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この花柄がちょっと…と最後まで渋っていた

「1泊旅行にちょうどいい大きさのカバンない?」
先日、帰省していた娘が突然訊いてきた。
大学の友達と旅行する計画があるのだとか。
カバンくらいいくつもあるから大丈夫と答えたが、スーツケースもボストンバッグも、家にあるものはどれも娘の要望には大きすぎた。

うーん、買うしかないか…という娘に、あ! ちょっと待って!
そういえば僕が以前使っていたカバンがもう一つある。
ガサゴソと引き出しの奥から出したカバンを見て娘がギョッとする。
「なんでこれ、内側は花柄なん…」
「あぁ、レディースやから」
「え…」

たしかそのカバン、出張中に池袋で買ったものだ。
僕は結構レディースを買う。
サコッシュも、今見たらレディースやんこれ。
そういえば、服もレディースをためらわない。
どうもメンズは機能性ばかり追求して、かわいげがないから。
サイズ的にメンズを選ばないといけないことも多いけれど。

レディースのクロップドパンツを買った時は少し大変だった。
裾や腰にこれでもかとガーリーなリボンがついている。
レディースを選ぶといっても、メンズが武骨でいやなだけで、別にガーリーになりたいわけじゃない。
折り返したりポケットに入れたりしてガーリーは隠したが、歩いているとぴょろんと出てきたりもする。
さらにファスナーの浅さはどうしようもない。
レディースのファスナーは、立ったままの小用には深さが全然足りないから、トイレはいつも個室に入るしかない。
男子トイレの個室は、女子トイレのそれに比べてなかなか空かないというのに。

およそ男子が惹かれそうな、かっこいいものに食指を動かすことがほとんどない。
小さいもの、かわいいものを選びがちなのは、以前の記事「おいしそうでかわいいものに目がない」にあるとおりだ。
ひょっとすると、「僕はひそやかに赤を好いている」に書いたように、ほぼ女子として育てられたことが影響しているのだろうか。

娘から旅先の楽しそうな写真がLINEで届いた。
無事、1泊旅行に行けたようだ。
この花柄がちょっと…と最後まで渋っていたが。
もしかすると娘は、僕の反動で男子として育ったのかもしれない。

(2022/9/21記)

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