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怒りは期待の裏返し

ある百貨店で販売中、えらい剣幕でたいそうご立腹のお客。

――あんたんとこの松山店はアカンな、こないだ旅行で行ったとき、こっちは全然時間ないのに10時になるまで店開けてくれへん、あんたらホンマもっと融通きかしや!

理屈は通らないものの、急ぎの旅なら気持ちも分かると思い、それはそれはと詫びようとした矢先、お客の口からこぼれた一言。

――そやから田舎モンや言われんねん。

おっと、そう来ますか。
とりあえず詫びるのはやめにして、こう訊いてみた。

――こちらの百貨店ならそんなとき早く開けてくれますか?

およそ店員たるものグッとこらえるべきなのかもしれないが、「できの悪い田舎者を、よくできた都会者がなじる」などという、問題のポイントがずれた構図を持ち込まれてしまうとちょっと。

結果、お客は苦笑しながらうちのブースでたくさんのお買い物。
怒りは期待の裏返しなのだ。

売場に平和を取り戻せてよかった。

(2015/9/25記)

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