J2第14節 モンテディオ山形vsヴァンフォーレ甲府

前節逆転勝ちで8試合負けなしとし、4位に浮上した甲府。
今節はアウェイ山形に乗り込んでの一戦。

山形の順位は現在16位も3戦負けなし。
前々節にはホームで首位長崎を破っており順位だけを鵜呑みにできない相手である。
また、開幕戦以外は1点差以内の試合を続けており1点の重みがより大きくなることが予想される。

対戦成績を見るとアウェイでは大きく負け越している相手ではあるが直近3回の対戦では勝ち越している。

今シーズン最初の5連戦最後の試合。
2勝2分と順調に来ているだけに勝って終わりたい。

1.狙われる2ライン間

スタメンはこちら。

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注目は最前線。
バホスの怪我に伴い松田を最前線に起用。
これまで最前線でスタメン起用されたのがバホス(7試合)、マイク(3試合)、ラファエル(2試合)、太田(1試合)。
また、太田が先発をした試合も早い時間からラファエルとポジションを入れ替えていたので純粋なストライカーを最前線に起用しないのは初めての試合となる。

攻撃面は当然ターゲットマンにはなり得ないので形が変わることは予想されるが、同時に守備の機動力も高まることから守備の起点の部分でどのような変化が出るのか注目となる。

一方の山形は前節より6人変更。
ベースは長崎に勝った選手であり、その試合からは末吉が加藤に変わった。

山形は2ライン間を狙いに来る。
2トップと両ワイドがペナルティエリアの幅に位置し甲府の中盤とDFラインの間を狙う。

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最近の試合では2ライン間を好きに使われる試合は減っていたが今節は好き放題やられてしまう。
これまで最前線はバホスが務めていた週末組。
バホスの守備は規制がかからない2度追いできない等課題が多かった。
一方でチームとしてはリトリートして10人で守ると割り切りやすかったのかもしれない。
松田に代わり規制がかかり2度追い3度追いとしてくれるようになり中盤の選手はそこに連動しようと試みる。
しかし、DFラインが連動できないため中盤の背後にスペースを与えてしまうことになる。
山形が上手かったのはシンプルにこのエリアにどんどん入れてきたこと。
前線はプレスに行くが来たところをいなすようにシンプルに使われてしまう。
それにより中盤は置き去りにされDFラインは剥き出しの状態で守ることを余儀なくされる。

攻撃面では松田はポストプレーもこなせることも見せる。
背後へのランニングや前線からのプレスと走る強みと共に飛ぶタイミングや下がってくるタイミングで相手DFから離れ起点になる。
チームとしての課題は出たがこの先も可能性を感じさせる松田の1トップとなった。

2.戦う相手

最初に判定に異議を唱えることになったのは17分。
熊本が手を使ってドゥドゥを止めた場面。
カードに値するプレーではありここでカードが出ていれば試合の流れは違っていただろう。

試合の行く末を決めたのは20分のプレー。
今津がヴィニシウスと競りあった場面。
今津は肘をヴィニシウスが振ったとして抗議もノーファールの判定。
納得いかない今津が抗議をする。
渋谷コーチの「今津言わない!」の声が中継にも入っていた。
直後のファールの後にも審判に抗議する今津を野澤が宥める場面も。
プレーが切れた後も抗議を続けてたようで伊藤監督から今津へ厳しい声が飛んでいた。
伊藤監督の言う通り終わっているのだから切り替えなくてはいけない。

しかし、このプレー以降戦う相手は山形から山岡主審へと変わってしまう。

冷静さを欠いた今津は22分のプレー。
明らかに間に合わないボールへチャレンジに行きかわされる。

10分後前出のシーンと同じような無謀なチャレンジから失点する。

山形は甲府の前からのプレスに対して2ライン間にシンプルに入れ込む形。
そこに今津が食いついたため甲府のDFラインの背後には大きなスペースがあり、そのスペースに流し込みゴール。
山形の狙いがハマった形となった。

得点を決めた加藤。
めでたいゴールとなった。

一方で今シーズン飛躍のシーズンとなっている今津。
まだまだ、メンタル面で課題があることを露呈する。
練習生から這い上がりせっかく掴んだチャンス。
このような形で信頼を失ってはあまりにもったいない。
今津の奮起に期待したい。

1分後。

2分5秒頃より。

素晴らしいFKで同点に追いつく。
先制されても追いつける1発は持っている。
今シーズン開幕戦以外は得点しているだけに無駄な失点を無くしたい。

得点後のドゥドゥのパフォーマンスは褒められたものではなかった。
山形のベンチへ挑発をするようなパフォーマンス。
フラストレーションを溜めなているのがよくわかるシーンであった。

