ヴァンフォーレ甲府 2020シーズンレビュー

5位とJ1参入プレーオフに参加しながらも16人もの選手が退団する非常事態で迎えた2020シーズン。
残留争いも覚悟をしなくてはいけないシーズンとなるのではないかと思われた。
だが、終わってみれば勝ち点は減りはしたものの前年を上回る4位でシーズンを終えた。
新型コロナウイルスの影響で超過密日程となったシーズンを振り返りたいと思う。

1.シーズン前

2019シーズンを5位で終え、J1参入プレーオフに参加するも初戦で徳島と引き分け昇格を逃すこととなった。
前年から積み上げることで昇格を現実な目標とすることができるかと思われたが、待っていたのはチームの解体であった。

16人もの選手の退団、徳島戦のスタメンから8人退団と主力はほとんど残らなかった。

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こちらは2019シーズンの出場時間数上から並べた図である。

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一方でこちらは2020シーズン前の移籍動向である。
出場時間を多く確保していた選手が軒並み退団していることがわかる。
補強の主な目的は若返りとなった。
2019シーズンは平均年齢は上から2番目に高齢なチームであった。

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最も平均年齢が高かったのは昇格した横浜FCの30.59歳であったが、当時52歳の三浦知良選手がいてと考えると甲府の30.37歳がいかに高いかは明白である。

シーズン前の補強により前年から平均年齢を2歳若返らせることに成功した。
泉澤選手や松田選手といった実績のある中堅選手を加える一方で、実績の少ない選手を増やす補強となった。
反面ベテラン選手を多く契約満了としながらラファエル選手や藤田選手、ハーフナーマイク選手とベテランを加えたことは当初疑問ではあった。
だが、ラファエル選手は献身性とプロ意識の高さ、藤田選手は勝負へのこだわりとセットプレーの質をマイク選手は期待感と明るさをチームにもたらした。

大卒の中塩選手、中村選手はもちろんのこと期限付き移籍から復帰した入間川選手、大宮から期限付きで獲得した山田選手はJ2でのプレー経験は無く未知数の補強となった。
武田選手も年々出場機会を増やしてはいたが当初は年間を通して計算が立つ戦力では無かった。

多くの主力が移籍した中で獲得した選手は一部を除き、実績の無い選手か近年活躍ができていないベテランと不安な中で始まったシーズンであった。

2.データで振り返る2020

ここでは2020と2019シーズンの比較をしたいと思う。

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まずは順位と勝ち点。
順位は1つ上げたものの勝ち点は6減らすこととなった。

2019年

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2020年

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順位表を見ていただくと自動昇格となる2位との勝ち点差が2019シーズンの8から19に開いている。
では、順位が上がった理由と勝ち点を減らした理由を考察したいと思う。
順位が上がった理由は上位3チームを除き、力が拮抗し4位以下が混戦となったためである。
勝点で見ていただきたいのはホームとアウェイでの成績となる。
2019シーズンはホームで勝ち点を落とすことが多かったもののアウェイで勝ち点を稼いでいた。
一方で2020シーズンはホームで勝ち点を伸ばす一方でアウェイで引き分けが多く勝ちきれない試合が多くあった。
ホームで4敗しているが2敗は昇格の可能性が潰えた後に喫したものである。
コロナ禍の中で入場制限を行ったシーズンでホームでの成績を伸ばしたことはサポーターとして考えなければいけない部分である。
一方でアウェイで引き分けが多かったことはターンオーバーを多用したことと過密日程の影響といえる。

 2−1.得点

続いて見ていただきたいのは得点と失点。
まずは得点から。

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得点数はリーグで10位。
昇格した福岡とほぼ同じであるが、得点数は2019年に比べ大きく減少した。

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こちらは2年間の得点者を示したものであるが、目に付くのは最も得点を挙げた選手の得点数である。
単純に10得点の差があり、前年から14ゴールを減らしたことを考えると最多得点者の得点数が減ったことが勝ちきれなかった要因と言えなくはない。
だが、2020シーズンは1人の選手に依存しない戦い方を目指したシーズン。
単純にドゥドゥ選手がウタカ選手より10点少なかったことが勝点が減らした理由とは言えない。
では、得点の分布から原因を探ってみたい。

