J2第10節 アビスパ福岡vsヴァンフォーレ甲府

前節山口相手に引き分けた甲府。
今節はアウェイ福岡となる。
前節の福岡は試合直前に選手が新型コロナウイルス陽性の可能性が高いとのことから中止となった。
その後陽性反応が前寛之に出たことがわかった。
コロナ禍の中戦わなくてはいけない今シーズン。
こういうケースはこれからもいくつか出てくるだろう。
日程的な面だけでないタフさが求められるシーズンとなる。

アウェイ福岡は4連勝中と相性のいい相手。
しかし今シーズンの甲府はアウェイでは未だ未勝利。
5連戦の入りとなる今節はどうなるか?

1.ビルドアップの形

スタメンはこちら。

甲府は前節から変更は1枚。
右のWBに藤田から小柳。

福岡は北島がプロ初先発、田邉が今シーズン初先発となった。

序盤は後ろからビルドアップして前進したい甲府とシンプルにDFラインの背後へ蹴り込む福岡という構図でスタートする。

福岡は2トップ特に遠野は積極的にプレスに来るが全体として連動してプレッシングに来ている雰囲気はない。
また、中盤4人の距離感や立ち位置も悪く間にも通せる、サイド展開してもスライドできないと中盤ラインの守備に問題を抱えていた。
しかし、上島中心に最終ラインは無理が効きなかなかチャンスが作れない。

一方の甲府は新井がアンカーに入りながら3バック中心にビルドアップするが全体的に立ち位置が低く攻撃に厚みが加わらない。

このような形が多く見られた。

狙いとしてはここで菱形作って前進。
右はWBで幅取りし、左は低い位置では内田が幅を取りながらボックス付近では泉澤がサイドで1対1で仕掛けられる形を作ることが狙いかと思う。

このような形も見られた。
同じビルドアップ起点で菱形作っての数的優位で進めるならこの形で前進した方がより厚みが加わるのでないか。
岡西は足元の上手なGKですし、彼をビルドアップに加え新井を2トップの背後に置くことにより新井に直接入れば相手DFの第一列は簡単に突破できる。
そこを消されれば中塩、今津で運びながら再度空くであろう新井やサイドへ展開し第二列突破を目指す。
上記の形のように新井が2トップを置き去りにすることと中塩から泉澤に入り1on1を仕掛けられる形がこのビルドアップをする上では最大の狙いとなる。

2.飲水タイム

20分までは完全に甲府がコントロールできていた試合。
簡単に先制を許してしまう。
起点はハーフウェーライン付近でのパスミスから。
北島にドリブルで運ばれ最後は輪湖のクロスから城後に決められる。
パスミスも安易なミスであったが、輪湖も城後もフリーである。
輪湖に対しては倒れていた今津のポジションを小柳が埋めていたのでスライドが遅くなってしまったのは致し方ないと言える。
しかし、城後はなぜフリーなのか?
輪湖にボールが入る前城後はオフサイドポジションにいた。
そこから輪湖にボールが入った時新井と中塩の間にいた。
そこから新井の前に入りフリーでヘディングという流れであった。
今津が倒れていた関係もあり新井との間にスペースを作ってしまいそこに走りこまれてしまった。
この場面コミュニケーション1つで防げたのではないか?

これで3試合連続で前半の飲水タイム前後で失点となった。
集中力が途切れやすい時間ではあるがこの時間帯は課題となる。

3.諸刃の剣

バホスの存在は諸刃の剣である。
この試合もチームからは浮いた存在となっている。
序盤バホスが目立った場面は上島と揉めていた場面くらいで、守備では相変わらず基準点にはならず攻撃でも周りと噛み合わな場面が続く。

33分松田のフリックからバホスがシュートまで持っていく場面がありCKを獲得。
その流れから追いつく。

2分27秒頃から。

泉澤の1on1の場面を作り大外フリーになった武田がふかさず合わせたのが相手に当たりオウンゴールとなった。
いかに泉澤にこの局面を作らせるかが得点を増やす上で重要となる。

バホスの個の力から奪ったCKが得点に繋がった。

3分25秒頃から。

後半に入りすぐ自らも得点を奪う。
クロスに対して中に入らずペナルティアークの中でこぼれ球を拾いボレー。
さすがの決定力である。
野澤と松田のフリーランニングでDFラインを押し下げたことによりバホスの周辺にスペースができた。
バホス自身がDFラインと駆け引きするタイプではないことから周りがバホス周辺にスペースを作る動きをしてあげることで彼の良さを発揮させてあげられるのではないか?

気分屋バホスはここから気分良く守備をしだす。
守備をさせたければ気持ち良く攻撃させることが大事なのかもしれない。
しかし1度一生懸命追っただけですぐに負傷。

すごく使い方の難しい選手である。

4.試合の終わらせ方

後半早々にリードを奪った甲府。
後半早い時間にリードを奪っていた試合はここまで松本戦、金沢戦、大宮戦、千葉戦、水戸戦とある。
松本戦、水戸戦は1点リードから追いつかれる。
金沢戦は2点リードから1点返されるも逃げ切り。
千葉戦は1点リードから追加点をあげ、1点返されるも逃げ切り。
大宮戦は1点リードを逃げ切った。
ここまで1点のリードを守りきった試合は1度のみ。
またすべての試合で終盤押し込まれており無失点で守りきれたのは大宮戦のみ。
追加点を取ることとゲームをコントロールすることが求められる。

途中交代で入った太田が65分にクロスバーに当たるシュートを放つがチャンスというチャンスはそれくらい。
甲府はゲームをコントロールすることを選択。
福岡が出てこないこともありボールを保持しコントロール。

82分に三國ケネディエブス投入から流れが変わる。
パワープレーで押し込む福岡。
終了間際にパワープレーから追いつく。
三國をターゲットにこぼれ球に対して遠野の見事なボレー。

4分20秒頃から。

またも追いつかれた甲府。
これで85分以降の失点は4失点目。
試合の結果に影響を及ぼさなかったのは千葉戦の失点だけ。
松本戦、水戸戦、そして今節福岡戦と同点に追いつかれ勝ち点を失っている。
松本戦、水戸戦は後半押し込まれ続けての失点。
今節はパワープレー一発に沈んだと中身は違うが同じ時間帯に失点を繰り返している。

5.あとがき

残り5分と前半の飲水タイム前後この時間帯を試合の運び方は大きな課題である。
この2つの時間帯だけで総失点の半分を喫している。
この課題をどのように改善していくのかが求められる。

ビルドアップは改善され安定してきている。
立ち位置を変え相手を動かし前進することはできている。
あとは集中力やアグレッシブさといったメンタル的な部分の改善が必要なのではないか?
しかし、確実に成長している伊藤ヴァンフォーレ。
解任要求する人もいるようだがここで変えたらまた振り出しに戻ってしまう。
10試合してまだ1敗しかしていない。
引き分けを勝ちに変えていく作業を徐々にこなしているところである。
伊藤監督を信じ、成長する選手を見守る姿勢をサポーターも持たなくれはいけない。

MOM 遠野大弥
見事なシュートから同点ゴールを決めた。
試合通して遠野の積極性が福岡を引っ張った。
そのご褒美とでも言えるゴール。

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