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J2第11節 ツエーゲン金沢戦 レビュー

前節の悔しさを晴らすには勝つしかない一戦。
反撃の5月とするため、まずは一つ勝ち先に進みたい。

1.スタメン

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甲府
前節から3人の変更。
浦上、野澤が2試合ぶり、リラが加入後初出場となる。
リラは合流して2週間弱だが、いきなりスタメンに抜擢。
ベンチには同じタイミングで合流したバイヤも入った。

金沢
前節から2人の変更。
渡邊、大谷に代えて片倉、大石を起用。
片倉は3試合ぶり、大石は8試合ぶりの先発となる。
柳下監督が前節メンバーの入れ替えを示唆したが、その通りスタメンに変更があった。

2.待望の新戦力

立ち上がりいきなりリラが魅せる。
クリアボールに対し、石尾を背負いボールをキープする。
試合後の石尾崚雅選手のコメントより。

『最初にロングボールが入ったときに体を預けてきて、その瞬間に強いと分かったので、『強いよ』というのを共有した。』

この最初のコンタクトがその後、金沢CBに圧力を掛けることとなる。

試合後の柳下正明監督のコメントより。

『センターバックがもっとピリピリしないと、チーム全体が緩くなってしまう。
俺が厳しい目で見てるのか、あの2人だったらやれると思ってるんだけど、そこがまだ伝わっていないのかなと。
そこの入りでだらっとしたように見えます。』

マンツーマンで人を潰す守備を信条とする金沢にとっては勝てないポイントが生まれてしまうとその分後手を踏むこととなる。
特にJ2でも屈指の力を持つ石尾と庄司のCBコンビが弱気になってしまうと柳下監督のコメントにあるように、チームの勢いは削がれてしまう。
だが、CBコンビが悪かったようには思えなかった。
リラの強さに後手を踏むこともあったが、だらっとしていたようには見えなかった。
一方、リラは金沢のCB相手に強さを示せたということは今後J2リーグでも充分に通用するであろう。

6分にアクシデントが起きる。
プレッシャーを掛けに行った野澤が膝を捻ってしまう。
この影響もあり、徐々に金沢が甲府陣でプレーする時間が増えていく。

試合後の伊藤彰監督のコメントより。

『ゲームの入りとしては、相手の前への推進力を含めて少し押された場面もありました。ロングボールに対してのセカンドボール、そのセカンドボールが取れなかった時に押し込まれた状況が多かったかなと思います。』

プレーを続けていた野澤だが、16分に山田と交代する。
膝ということもあり、長引かないことを願いたい。

前から嵌め込んでいく守備を見せる金沢に対し、甲府は可変を行うことと岡西をビルドアップに参加させることでズレを狙う。

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山本の立ち位置に対し、金沢は2トップが縦関係となり山本を見ることとなるがそれにより、CBが一人余ることとなる。

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主に浦上に対し、大石が出ていき片倉が連動して関口を捕まえにいく。
だが、そうなると片倉の裏が空くこととなり甲府はこのエリアにボールを運ぶことが増えていく。

一方の金沢の攻撃はペナルティエリア幅で仕留めたい狙いを持つ。

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ビルドアップはCB +ボランチ一人の3人で行い、幅はSBが取る。
だが、基本はあまり高い位置を取らず前線4人で中央を攻め切りたい。

19分に甲府が先制する。

泉澤のクロスに関口が飛び込み、最後は大石に当たりオウンゴールとなった。
お決まりのパターンからの得点であったが、泉澤から関口で得点に繋がったことは初めて。
関口がこのように得点に絡めるようになると今後得点も増えていくだろう。

試合後の石尾崚雅選手のコメントより。

『1失点目は、守備の部分でサイドハーフを中に戻さなくていいようにトレーニングをしてたんですけど、そこが出来なくて、サイドハーフを戻してしまったから失点に繋がったのかなと思います。』

人に付く弊害と言える失点。
片倉が長谷川に、石尾がリラに付いていくことで関口が走りこもスペースが出来、勢いを持って飛び込むことでDFとしては戻りながらクリアする状況となりオウンゴールへと繋がった。
ゾーンで守るチームには起きにくいオウンゴールではないだろうか。