  ①セットプレー

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PKを除いたセットプレーの得点は増えた。
特にセットプレーで活躍したのが、藤田選手。

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今シーズンのアシスト数上位5人だが、藤田選手の5アシストはいずれもCKからのアシストである。
藤田選手の存在はセットプレーにおいて貴重な存在となった。

そして渋谷コーチの存在。

伊藤監督の第7節ジェフユナイテッド千葉戦後のコメントより。

『選手たちがヘッドコーチの渋谷さんが作ってきたものを体現できるようにトレーニングからしっかりやってくれてますし、いま連続で得点が奪えていることは自信にも繋がってます。』

攻撃のセットプレーは渋谷コーチがデザインしていることがわかる。
特に前半戦はCKからの得点が多い時期もあり、上位に位置し続けた要因でもあった。
だが、PKを含めるとセットプレー全体の得点数は前年と変わらず、2020シーズンに獲得したPKは32節の大宮戦の一つのみである。
このPKも泉澤選手が止められたことから得点には至らなかった。
泉澤選手の存在でドリブルで仕掛ける場面が増えたように感じるが、実際にはドリブル数は減少していた。

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こちらの図で見ていただきたいのはドリブル数とペナルティエリア侵入数。
互いに前年から減少している。
大宮戦で得たPKもドリブル突破から得たものではなかった。
DFのドリブルが長くなったところ狙った泉澤選手の足を焦ったDFが引っ掛け、得たPKと自らアクションを起こして得たものは一つも無かった。

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こちらの図はプレーの割合が高いほど色が濃くなるのだが、2020シーズンは後方に色が濃い部分が多くなっている。
泉澤選手や宮崎選手とドリブルで仕掛けられる選手はいるだけに、高い位置でゴールに向かっていく状況をいかに作るか重要であった。

  ②インプレー

後方でのプレー機会が多かったことはどうしてなのか。
先程触れたように1人のタレントに依存した戦い方からの脱却を図るため、後方からボールを繋いで攻めていく戦い方にチームが移行し始めたことが考えられる。

2019年

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2020年

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こちらはボール支配率を示した図となる。
大きな変化はないが、36節京都戦以降の8試合はいずれも支配率で上回った。
戦い方を徐々に変化させてきた中でシーズン通したスタッツで見ると大きな変化は無いが、終盤だけに絞って見てみるとチームが確実に変化を示してきたことがわかる。
2勝3分2敗と結果が出たとは言い難いが、年間を通して前線で起点となるFWの不在と8試合共に崩しの切り札である泉澤選手が不在となっていたことも要因の一つである。

一方でボール支配率で上回った試合の勝率は高くは無かった。
半分の21試合でボール支配率で上回ったが、結果は5勝9分7敗。
下回ったあるいは同率だった試合は11勝8分2敗と比較してみると一目瞭然である。

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上の図はボール支配率が高かった試合上位10試合の結果だが、勝利したのはホームでの町田戦のみ。
ボールを持つことを志向し始めたシーズンだが、支配率を上げれば上がるほど結果に結びつかなかった。
この中で町田と京都は自らもボールを持ちたいチーム。
他の7試合はいずれも相手にボールを持たせたいチームとなる。
ボールを持つことが悪かったわけではなく、ボールを持たされる相手から得点を取りきれなかったことがこの結果に繋がったといえる。
特に苦手としているチームは明確に存在した。
福岡、山形、栃木、松本、千葉、岡山、金沢、群馬。
この8チームとの対戦成績は3勝5分8敗。
いずれもハードワークを身上とし、ボールを相手に持たせるチームである。
また、松本を除いたチームは442でブロックを作り、ハイプレスで対抗してくる。
ビルドアップの目的はゴール前で時間とスペースを産み出すこと。
だが、持つだけあるいは持たされる試合が多かったことがゴール前で時間やスペースといった余裕を奪い、効果的に得点を挙げることができなかった。
それが顕著に現れたのが上記の8チームとの対戦であった。

