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【疎開日記2021】#19大福バースデー

8月25日(木) 疎開生活86日目

状況が目まぐるしく変わるので、ついていくのにやっとだ。

ホーチミンは月曜から完全なる外出禁止令が出た。2週間買い物にも出てはいけない。軍隊が出てきて、検問や巡回を開始。地域毎に青年団や婦人会などが買い物代行をしてくれるらしい。

けれど、ベトナム人と外国人とでは欲しいものが違うだろうし、買い物代行というのもなかなか難しいだろうなと思う。外出禁止のニュースでパニックになった人々が週末スーパーに殺到している様子もニュースで見た。これで感染が広がる可能性もあるだろうなと思われる密な映像にギョッとした。

貧困層には「安心バッグ」という食料や生活必需品が入っている袋が配られたというニュースも見た。店が閉まり、物流もストップ、これでコロナが収まったとしても失業率はとんでもないことになっていそうだし、治安の悪化も懸念される。

ホーチミンが厳しくなると、ブンタウも厳しくなる。まだ全域ではないが完全外出禁止のエリアもある。ホーチミンのニュースはネットで調べられるのだが、バリアブンタウのニュースは探しにくいので、何がどう変わったのかはっきりわからなくて困ることが多い。とにかく出てはいけない、それだけはわかるのだが。


そんな中、日本人学校も2学期が始まった。
オンライン授業は9月から10週続くことが決まっているので、2学期はほぼオンラインだ。先生方も出勤できず、自宅からzoomで朝の会や帰りの会を、夏休み中に準備したであろうビデオを使って授業をしてくれている。
夏休み中に一時帰国をした家族も多いようだ。日本からオンライン授業を受けている子もいる。


前回、ちびモーリス(ヤモリのこと)が居着いて喜んでいた我が家だったが、その数日後に哀れな姿で固まっているところを発見した。悲しい出来事その一。

やっと牛乳が買えるようになったと喜んでいた矢先、Qmartへ続く道が封鎖され再び牛乳難民となった我が家に、Qmartはどうやらデリバリーできるらしいという朗報が届いた。英語が通じる店員さんとメッセージでやりとりすること数回、見事牛乳とパンをゲット。

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久々の食パンにテンションが上がる。

が、ガッカリ再び、デリバリーもすぐにできなくなった。封鎖のチェックが厳しくなったのだろうか、デリバリーするドライバーのチェックが厳しくなったのかもしれない。救世主が現れたかと思うとすぐに姿を消した。悲しい出来事その二。

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けれど、最後のデリバリーの時に、ドライイーストが買えたのが良かった。小袋に入っているこのイーストと小麦粉のおかげで、ドーナツを作ることができた。そのうち、フライパンで焼けるパンでも作ろう。

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洗濯機があまり良くない話を前に書いたが、持ってきた服が毛玉だらけのボロボロになってしまった。パンツも擦り切れている。みすぼらしい自分を見ると情けなくなる。悲しい出来事その三。


洗顔石鹸が残りわずかだ。化粧もしなければ、化粧水も何もつけない日々を送っているが、洗顔くらいはしていたい。が、他の石鹸では荒れるので、もはや洗顔も数日に一回のペースに。「肌断食」というのが流行ったような気がするが、断食どころではない。白ニキビが常にできている。
ストレスで一度KPPになって萎んだ顔には小皺が目立ち、一気に老け込んだ気がする今日この頃。寝ている時にしかめっ面をしているらしく、眉間にはくっきりはっきり縦皺が入っている。縦にも横にも線が入った。これで○×ゲームでもできないだろうか。悲しい出来事その四。


遠方凝視訓練で楽しみにしていた屋上で寝ているおじさんもいなくなってしまった。引っ越したのだろうか。コロナで隔離されていなければいいけれど。悲しい出来事その五。


悲しい出来事ばかり書いても仕方がない、楽しいこともそれなりに。

8月は娘の誕生日だ。小麦粉は手に入ったけれど、生クリームもベーキングパウダーも、オーブンもないのでケーキが作れず、悩みに悩んだ結果、和菓子を作ることにした。

Bot nepを白玉粉の代わりのする。こちらでもモチモチの食べ物はたくさんあるので、モチモチのものなら作れるのは有り難い。でも、スーパーでは売り切れているので、ベトナム人に頼んで市場で買ってきてもらった。

