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J2第23節 栃木SC戦 プレビュー

中断前最後の一戦を3連勝で迎えた。
昨シーズンから4連勝ができず、大型連勝できないことで昇格圏に届かずにいるが昇格に向けて殻を破るための一戦としたい。

1.前回対戦

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第3節、ホーム開幕戦となった一戦。
昨シーズン苦しめられた栃木相手に栃木対策を徹底し、勝ちきった。
試合内容についてはレビューをご覧ください。

2.対戦成績

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通算対戦は前半戦の勝利を加え、7勝と勝率を5割としている。

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アウェイでの成績も勝ち越している。

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伊藤監督就任後2年間勝ちが無かったが、今シーズン初めて勝利を収めた。
2018年降格後はアウェイではいまだに勝ちがないだけに、2012年以来の勝利を目指す。

3.前節

甲府

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2試合続けて前日に選手に陽性反応が出るアクシデントの中、連勝をして迎えた愛媛戦。
押し込む時間は多いながらも苦しい試合となったが、河田の活躍もあり久々の完封勝利となった。

栃木

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アウェイ新潟に乗り込んでの一戦。
スタメンは前節から一人を変更。
上田に代わって矢野を起用した。
立ち上がりから栃木がパワーを持ってプレスに出ていく。
後方からビルドアップし、丁寧に攻めていく新潟と前線にロングボールを入れパワーを持ってゴールに迫る栃木。
12分に新潟が高木のゴールで先制する。
右サイドを抜け出た谷口のクロスに高木が合わせると一度はオビが防ぐがこぼれ球を押し込む。
先制点の場面のように新潟はSBを起点とした攻撃で栃木のSBを引き出し、背後を狙う。
追いかける栃木は前線へのロングボールやロングスローから同点に追いつくことを狙っていく。
31分には新潟に追加点が入る。
またもSBの裏を突き、左サイドを抜け出した星からのクロスに高木が合わせリードを2点に広げる。
栃木の守備の仕組みを逆手に取った新潟が優位に試合を進め、同じような形から2点を奪い前半を終える。
後半から栃木は右サイドのコンビを変更。
吉田と菊池に代えて大島と松岡を投入する。
懸命にプレスを掛ける栃木だが、新潟にとってはプレスに出てきてくれることでボールの前進が容易となる。
自分たちのスタイルを全力でぶつける栃木と栃木の戦い方を逆手に取り、戦う新潟という構図は前半から変わらない。
栃木としてはセットプレーや遠目からのミドルシュートでゴールを狙っていくが、大きなチャンスを作ることができない。
65分には試合を決める得点が入る。
栃木のクリアボールに対し、セカンドボールを拾うとまたもSBの裏を突き谷口がニアサイドの上に強烈なシュートを放ち、3点目を挙げる。
飲水タイムを経て70分にお互いに選手交代を行う。
新潟は舞行龍ジェームズとロメロフランクに代えて早川と矢村、栃木は畑に代えてジュニーニョを投入する。
76分には新潟が星に代えて島田を投入する。
この交代で新潟は島田がアンカーに入り、福田と高のポジションを上げる。
81分にも両チーム共に選手交代を行う。
新潟は谷口と高木に代えて鈴木と本間、栃木は松本と佐藤に代えて上田と西谷を投入する。
84分に栃木は大島がペナルティエリア内で千葉へプレスを掛けるとボールを奪い、倒されるとPKを獲得する。
矢野がキッカーとなるが、ポストを叩き得点とはならない。
90分には高がGKと一対一の場面を迎えるが、オビが防ぐ。
栃木のウィークポイントを突き、得点を重ねた新潟が勝ちきり勝ち点3を得た。

4.今季成績

両チーム比較

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11勝7分4敗と勝率を5割に戻した甲府は勝ち点40の5位、4勝9分9敗で勝ち点21の栃木は17位となっている。
アウェイで勝ち点を伸ばせていない甲府に対し、栃木はホーム、アウェイで得意不得意はない成績となっている。

甲府
直近5試合成績

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磐田戦での敗戦以降、攻撃陣の活躍もあり4戦負けなしで3連勝中となっている。

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前節6試合ぶりの完封となったが、ここまで失点はリーグで4番目に少ない20失点だが半数がセットプレーからの失点であることがわかる。
ロングスロー含め、セットプレーを多く活用する栃木相手にセットプレーの守備はポイントとなる。
メンデスが不在であった磐田戦、山口戦、群馬戦では3試合続けて失点を重ねたが復帰した岡山戦と愛媛戦ではセットプレーからの失点はしていない。
また、岡山戦での失点もメンデスが交代した後とセットプレーだけでなくメンデスの存在により守備の強固さは変わってくる。