では、何が原因で得点が取れなかったのかセットプレーを除いた得点数から見ていきたい。

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2019年が49得点であったのに対し、2020年は35得点と大きく減少している。
明確に大きく減少しているのはこぼれ球からの得点が減少していることである。

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考えられる要因は2つ。
シュート数、枠内シュート数の減少と攻撃時の可変システムにある。
シュート数は上の図にあるように1試合平均3本減少、枠内シュート数も平均で1本減少となった。
枠内に飛んだシュートをGKが弾けば、こぼれ球を拾う場面は増える。
また、ポストやクロスバーに当たったシュートは枠外とカウントすることDFに当たったシュートはカウントされないため図のデータでは分かりにくいがシュートを打てる局面を増やすこと、打てる場面では打ちきることが必要であった。
続いて可変システムについて見ていきたい。
可変システムの狙いは伊藤監督のやりたい形と戦力面での不一致を紛らし、お互いのいいとこ取りが狙いとなる。
伊藤監督の狙いとしては後方からビルドアップし、押し込む中でクロスからペナルティエリアで勝負すること。
本来得点パターンとしてはクロスからとこぼれ球からの得点が多くしたいところ。
クロスからの得点は多くあるのはクロスがピンポイントで合う形からの得点は取れていると言える。
一方でそのセカンドボールから得点を取る形は少なかったと言える。
戦力面では甲府は長らくDFライン5人、中盤のラインに4人を並べ、引いて守る戦いをしてきた。
守備面でより強固さを保つためではあるが、長く続けてきたことでDFラインを4人で守ることができなくなってきてしまった。
シーズン序盤は4バックで臨んでいたが、金沢戦までの4試合で5失点と守備での安定感を欠き、5バックで守る形に戻すこととなった。
5節の東京V戦以降からが可変システムの始まりとなったが、可変をしなくては前線の選手が孤立し攻撃に厚みが出ないこと、サイドで高い位置が取れないためであった。
当初はボールを奪った後、一度落ち着かせポジションを取りじっくり攻めていく戦い方を選択した。
これは間延びを防ぎ、立ち位置で優位性を持ち試合をコントロールしていくためであった。
最初の東京V戦でこそ完敗を喫したが8戦負け無しと成果を挙げることができた。
だが、その後山形と栃木に連敗。
共に立ち位置を取る途中でハイプレスを掛けられ、後ろに下げてはロングボールで逃げるしかない展開となってしまった。
特に栃木との試合では中盤を徹底的に省略され、ハイプレスの前に何もできず敗戦を喫した。
栃木戦を栄に立ち位置を取るタイミングが変わる。
ボールを奪った瞬間にまずポジションを取るように変更した。
試合毎に可変の形や取るポジションを変更していくこととなる。
与えられた戦力の中での最適解を見つけたが、後方からビルドアップをして相手を押し込めた時に最も力を発揮する形ではあるが試合毎にターンオーバーする中で起用された選手によって安定感が異なったこと、前線で起点となれる選手の不在という問題は解決できなかった。
2019シーズンも後方からのビルドアップで時間を作れてはいなかったが、前線でウタカやアラーノが時間を作ることでゴール前やセカンドボールに人数を割くことができていた。
2020シーズンは後方でも前線でも時間が作れないことでゴール前に掛ける人数の減少を生み、こぼれ球からの得点が減少した要因となった。

  ③途中交代

2020年は途中交代からの得点が非常に少なかった。

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リーグで下から4番目の少なさとなる。
毎試合ターンオーバーをする中で起用する選手に制限やプレーする時間の管理が必要であったことが大きな原因と考えられる。
2019シーズンは途中出場の選手が挙げた得点は13。
内訳としては金園英学選手が6得点、佐藤洸一選手が4得点、曽根田穣選手が1得点、宮崎純真選手が1得点、アラーノ選手が1得点。
金園選手と佐藤洸一選手と得点が欲しい場面で投入できる切り札がいた。
2020シーズンで見るとドゥドゥ選手のみが複数得点を挙げているが、ドゥドゥ選手は本来チームのエースストライカーである。
過密日程でターンオーバーした影響で途中出場から得点を挙げたが、切り札となる選手ではなかった。
切り札となる選手がいないことも影響し、逆転勝ちは1試合も無かった。
先制された試合は15試合あり、6分9敗となった。
終盤は得点が欲しい場面でメンデス選手を最前線に上げる場面が多々見られた。
だが、効果的に働いた場面はほとんど見られなかった。
引き分けが多く勝ちきれなかった要因として途中交代から試合を動かせる選手が欠けていたことが挙げられる。

