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ジャン=ミッシェル・フォロン展 「空想旅行案内人」

そんなわけであらためまして、
ジャン=ミッシェル・フォロン展を見に、東京ステーションギャラリーに行ってきました。
どこかで見たイラスト、一見可愛いし、色も綺麗だしで、ずっと気になっていました。


ベルギーを代表するアーティストのひとり。
1955年にパリに移住し、ひたすらドローイングを描くもフランスでは芽が出ず、アメリカの「ザ・ニューヨーカー」や「タイム」誌で注目され、表紙を飾るようになったそうです。

スティーブ・ジョブズはフォロンのファンで、
彼の依頼で初代macを擬人化したミスター・マッキントッシュを描いたり(お蔵入りしたらしい。今回展示されています)、SF作家レイ・ブラッドベリの「火星年代記」の挿絵も描いた人。

展覧会はいくつかの章に分かれていて、
ドローイング、水彩画、シルクスクリーン、彫刻のような立体など
さまざまな作品が並んでいました。
はじめの章では墨で描かれた初期のドローイングが展示されていて、
線画が好きな私はついつい見入ってしまい、自分でももっと空想の世界も描いてみたいと思ったのでした。

ポストカードの切手部分。
フォロンの絵によく出てくるリトル・ハットマンがかわいい。
あるときは独りで、あるときは群衆で異様な雰囲気を出してくるリトル・ハットマン。


「月世界旅行」1981年

メインのビジュアルにもなっている「月世界旅行」。
水彩の色がとてもきれいです。

「遠い国からあなたへ手紙をしたためています」(部分)1972年 シルクスクリーン

タイプライターのキーがかわいい、けっこう大きな絵でした。

「大天使」2003年
淡い色がとてもきれい。

比較的、かわいくて綺麗なイラストのカードを選びましたが、
フォロンの作品は、環境問題、人権問題、戦争など、社会問題に大きな関心と高い意識を持ち、告発するようなものも多いのです。
「世界人権宣言」のための挿絵の原画も、ずらっと並んでいました。

また、矢印はフォロンのお気に入りだそうで、
あっちに行くのかどっちに行くのか、都会のなかで混乱しているような、迷宮にはまっているような、そのなかで何かを選び取る可能性を示唆するような、そんな絵や立体も展示されています。

「私はいつも空を自由に飛んで、風や空と話してみたいと思っているのです」
というフォロンの言葉は印象的です。
星とか空とか水平線とかを描く作品からは、そんな自由さも感じます。

現実の問題も見据えつつ、空想の世界を描くフォロンの作品を見て
表現はもっともっと自由でいいと、語りかけられているようでした。

おまけ。

出口から出ると、表示板も。
東京駅北口の改札前を見下せます。

ギャラリーから出ようとすると、レンガの階段室を下りることになります。

昔のレンガがそのまま残っていて、触らないようにと注意書きがあります。
古いですねー。

フォロン展は、9月23日まで。


書くこと、描くこと、撮ることで表現し続けたいと思います。サポートいただけましたなら、自分を豊かにしてさらに循環させていけるよう、大切に使わせていただきます。