金沢の最初の大きなチャンスは22分。

FKから直接ゴールを狙うが、岡西がパンチングで防ぐ。

飲水タイム明けの27分にはリラに決定機。

長谷川の仕掛け、リラのヘディングと見所がある場面だが、ここもマンツーマンの弊害から。
先程触れたように空いたSB裏を関口、長谷川で攻略し繋ぎの中でマークする相手が定まらず一瞬の遅れから長谷川の仕掛けが生まれた。
特定の選手を決めてマークするわけではなく、自分の目の前の相手を捕まえるのが金沢の特徴だが中途半端な立ち位置を取る選手に対しては誰が付くのか曖昧になる場面も見られる。
また、長谷川の突破の場面を見てもわかるが、一対一で止めきれないとピンチとなってしまう。

36分にはまたも甲府にアクシデント。
山本に代わって北谷が投入される。
太腿を気にする素振りを見せていたため、気になるところ。

試合後の伊藤彰監督のコメントより。

『お互いに最悪の結果というのは避けてくれたと思いますし、しっかりコミュニケーションを取って「出来るか出来ないか」の判断、迅速に準備を進められていればもっと早くに交代出来た可能性もありますけど、お互いにコミュニケーション取りながら良いタイミングで交代出来たかなと思います。怪我に関してはすべて把握しているわけでは無いので、軽く済むことを願っております。』

監督のコメントを見ても、共に歩いてピッチを後にしたことを考えても大きな怪我は回避できたのではないかと思うが、共に長引く箇所なだけに1、2ヶ月の離脱は覚悟しなくてはいけないかもしれない。

前半終了間際にもリラにチャンス。

リラが前線から規制を掛け、ボールを蹴らセカンドボールを回収し長谷川とリラのコンビネーションで右サイドを崩す。
長谷川の頑張りでクロスへと繋げ、シュートまで持っていった。

前線で何度も起点となり、周りを活かすポストプレーを魅せたリラ。
欠けていたピースが埋まる予感を漂わせた。
特に長谷川とは関係性も良く、このコンビから多くの得点が生まれそうな雰囲気もあった。
一方で山本と野澤が負傷により交代となり得たものがありながら、失うものもあるという残念な前半でもあった。

3.一丸

後半開始から金沢は大石に代えて大谷を投入する。
また、ボランチの左右を入れ替えた。

試合後の伊藤彰監督のコメントより。

『後半に入って我々が風上になったときに、相手のストロングであるカウンターが風下で流れる。やはりボールが止まるというところや、後は雨が降ってくる可能性があるということを含めて、オーガナイズを少し変えて3枚で入りながら、リスクマネージメントとバランスを考えた上で後半立ち上がりから入りました。』

後半からは後ろ3人でのビルドアップへと変わる。

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荒木は内にポジションを取ることで、泉澤へのパスコースを作る。
両サイドは泉澤、関口が高い位置を取る。
また、荒木を後方に残し北谷を右サイドへスライドすることや野津田がメンデスの傍に降りてボールを引き出す動きも見せる。

後半最初のチャンスも甲府。

畳み掛けるように甲府は攻める。

連続してチャンスを作っていくが、決めきれず嫌な雰囲気がしていくが、66分には待望の追加点。

泉澤の突破が際立つが、スローインもデザインされた形である。
CKでは度々デザインされたプレーを見せていたが、この場面も人に食いつく特徴を逆手に取り、相手の背後を突いた。

試合後の石尾崚雅選手のコメントより。

『2失点目は集中が切れてしまったかなと思います。』

石尾のコメントのように一瞬の気の緩みといえる。
マンツーマンだからこそ、1つの緩みやミスが失点に繋がってしまう。
マンツーマンの悪い部分が多く出る試合となった。

74分には金沢が片倉、瀬沼に代えて渡邊、杉浦を投入する。
続けて78分には嶋田に代えて高安を投入し、得点を取りに行く。

後半30分を過ぎても甲府は切り替え速く、守備の強度は落ちず金沢がやりたいこと相手を上回りたいことで引けを取らない。
特に長谷川の献身性は素晴らしく、攻撃だけでなく守備での貢献度も高くなっている。

84分に甲府は泉澤、リラに代えて中村、バイヤを投入する。
中村は右のシャドーに入り、長谷川が左へと移る。
バイヤは初出場となり、そのまま最前線に入った。

試合後のウィリアン・リラ選手のコメントより。

『すごく良いゲームだったと思います。(合流して間もないが)思ったよりもコンディションが上がっている。フル出場できるイメージもある。チームはプレーの姿勢が素晴らしかった。今日しっかりできたことが良かった。』