 2−2.失点

次いで守備を見ていきたい。

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失点数はリーグ5位。
昇格した2チームとは大きな差がある。
失点数は2019シーズンに比べ、1つ増えただけと前年の水準を維持することができたが、いずれも昇格するためには多くなってしまっている。
得点が少なくても昇格は可能であることを福岡が示したが、失点が増えてしまうと昇格は厳しいことがわかる。
得点は飛び抜けた個人能力で増やすことができるが、守備は11人での連携が必要となる。
その中でターンオーバーを敷き、試合毎に先発メンバーが7人近く代わる中で失点が増えなかったことは前年と失点数は変わらないが、チームとしての守備力は前年に比べ高まったと言えるのではないか。
中でも大きかったのは岡西選手の活躍となる。
GKは河田選手の負傷もあり、岡西選手が年間を通してプレーすることとなった。
河田選手や岡選手、荻選手の前に長らく第3GKの立場から抜け出せなかったが、2020シーズンは飛躍の一年となり、甲府の守備を引っ張った。 

  ①セットプレー

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こちらの図は場面別の失点パターンとなる。
まずは、PKを除いたセットプレーから見ていきたい。
13失点を喫していた2019シーズンから9失点と減らした2020シーズン。
きっかけとなった試合がある。
16節のアウェイ群馬戦である。
15試合でセットプレーからの失点は23失点中3失点と決して多くはなかったが、直前の2試合で甲府のCKで守るマンツーマンな形への対策をされたことでゾーンで守る形へと変更した。
14節の山形が徹底してショートコーナーからゴール前に立つストーン役の選手を引き摺り出すことを狙った。

続く栃木戦でも同様に対策を立てられたことからゾーンへの変更を決意した。
相手に対するリアクションで守るマンツーマンに対し、相手関係なく自分たちがアクションを起こし守るゾーン。
結果的に残りの19試合で5失点と増えてはいるが、CKからの失点は39節千葉戦で船山選手に直接決められたのと40節松本戦でショートコーナーからのリターンを受けたセルジーニョ選手に直接決められた2つ。

いずれもキッカーの質が高かったことを考えるとゾーンで守ることに移行したことは一定の成果があったと言える。
セットプレーの守備を担当したのはGKコーチの山岸コーチ。
セットプレーになるとベンチ前に出て指示を出していたが、山岸コーチの存在はセットプレーにおいて重要となった。

  ②インプレー

セットプレーを除いた失点を見ていくとパスからの失点とクロスからの失点が増えている。

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この図で見ていただきたいのは、タックル数、クリア数、インターセプト数。
いずれもリーグで下位に位置する数字となっている。
2019年のデータも見てみたい。

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同様にリーグでも下の順位に位置しているが、2020年はいずれも数値を落としている。
ここにパスからの失点が増えたヒントがあるのではないかと思う。
具体的なデータが見当たらなかったため、推測になることをお許しください。
クリア数に関してはほとんど変化は無いのでここではタックル数とインターセプト数を見ていきたい。
タックル数、インターセプト数が減少した影響は小出選手と小椋選手の退団が大きかったのではないかと思う。
小椋選手が抜けた穴は武田選手と山田選手で埋めることができた。
だが、小出選手の代わりがいなかったことが大きかったのではないか。
シーズン序盤は4バックであったが、主に3バックで戦ったシーズンであったので小出選手との比較のため3バックの真ん中の選手で比較していこうと思う。
3バックの真ん中を2020年務めたのは山本選手、新井選手、今津選手の3人。
今津選手は2試合のみであったので山本選手と新井選手の比較をしてみたい。
山本選手は17試合、新井選手は19試合で3バックの真ん中で先発した。
山本選手は15失点であったのに対し、新井選手は21失点となった。
新井選手のパフォーマンスが上がらなかったことが小出選手の穴が埋まらなかったこととタックル数、インターセプト数が減少した原因として挙げられる。
昨年終盤4連勝し、J1参入プレーオフに進出を決めたのは金園選手、河田選手の活躍が目についたが新井選手が3バックの真ん中で起用されたことが大きかった。
タックル数もインターセプト数も小出選手同様高い水準を誇る新井選手のパフォーマンスが上がらなかったことがパスからの失点が増えた要因と考える。