栃木
直近5試合成績

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1分4敗と勝ちがない状況となっている。
5試合で2得点と点が取れていないだけでなく、11失点と強固な守備が崩れている。

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パス数とボール支配率は栃木の特徴を示している。
ボール保持にはこだわらずシンプルに前線に入れていくのが栃木スタイル。
また、スローインやタックル数、クリア数が多いのも特徴となる。
球際のバトルからボールを奪い、ロングボールを蹴り、相手にタッチラインに逃げさせスローインを獲得していく。

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被チャンス構築率はリーグ最小で、被シュート数もリーグで4番目に少なく、チャンスを与えずシュートも打たれてはいないが、失点は29と多くなっている。
オビの加入で失点を減らしていけるか。

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失点はセットプレーとクロスから多くなっている。
高さも強さもある選手が多いが守備面では活かしきれていない。
一方で攻撃ではセットプレーが得点源となっている。
攻守共にセットプレーが鍵を握るチームである。

5.予想スタメン

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甲府
3試合連続で同じスタメンと予想した。
連勝中であるからメンバーを固定するというポジティブな面よりも離脱者が多いことから変更できないネガティブな意味合いで変更はないかと思われる。

栃木
前節から1人の変更を予想した。
新加入の黒崎をスタメンに起用するのではないか。
同じく新加入の豊田はコンディションが万全ではないという情報もあり、ベンチスタートか。

6.注目選手

甲府

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メンデス
古巣栃木相手の一戦。
ホームでの前回対戦では得点も挙げているが、今節は守備での貢献に期待が掛かる。
流れの中では前線にロングボールを次々に入れて来る栃木に対し、跳ね返し続けられるか。
矢野や豊田とヘディングの強い選手とマッチアップし、セットプレーでは柳や三國まで上がってくる中でメンデスの活躍無くして勝ち点は得られない。

栃木

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オビパウエルオビンナ
昨シーズンに続き、横浜F・マリノスより期限付きで加入することとなった。
昨シーズンは甲府戦の直前にマリノスに復帰したが、今シーズンは出場が予想される。
オビからの前線へのフィードは大きな武器であり、シュートストップだけでなく攻撃の起点としての活躍も求められる。

7.展望

今節から新加入選手の起用が可能となることもあり、栃木は攻守共に質が高まることが予想される。
4人の新戦力を加えており、三國とオビは育成型期限付き移籍であったことからすでに起用されているが豊田と黒崎は今節からの登場となる。
いずれも栃木にフィットするタイプの選手であり、スタイルを維持しながらチーム力を高められる選手達である。
そのため、志向するスタイルには変化はないだろう。
栃木といえば、時にラグビーにも例えられるような陣取り合戦から球際で激しく闘うチームである。
栃木相手に戦う上でファイトすることは絶対に外せない要素であり、最も重要なポイントとなる。

前回対戦時には栃木の土俵で戦い、勝ちきったがキーマンであった山田の不在が予想される中同じ戦い方は難しい。
そこで今節は今まで積み上げてきたものをベースに戦う姿勢を示していくのではないか。
それでも前回対戦同様、セカンドボールの争いが鍵を握る。
前線にロングボールを入れ、肉弾戦に持ち込みセカンドボールを前向きに回収しゴールに迫る戦い方をする栃木だが、矢野や豊田とJリーグ全体で見ても空中戦に強い選手がおり、メンデスであっても空中戦で勝ち続けることは要因ではない。

勝てても勝てなくても大事になるのはセカンドボール。
セカンドボールに対し、チーム全体で連動し猛烈にプレスを掛けていくことで相手に息をつく暇を与えない栃木に対し、前回対戦時には山田をアンカーに置き、セカンドボール回収を任せたが不在となるため野澤、野津田の働きは必要不可欠となる。
セカンドボールを拾うだけでなく、ハイプレスを交わせなくては高い位置でボールを失いゴールに迫られてしまう。
前線にロングボールを蹴り、そのセカンドボールに対し前から人を嵌め込んで直線的にプレスを掛け、ボールを奪いにかかる。

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甲府の3バックに対しては2トップ+ボールサイドの選手で人を嵌めにくる。
ボールサイドのSBが縦にスライドし、WBを捕まえに出ていく。
前線のプレスを剥がすことで、ボランチが前に出てくる状況を作ることでボランチの裏に起点を作りたい。

この場面を見てもらうとわかるが、前線がプレスに出たのに対しCBが高い位置を取っていないため、ボランチの背後に大きなスペースがあることがわかる。

セットして守る際には可変を行う甲府に対し、2トップが縦関係となり新井を見る形となる。
この際もサイドの選手が余ったCBを見る形となり、SBがWBへとスライドしていく。

