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ドラえもんのテーマソングでも鳴らしてみようかな

仕事中、隣の席の人のスマホが突然テクノサウンドを鳴らした。
自分も含め、周囲数mの人たちが一斉に顔を見合わせ、そして爆笑した。

えーー! 今どきそんなん鳴らすーー?
着…メロ…? そう、着メロ! そういえば、着うたとかもあったな。
しかもテクノサウンド、ヤッバ~! ギャハハ!

これ、10年前も同じ反応だっただろうか。
うわぁ、えぇなぁ、その着メロ!とか言ってなかったか?

ガラケーがスマホになって急速に着メロ文化がしぼんだ。
それまでは、あれだけお気に入りの曲を競って着信音に設定していたのに。
着メロひとつ120円とか平気で払って買い、友だちと家族で着メロを変えたり、恋人にはスペシャルな着メロを設定したりしていたというのに。
ガラケーの数万倍クリエイティブな香りを放っているスマホなのに、着信音は逆にクリエイティビティを失って、標準で入っているおもしろくもなんともないトーン音のようなメロディー10択から、どれでもえぇわと設定する。

音楽を入れることがふつうになったから、だろうか。
ガラケーの頃は、決して少なくはない出費に顔をしかめながら音楽を購入していたから、どの曲を購入し、さらにその中からどの曲を誰の着信音に設定するかで各人の個性さえ表現できたのだ。
今のようにいくらでも入れ放題、あるいは定額で聴き放題というのとは明らかに1曲の重みが違っていた。

さらにガラケー・スマホ含め、携帯電話という存在が、最近いろんな場面でよく言われる「モノからコトへ」の変遷を辿ったとも言える。
初期の無骨な実用装置の段階から、コンパクトになり音楽やデコパーツで表面的な装飾を施す段階を経て、今は持っていてあたりまえの情報端末としてそれを使って何をするかという段階に来たということだろう。

そう考えると、今後スマホで着メロ文化が再興する可能性は低そうだ。
電話をかけてきた人のアバターが立体映像でスマホから飛び出して着メロを歌い上げるくらいの革新でもあれば別だけど。

***

皆、仕事の手を休め、ひとしきり着メロを懐かしみ、盛り上がった。
スマホってコミュニケーション端末やけど、こんなコミュニケーションもあるんやなとか言いながら。
こういうの、悪くない。
今度、昔設定していたドラえもんのテーマソングでも鳴らしてみようかな。

(2021/3/27記)

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