その後も良くないプレーは続く。
40分新井が競り合った山岸に背後から膝を入れた場面。
W杯でネイマールが似たプレーで腰を骨折する重症を負ったように大変危険なプレーである。
後半にも似たようなプレーを藤田もやっていた。
解説の方もおっしゃていたが一概に選手だけが悪いわけではないと思う。
審判がコントロールできてはいなかったが、このような危険なプレーや審判への文句は決して見ていて気持ちのいいものではない。
ましてや今シーズンは応援がない中での試合であり、声が響くだけにより目立ってしまう。

審判の判定にはお互い思うことはあったと思う。
しかし、山形の選手たちは審判とは戦わず甲府と戦っていた。
結果的に五分五分のボールをムキになって奪いに行きドゥドゥは負傷。
冷静にプレーをしていたらこのような無理なプレーはしただろうか?
冷静さを失えば敵味方問わずこのように怪我にも繋がってしまう。
疲労も溜まりコントロールが難しいのもわかるが、メンタル面の見直しは必要である。
戦う相手を審判においていては魅力的なサッカーも手入れたい結果も得られない。

3.繰り返す失点

山形はCKを徹底してショートコーナー。

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残りの選手をファーサイドに集め徹底してこの形を狙う。
甲府はストーンの位置と1枚前残りする形は変えないため必ずショートコーナーに対して数的不利となる。
そこからファーサイドへクロスを入れてくる形。

結果が出たのは67分。
直前のプレーでドゥドゥを欠いてのCK。

決めたのは同じく直前に投入された北川。

前日の山形新聞に北川が取り上げられていた。
記事にあるように実績を残し自分の存在を大きくする1発となった。

このCKで甲府はドゥドゥを欠いているので10人全員エリア内で守る形。
一方で山形は7人もエリア内に配置。
ストーン役が3人いることから山形の選手は1人がフリーの状態。
結果的にはそこのフリーな選手は関係なかったが中のマークはタイトに行けなかった。

試合後の石丸監督のコメントより
『身長が高い選手が多く、ストーンの選手をどうやって釣りだそうかというところで、予想ではハーフナー選手がスタメンというところで、引っかかるかなというところでした。
彼を釣りだしてから入れようというところは今回の狙いで持ってたところです。
前半上手くいってなかったですが、後半上手くはまりゴールが取れたのは良かったと思います。
狙いの中で今回はやりました。』

試合後の三鬼のコメントより

『ショートコーナーに関しては、大和田コーチがスカウティングをしてくれて、それを忠実に再現したという感じで、キックに関しては前節もそうですが、すごい良いフィーリングで蹴れているので、自信はありました。』

試合後の伊藤監督のコメントより

『相手が2人交代し、ドゥドゥがいなかった。中にシュート、クロスを上げられたところ。一人少なくても中でクロスのケアをしないといけない。我々コーチのリレーションシップとしては判断を速くして、一人入れていれば選手は安心感があったかもしれない。反省材料だと思う。』

試合後の藤田のコメントより

『僕がマークについていれば防げた失点だなと思います。それだけです。』

山形としてはスカウティングして準備してきた結果のゴール。

甲府としてはピッチ内でもピッチ外でも悔やむことになった失点。

真摯にサッカーと向き合えたかどうかが運命を分けたのかもしれない。

76分にはまたもCKから追加点。

ショートコーナーは同じも今度は少し形を変えてきた。
これまでのCKは全てキッカーの三鬼に返していたがショートコーナーを受けた末吉は縦に仕掛ける。
ストーン役の武田がカバーに行くも間に合わずクロスにニアで合わされる。
岡西が防ぎもう1本防ぐも3本もゴールエリアの中でシュートを打たれては止めようが無い。

失点後ハーフナー・マイクを投入し、先に投入していた金園、ラファエルと合わせ3枚ターゲットマンを並べる。
トリプレットタワー?
でパワープレーに出る。

後方から長いボールは入るもサイドからクロスは入らず効果的な攻めには繋がらず。

4.あとがき

必然の結果である。
審判と戦いサッカーを放棄してしまった。
ネガティブなことはあまり書きたくは無いが結果に関係なく決して見ていて気持ちのいい試合では無かった。
大事なのはこういう試合の後。
クリーンに戦い、サッカーで勝負する姿を見たい。
チームとしては成長をしているだけに自分たちから試合を放棄してしまうのはもったいない。
恐らくメンバーも入れ替わるだろう。
来週の栃木戦での切り替えに期待したい。

MOM 北川柊斗
途中出場から2得点。
切り札としてこれ以上ない見事な結果となった。
昨シーズンはレンタルで北九州でプレー。
7得点を挙げJ2昇格に貢献した。
その北九州が躍進する中なかなか出場機会を掴めず苦労していた。
これをきっかけにできるか今後も注目となる。

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