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謎の白い粉、自分で市場で買うのはちょっと勇気がいる?笑

ベトナムではチェーなどで使うので、小豆もよく売っている。これまたスーパーでは売り切れなので、市場で買ってきてもらった。あんこはベトナムへ来てからよく炊いているので慣れたものだ。こちらの小豆は皮が硬いので、重曹が絶対必要。これまた少し前に手に入った。


小豆と白玉粉で作ったものは…大福
Bot nepに水と砂糖を加えて、火にかけて練ると求肥の出来上がり。片栗粉の代わりで使っているコーンスターチがあったので、それを餅とり粉にする。

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初めて大福にろうそくを刺した日。


ご馳走がなくたって、プレゼントがなくたって、誕生日はお祝いできる。画用紙に絵を描いて壁に貼り、大きな声でバースデーソングを歌った。
娘のリクエストはロコモコ丼だったけれど、豚の挽き肉しかないので豚バーグ。ケチャップとたこ焼きソースでなんちゃってデミグラスソースを作り、お皿に盛り付ければ、それなりに見えてくる。

Chúc mừng sinh nhật!   お誕生日おめでとう!


あんこを炊く時にぜんざいとあんこの両方を作っておき、白玉ぜんざいにしたり、食パンを餡バターで食べたり、ずいぶんと活躍してもらった。小豆には栄養がたっぷり入っているから、食糧難の生活ではありがたい存在だ。


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ある日の昼食、白玉ぜんざいとクラッカー。

このクラッカーにも助けられている。今は懐かしい12年前。近くにスーパーも市場もない辺鄙なところに住んでいた私たち夫婦はよくこのクラッカーを食べて飢えを凌いでいた。AFCに再び助けられる日々が来ようとは…感慨深いものがある。
クラッカーと侮るなかれ。カルシウムが入っているし、味も数種類あるし、コンビニで買えるし、保存が効く、優秀な保存食なのだ!

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パンがなければクラッカーを食べればいいじゃない。


普段あまり食べないインスタントラーメンにもお世話になっている。
こちらはベトナムの国民食とも言えるハオハオの豪華版「ハオハオ プレミアム」。具材に海老とコーンとトマトが入っている。お値段はちょっと高めの9,000ドンだけれど、日本円にすると50円以下。

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カップヌードルを彷彿させる見た目。酸っぱ辛いのはハオハオと同じ。


味噌がなくなった。味噌といっても、日本のものが買えないので、韓国味噌で味噌汁を作っているのだが。これ↓はタケヤ味噌のようなあっさりとした味で食べやすい。けれど、すぐに売り切れてしまった。

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次に使ったのは、ちょっと発酵がすすんでいて酸っぱい感じがするこれ↓。山の中のドライブインとかで買ったおばあちゃん手作りの豆味噌のような感じ。これも使い勝手がいい。

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調味料の選択肢がどんどん少なくなっていく。みりんも残りわずかだ。


春に帰国した友人が、食糧難で喘いでいるわたしのために荷物を送ってくれたのだが、折下ホーチミンがウルトラロックダウンに入ったタイミング。ベトナムには届いているらしいのだが、ブンタウまで配達する術がないとのこと。
けれど、いつかは届く!という楽しみで、もう少し頑張れそうだ。本当に有難い。


娘は今、ぼのぼのに夢中だ。わたしも子どもの頃から大好きだったぼのぼの。アニマックスやキッズズテーションでやっているアニメをチェックして新規開拓。
それに、WOWOWでバカリズム、東京03、ムロツヨシのライブもやっていた。こんな時だから、とにかく笑いたい。笑いの英才教育をしておいて良かった。一緒に笑える物があるって有難い。

くすぐり合いっこも継続中。夜になると夫の笑い声が響いている。この頃ストレスで痩せっぽち気味の夫だが、ドーナツと大福の甘い物攻撃でちょっとふっくらしてきた気がする。

そんなこんなで引きこもりながらも、毎日楽しみを見つけている。ぐだぐだ言っても仕方がない。なるようになる。家族三人が一緒に過ごせているだけで幸せだ。

健康第一! 娘を守るぞ! 家から出ないぞ!

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