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2021年選抜高校野球大会 準々決勝以降 勝敗予想

2回戦の勝敗予想は7勝1敗。展開もおおよそ当たっていたので自信になる。

センバツにおける準々決勝以降というのは、それまでと比べてチームの総合力が問われる戦いになる、というのが私の持論だ。
初戦はフレッシュな状態での一発勝負なので、事前の研究や相性が勝敗の鍵を握る。
2回戦はチームの勢い、選手の調子、初戦の勝ち方が大事になる。
そうして迎える準々決勝、あるいはその先は、極端に試合間隔が狭まる。
よって絶対的なエースの存在で勝ち上がってきたチームは、そのエース投手が消耗した状態で戦うことを余儀なくされる。
負傷者が出たチームは、カバーできる代役がいないと勝負にならない。
なので、控え選手や監督の采配等を全部ひっくるめた、チームの総合力が問われる戦いになるのである。
この「チームの総合力」を念頭に置いて、予想を進めていきたい。


第9日目

○仙台育英ー天理●

準々決勝の4試合で最も支持率が拮抗する試合になるのではないか。
決勝でもおかしくないカードだと考えており、両チームの力量は大会屈指。

仙台育英は2回戦で打線が爆発。神戸国際大付を圧倒した。
やはり初戦で相対した明徳義塾の代木が良すぎただけで、これくらいはやるチーム。
東北勢初の優勝も夢ではない、投打に整った戦力を持つチーム。

天理は絶対的なエース・達がまだ底を見せていないのが強み。
2回戦は内容を良化させ、強打の健大高崎打線を完封した。
野手陣の調子も上がってきている。特に守備は盤石で、達を支える態勢は整っている。

仙台育英の勝利を予想した最大の根拠は、投手の消耗度にある。
天理の達が初戦、2回戦と球数を要したのに対し、仙台育英は2回戦で主戦の伊藤、古川の温存に成功したのが大きい。
初戦で激突していたら、天理の勝利と予想していたが、大会も終盤に差し掛かった準々決勝での試合という点に重きを置いた。
達から小刻みに点を取り、4点勝負を仙台育英が制すると予想する。

…と予想したのが28日の朝。28日に行われるはずだった準々決勝は雨で中止となり、翌29日に順延となった。
天理・達にとって1日スライドしたのは大きく、恵みの雨と言う他ない。
天理が勝つ確率は、この1日で大幅に上昇したと言っても過言ではない。
だが初志貫徹、仙台育英の勝利という予想は変えないでおく。

○東海大相模ー福岡大大濠●

福岡大大濠は、頼みのエース・毛利の消耗が激しい。
2回戦も7回以降は徐々に投球の質が落ちていった。
一方で、救援した馬場はトルネード気味の独特なフォームから、力のあるストレートを投げ込んでいた。
準々決勝も基本的にはこの2人の継投でしのぐことになるだろう。

東海大相模はエース・石田が絶好調。
昨秋よりスケールアップし、特にストレートに関しては。球速・球質・球威いずれも大幅に向上した。
初戦、2回戦と接戦だったが、絶対的エースの存在が、チームの拠り所になり焦りを消している。
打線は一見不調のように見えるが、試合の要所では得点を取れている。

雨での順延は毛利の回復が見込める大濠を利することになる。だが予想としては相模の勝利を見込む。
今大会の石田の投球を見る限り、大濠打線は石田が出てくる前に得点を重ねるしかないが、むしろ相模が先制点を取り、主導権を握ったまま終盤に持ち込むと予想している。

●明豊ー智弁学園○

2回戦の市和歌山戦の際のコメントと同一になるが、
明豊投手陣は初戦こそ東播磨に12四死球を与え、8点を取られたが、それは東播磨の走者の圧力が尋常ではなかったためである。
市和歌山線で見せた内容こそが、本来の出来と言っていい。
今年の明豊は投手中心の守備型のチームであり、智弁学園打線との勝負がこの試合の大きな見所になる。

智弁学園は打線が好調。初戦で大阪桐蔭投手陣から8点取ったのに続き、広島新庄の花田から3点、秋山から2点とそつなく点を取れている。
今大会は投高打低の傾向が強く出ているが、それだけに智弁学園打線の破壊力がよりいっそう目立つ。
中軸の破壊力もさることながら、広島新庄戦の秋山登板時に見せたような、下位を担う打者の打席での集中力、チームとしての走塁意識の高さ、小技の精度は高く評価できる。
好投手相手でも、しぶとく得点を重ねることができる打線に仕上がっている。
また、2回戦では小畠が好投。
ストライクゾーンの中で球を動かして、ゴロアウトを量産した。
結果としてエース・西村の温存に成功したのは、この先を見据える上で非常に大きい。

智弁学園は走攻守に隙が無く、先取点を取り、中盤にも加点する内容での勝利を予想する、
明豊としては2点差以内で食らいついて終盤を迎え、終盤の集中打でひっくり返す展開にしたい。