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こちらはセットした状態から新潟のバックパスを起点に前線から嵌め込み、ボールを奪いシュートまで持ち込んだ場面。
セットした状態でもボールを失った直後でも、このように栃木のプレスは全体で連動し、ショートカウンターへと繋げていくことを狙う。
ボールを奪った直後ではサイドの高い位置にポジションを取れないため、プレスに来たボランチの背後を起点にしたいが、栃木が一旦リトリートして時間ができれば甲府は泉澤や関口をサイドの高い位置に配置できるため、プレスを剥がしSBの背後を突いていきたい。
この際、栃木はCBがスライドしてカバーするのではなくボランチの選手がサイド裏のカバーを行う。
空中戦に強いCBはクロスに備え中央に備えているため、ボランチをサイドへと吊りだし空いたスペースへのマイナスのクロスやグラウンダーのクロスを入れたい。

このようにSBの裏にCBはスライドしないため、SBを引き出せればサイドから余裕を持ってクロスを上げることができる。
甲府としてはサイドを攻略していきたい。

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左サイドでは荒木に黒崎が食いついたところを野津田を経由し、泉澤を使いたいところ。
右サイドでは関口が幅を取り、面矢が食いついたところで鳥海がボランチを引き連れサイドに流れたい。
泉澤にはドリブルで仕掛けゴールに迫ること、鳥海にはボランチを引き出し空いたスペースへのクロスを期待したい。

セットプレーはFKやCKだけでなく、ロングスローも駆使する。
スローワーは主に面矢が務めるが、CBもゴール前に上がりスローインからもゴールに迫っていく。
甲府はゾーンで守るが、ニアサイドにメンデスやリラと強い選手を置くため栃木としてはファーサイドを狙ってくるボールが多くなるのではないか。
メンデスやリラを外されると勝てない可能性が高いだけに、勝てなくても最後まで体をぶつけ相手の自由を奪わなくてはいけない。
また、折り返したセカンドボールに対しての反応を高めたい。

攻撃においては普通にゴール前に入れても高さがあるため、簡単にチャンスは作れない。
そのため、ショートコーナーやグラウンダーのボールも混ぜながら栃木の目先を変えたい。
ここ何試合かは挑戦はしているが、あまり決定的な場面は作れていないだけに一つ変化やトリックプレーからチャンスを作り相手に意識づけをさせたい。

負けていると終盤に柳を前線へ上げて高さと強さを増していく。
矢野や豊田だけでもJリーグでもトップクラスの強さを誇るのにも関わらず、柳が上がってくることで迫力は増す。
今シーズンはここまで3ゴール、昨シーズンも6ゴールを挙げているが9ゴールのうち5ゴールが後半40分過ぎに決めた得点であり、試合終盤の柳の存在は危険である。
先制し、追加点を挙げることで事故が起きにくい状況を甲府としては作りたい。

難敵栃木相手に勝ちきることで成長した姿を見せたい一戦。
勝ち点3を手に中断期間に入りたい。

8.あとがき

中断前に昨シーズンから達成できていない4連勝への挑戦権を得ることができた。
山口戦後に伊藤監督は中断前5試合で勝ち点13を目指すと宣言し、ここまで得た勝ち点は10。
勝つことで目標達成となるだけに4連勝と勝ち点13に向けて勝ちきる試合を期待したい。
昨シーズン苦しんだ栃木は絶好の相手となる。
3連勝中にチームは成長を見せ、一丸となり戦えているだけに昨シーズンとは違う姿を見せたい。

一方の栃木は昨シーズンの躍進から一転して今シーズンは苦しいシーズンとなっている。
7試合勝ちがなく、降格圏との勝ち点差もわずかに3となっている。
得失点差が大きくあるため、降格圏で中断に入ることは無いと思われるが勝ち点が取れないと同勝ち点で中断を迎える可能性もある。
前半戦では新潟や京都とも引き分けており、力を発揮できれば上位から勝ち点を取れるチームではあるだけに簡単な相手ではない。

以前にも書かせていただいたように、今節を一つの区切りと考えていました。
その相手が昨シーズンから個人的に思い入れのある栃木であることは嬉しさもあります。
ですが区切りをつけると決めた中でもより良いものをという気持ちで書いていく中で、やり方にも工夫を加えたところ余裕やゆとりが出てきたこともあり続けられるのでは?という気持ちも出てきました。
1年続けた先に昇格を成し遂げることが出来たらと思うと続けたい!という想いも出てきました。
中断期間で自分自身のサッカーへの意欲が増し、知識を増やすことができ、今以上のものを書ける自信がつくようなら続けようと思っています。
そのために中断期間にも記事を書くつもりでいますので、そちらもよろしければお読みください。
また、読んでいただいている皆様からご意見いただけると嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。






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