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外出時には決して着ない

着古したTシャツを部屋着にすることってある。
あるというより、それがふつうか。

外に着て行くにはヨレヨレだしハゲハゲだしボロボロだし、でも家で着る分には何も困らんよな、みたいな。
むしろカレーが飛んでも、ミートソースが跳ねても平気、くらいの。
と重宝したりして逆に捨てにくくなる。

そういえば今日着ているTシャツは、たしか高知のイオンで買った。
ということは、長男がひどい食物アレルギーで国立高知病院の専門医にかかっている頃だから2004年だな。
えーっと、2024-2004は…うーんと…

かくしてタンスはいつしか膨れ上がる。
僕のタンスはそんな歴戦の勇士でいっぱいだ。

ボロボロでなくても、いやむしろ新品そのものではないかというTシャツであっても部屋着に回されるものがある。
高校や大学で作る、いわゆる「クラスTシャツ」と呼ばれるものだ。
最近は「クラT」と呼んだりもするらしい。

同じクラスの、あるいは同じゼミのメンバーだけで作るプリントTシャツ。
わずか2000円ほどで団結力が高まるならお安いものだ。
体育祭や文化祭に合わせて作る1日限りのものだってある。
そして、そういうものはそのとき以外、袖を通さなくなる。

息子のクラスが作ったクラTは、あるプロスポーツチームのユニフォームを模したものだったりして、著作権法でいえば完全にアウト。
学校行事で着る分には最高裁だって目をつぶってくれるはずだけど、さすがに外で着る分にはまずい。
今ではすっかり部屋着だ。

最近、家の中で目にも鮮やかなオレンジ色のTシャツを着る人がいる。
娘だ。
え、そんなTシャツ持ってたっけ?

この春、大学残り1年となってほぼ出席の必要がなくなった娘は、京都の下宿を引き払って神戸に帰ってきた。
京都の3年間で娘が買った服はほとんど知らないから、へぇそんな服も着るんや的なのはたくさんある。
このオレンジのTシャツもそのうちの1枚だろうか。

娘はこの酷暑を乗り切るパジャマとして、そのTシャツを選んだようだ。
暑くなるとともに、見かける頻度が増してきた。
外出時には決して着ない。
だって、その背中にはこんなプリントがあるから。

(2024/7/13記)

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