●東海大菅生ー中京大中京○

東海大菅生は2回戦の最終回でエースの本田を起用。
肩の状態が悪そうで、本調子ではないながらも、復帰できたのは好材料。
打線は2点ビハインドの9回裏に奮起し、逆転サヨナラ勝ちを収めた。
千田、小池など、調子を上げている選手が多い。

中京大中京は2回戦も畔柳を起用。温存すると考えていただけに驚きがあった。
一方で点差のついた終盤に起用した控え投手陣はピリッとせず。次戦以降に不安を残した。
打線はやはりスイングに力があり、大会でも上位の破壊力を有する。

畔柳を短い間隔で起用せざるを得なかった中京は、雨での順延は大歓迎。
恵みの雨を利用して、三たび先発に起用してくるものと思われる。
東海大菅生はエースの本田で行くのか、これまで通り鈴木で行くのか、松永の調子も良さそうで、非常に読みづらい。
いずれにしても中京が先制し、畔柳が菅生打線を力で抑え、5点勝負を制して中京が準決勝に駒を進めると予想する。

第10日目

○天理ー東海大相模●

天理・達が2回戦のような投球を見せることができるかに尽きる。
準々決勝の仙台育英せんは、失点こそ最小限に留めたものの、非常に制球に苦しんだ。
球数もかさんでおり、疲労はピークに近いと思われる。
早いカウントで追い込んで、三振や凡打を誘いたい。
打線が爆発したのは好材料。瀬の勝負強さはすばらしい。
ショートの杉下も存在感抜群である。

東海大相模は準々決勝で磐石の試合運びを見せた。
キャプテンで2番ショート、攻守のキーマンである大塚を胃腸炎で欠きながら、この勝ち方は強い。
門馬監督の息子である功や、綛田が絶好調だ。
エース・石田の投球にも隙がなく、優勝に最も近いチームと言える。
だからこそ門馬監督は、初戦で好投した石川を先発に立てるのではないか。
あるいは求、他の投手が先発する可能性もある。
準決勝と決勝の間の休養日が無くなったことで、石田の先発を回避させる可能性が出てきたのは日程の妙である。

純粋に投手層や疲労を考慮した場合、東海大相模が勝利する確率は高い。
それでも達が持つ底知れないポテンシャルは、甲子園のスターになるに相応しい。
決勝で達と畔柳の投げ合いを見たい、という願望込みで天理が先制し、粘る相模を振り切って制勝すると予想する。

●明豊ー中京大中京○

明豊は市和歌山に続いて、智弁学園との接戦も制してベスト4入り。
大会前は京本、太田の左右の二枚看板が売りであったが、彼らが降板した後に終盤を投げ切る、財原のマウンド度胸が光る。
攻守において二遊間の黒木、幸の存在感が際立つ。

中京大中京は投においては畔柳畔柳アンド畔柳。
ただ、それを支える野手陣も力を発揮している。
特に調子が良さそうなのは、畔柳とバッテリーを組む加藤。
捕手としては絶妙なタイミングでの声がけがいい。
畔柳は制球を乱しがちな投手であるが、配球と声がけで試合を支配しているのは加藤だ。
打撃も好調で、ポイントゲッターの役割を十二分に果たしている。

この試合の焦点は、今大会から導入された球数制限。
畔柳は今大会で379球を投じており、この試合は121球までしか投げることができない。
状態も良くなく、ストレートが高めに抜ける場面が頻発している。
他の投手陣は2回戦の常総学院戦で不安定さを露呈したため、高橋監督は頭を悩ませるはず。
結局先発するか、あるいは序盤の早い段階からロングリリーフをすることになるだろう。
3投手の継投で勝ち上がってきた明豊としては千載一遇のチャンスである。
2回戦で対戦した小園よりは制球に乱れがあり、相対しやすそう。

それでも中京大中京の勝利を予想するのは、天理ー相模で書いた願望もあるが、
春の愛知県勢(8連勝中)の神がかり的な強さ、畔柳の積んでるエンジンの大きさ、明豊投手陣の四死球の多さを勘案した結果である。
ハイスコアを中京がものにすると予想する。

第11日目

○東海大相模―明豊●

東海大相模はエースの石田がキレキレ。ストレート、スライダーは一級品で、分かっていても詰まらされてしまう。
なによりも制球力に優れ、四死球から自滅することがないのがこの投手の最大の長所である。
優勝投手にふさわしい投球を見せており、彼の存在が相模の勝利と予想する根拠である。
キャプテンの大塚は復帰できるか。欠場の場合は代役・深谷の活躍に期待。
得点こそ少ないが、好機は確実にものにしている。各選手の守備範囲も広く、攻守に隙がない。

明豊は東播磨、市和歌山、智弁学園、中京大中京と実力校を破っての決勝進出。
いずれも私は相手高の勝利を予想しているが、決して明豊を評価をしていないわけではない。
力のある3投手の継投、着実に点を取る打線、そしてなにより鍛えられた守備。
総合力の高いチームであり、納得の決勝進出である。
今回も相模の勝利を予想するが、応援しているのは明豊だ。私の逆神予想を覆して優勝することを期待する。


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