教育からの結果であって、社会的に解決するには子育てを改善するしか方法がありません。

最近この話をしていたところ、アメリカで育てた私の日本人の娘が「ああ、アメリカの高校の幼児教育クラスで習うよ。NOTを使わないで教育すること」と言っていました。あまりに簡潔な説明ですが、腑に落ちることがたくさんあります。親として、教育者としてNOT(否定)のポイントを探すことは簡単でしょう。しかし「してはいけない」と言われるのと「そうしてみるとうまくいかなかったなら、こうしてみようか?」と言われるのと、人の感受性が受ける印象はどちらが包容力が強いでしょうか。

例えば、熱いお茶の入った急須を触ろうとしている5歳児の我が子が目の前にいたとしましょう。「それは熱いから触ってはいけない」と言うことは親の義務だと思って子育てをしていませんか?そうした否定を繰り返し浴びせていると、子供はいつしか「否定ばかりされる」人間だと思い込み、自分の肯定すべきポイントを見失っていきます。「お茶の急須、持ってみたい?今、それは熱いから一緒に持ってみよう」とか「熱いから一緒に触って確認してみよう」と言った「包容力」を親が発揮するだけで、子供の成長には大きな差が出てきます。また、中学生や高校生が「彼氏・彼女がこう言うことをしてきたので、私はこうした」と言う内容が親から見て間違っていた、または改善点があったとします。頭ごなしに「それはしてはいけないな」と言うのは、大人としてあまりに簡単で雑な行為でしょう。そこで「なるほど、こんな気分になったわけね。今度はこうしてみることもできるんじゃない?」とか「他に考えた方法はあったの?」という対応も良いと思います。

何れにしても、肯定感と思考力というのは一緒に成長するものなので、その入り口を否定形で塞いでばかりいれば、それは肯定感の育っていない子供が大人になってしまうのも無理はありません。もちろん、学校などの教育現場でも必要なことですが、まずは家庭から始めることが子供の限られた学習期間に有効ではないでしょうか。

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