試合後の伊藤彰監督のコメントより。

『まずは前線でボールを収めてくれたこと、それに対して周りが反応してくれたこと、これが本当に素晴らしかったと思いますし、欲を言えば前半のクロスに対してのヘディングだったり、足を振ったところで得点を取れていれば、次のゲームに向けても良い準備が出来ていたと思います。ただ、いきなり2週間明けでトレーニングしながらも、トレーニングの中では良いパフォーマンスを見せてくれていましたし、今日は思い切ってやってくれましたので、すごく良い評価です。良かったと思います。』

合流して2週間弱、実戦を経ることなくぶっつけ本番での起用となったが存在感を示した。

86分に金沢は松田に代えて力安を投入する。

その力安がミドルシュートからゴールに迫る。

試合はこのまま2−0で終わり、完勝となった。

試合後の伊藤彰監督のコメントより。

『前節我々としては色々な思いがありましたけど、負けてしまった中での我々の行動、Jリーグの規律を乱してしまったこと、この場をお借りして謝罪させていただきたいと思います。本当に申し訳ございませんでした。その中で、嬉しい出来事がありまして、ファン・サポーターの皆さまがグッズやチケットを購入いただきました。そのようなサポートのおかげで今日のゲームを勝ちに繋げられたと思います。選手たちにも今日はサポートしてくれた皆様のために勝利を届けようということで、しっかり選手たちがそこに応えてくれたことそしてファン・サポーターの皆様と喜び合えたこと、一体感を持って出来たことが本当に嬉しかったです。』

試合後の浦上仁騎選手のコメントより。

『前節悔しい敗戦をした中で、伊藤 彰監督を中心に絶対に勝とうと思って試合に入った。琉球戦での抗議に対する罰金25万円に対して、ファン・サポーターの皆さんがグッズを購入してクラブを支援してくれた。その思いになんとしても勝点3を届けて応えようと思った。今日は内容うんぬんよりも勝てたことが良かった。』

チーム一丸で掴んだ勝利。
試合開始前から拍手で一体感を作り出そうとした雰囲気も素晴らしく、チームが一つになった試合であった。
この雰囲気を今後も継続し、ここから巻き返していきたい。

4.MOM

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メンデス
今節は難しい。
全員良かった。
チームとして一丸となり、戦えたからこその勝利。
だからこそ1人を選ぶのは難しいがメンデスを選出した。
不要なイエローカードや相手GKのプレーを妨げるなど良くない面もあったが、プレーに関しては申し分ない出来であった。
自慢の高さ、強さだけでなくカバーリング時に見せたスピードも魅力。
古巣相手に気合いが入った試合であったと思うが、見事なパフォーマンスを見せた。

5.あとがき

モヤモヤしたものを払拭できるような完勝。
前節の判定に対する出来事は良いものとは言えないが、チームが一丸となるきっかけとなった。
終わったことをネガティブに捉えるよりも、ここから巻き返していくという気概をチームとして見せたことは次に繋がる。
リラ、バイヤが合流し全員揃った中で、一丸となっての勝利は得られたことも多かった。

金沢としては甲府に上手く捕まらない立ち位置を取られ、局面のバトルに負けてと良さを発揮できない試合となってしまった。
甲府がチーム一丸で戦えていたのに対し、前節の試合後の苦言や今節もCBへの苦言と伊藤監督が選手を守る発言をするのに対し、責任は選手にあると捉えられてもおかしくない発言をしている柳下監督。
どちらが正しいとかではないが、チームで戦う姿勢を見せた甲府と個人が頑張ることが勝利に近づくタイプの金沢。
今節の結果を分けたのはこの点だったのではないか。

Twitterをやめたことにいくつかの反応をいただきました。
甲府サポーターの代表として認めていただき、宣伝していただいた方。
動画の使い方等いろいろと教えていただき、今の形を確立するきっかけを与えてくれた方。
スタジアムでお会いし、声を掛けてくださる方からコメントをいただいたり、お話をさせていただき感謝しています。
やってきたことが間違ってはなかったと思わせていただきました。
また、私の想いもきちんと受け止めていただき、賛同していただけたことにも感謝しております。
この場でしか感謝の想いを伝えられませんので、レビューとは関係ないですが述べさせていただきました。
今後も一生懸命頑張って参りますのでよろしくお願いします!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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