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【今日のコラム Log.5】LGBTQとvtuber【鈴宮ナギ】

文:鈴宮ナギ

 ちかごろ、LGBTQという言葉がはやっている。いや、流行っている、という表現は誤りかもしれない。彼らは、いや、私たちは、この言葉ができる前から、そこにいた。昨日、今日、私たちは沼の底から唐突に湧き出たものではないのだ。

 告白しよう。私は、バイセクシャルだ。私が物心ついた時の初恋の相手は女性だった。しかし、2人目に好きになったのは、同い年の小柄な男性だった。それからの人生で、私は、時に女性を好きになり、時に男性を好きになった。

 私にとって、どの性別を好きになるのか、ということはあまり意味がなかった。私は、恋愛ということについて、性別を意識したことがあまりない。好きになった人が、たまたま男性という性別だったり、女性という性別だったりしただけなのだ。

 さて、ぼんやりと、私の人生と性的指向について、少しの告白をしてみたが、普段なら私はこんなことはしないだろう。この告白は、ここが「今日のコラム」というインターネット上の媒体であるから、できたことだ。学校や職場、友人との食事の場……もし、そんな場所なら、私はこんなことを告白しない。

 しかし、そのような「隠す」生活をしていると、徐々にだが、鬱憤がたまってくるものだ。男性が女性を好きだとふるまい、女性が男性を好きだとふるまう……そんな自分を自然に見せるための行動が、自分を偽る感覚を私たちに与え、自分自身を日々、少しずつ傷つけていく。

 その点、インターネットの世界では、特に、VTUBERという世界では、自分を偽る必要がない。私はバイセクシャルのVTUBERとしてふるまうことができる。

 ああ、なんと素晴らしい世界なのだろう。私は、私の、すがた、こえ、そのすべてを、私の好きな形にすることができる。自分の存在を、自由に、そして、大胆に表現できる。ああ、もう一度、声に出して言おうじゃないか。

 なんと素晴らしい世界なのだろう!

 VTUBERはLGBTQの人生の在り方を変えるものだと、私は思う。社会において、自分を隠して生きているLGBTQの方がいれば、VTUBERという生き方をお勧めしたい。自分の存在と人生の在り方を、自由に決めることができる。それがVTUBERだ。

 昨日街で見かけた男性(女性)がかっこよかった、とか、その日、感じたことを、偽りなく、自分を傷つけずに、表現できる世界がそこにある。とても、美しく、強く、大きな可能性を、私はVTUBERという存在に感じている。

 今日もVTUBERとして私はこの世界を生きる。ああ、世界はなんて素晴らしいのだろう。


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