伊藤監督の目指す形が見えてきた後半戦の中でパスからの失点を見ていきたい。

いずれも自らのミスからの失点となっている。
金沢戦、群馬戦、大宮戦での失点は守備時の判断ミスから。
京都戦での失点はビルドアップ時の判断ミスからとなった。
守備組織を壊されての失点というよりは個人あるいはチームとしてのミスが失点に繋がった。

続いてクロスからの失点を見ていきたい。
まずは後半戦のクロスからの失点場面を見たい。

この失点は新井選手のクリアミスを責めるところでは無い。
まず、荻原選手からのクロスの質は高かったが、須貝選手の寄せは甘かった。
小柳選手含め、スライドしていればクロスの質を落とすことができた場面である。

甲府はクロスに対してもゾーンで守るが、ゾーンの切れ目で浮いていたフアンマが山本選手の前に入り失点となった。

似たような場面を続けて見ていただきたい。

今津選手が吊り出されたことでエリア内でゾーンをきちんと敷けなかった。

クロスを連続で左右から入れられたことでこの場面もゾーンに歪みができていた。
結果、今津選手と新井選手の間を突かれて失点してしまった。

このようにクロスからの失点は主にゾーンの歪みが原因となっている。
福岡戦の失点は後方の選手の声掛けが不足していたように思う。
北九州戦での失点は今津選手が吊りだされたこともあるが、適切なポジションに立てていなかった。
磐田戦でも同様に左右に振られたことでポジションを取れていなかった。

守備は連携が重要となる。
特にゾーンで守る場合は個人の頑張りではなく、チームとしての規律が最も大切となるだけに毎試合組む相手が代わることは守備陣としては難しいシーズンだったと言える。
だからこそ前年に比べ、失点数が変わらなかったことは価値があると言える。

3.表彰

MVP 武田将平

入団直後から名前とルックスから甲府サポーターのハートを掴んだが、プレーでも試合を重ねる毎に無くてはならない存在となった。
ピッチのあらゆるところに顔を出す運動量、ルックスに似合わない激しいプレー、左足からのゲームメイク。
小椋選手と佐藤和弘選手の抜けた穴を一人で埋める活躍を見せた。
京都への移籍が発表され、2021年は手強いライバルとなる。

MIP 泉澤仁

最もインパクトを与えた選手。
左サイドでボールを持つとドリブル突破からのチャンスメイクを期待させた。
横浜F・マリノスから期限付きで加入していたが完全移籍で甲府に残ることが決まった。
2021シーズンも左サイドからのドリブル突破は必見となる。
時点で岡西宏祐選手を挙げたい。
加入して7年間リーグ戦での出場は2試合、共に4失点と結果を残せなかったが8年目のシーズンは36試合に出場と飛躍の年となった。

最優秀若手 中村亮太郎

23歳以下の選手から選んだ。
特別指定選手を含め、10人いるが全員が出場機会を得た。(二種登録選手は除く)
怪我で離脱する時期もあったが、出場試合数は最も多い26試合に出場した。
ボランチながら3得点をいずれもヘディングで決めた。
開幕前に一番不安視されていたボランチだが、最終的に一番安心できるポジションとなったのも中村の活躍は大きかった。

最優秀ベテラン 山本英臣

30歳以上の選手を対象とした。
超過密日程の中、34試合に出場した恐るべき40歳であり、甲府の象徴であり続けた。
Jリーグ通算500試合を18節の長崎戦で達成したが、最終的に521試合まで伸ばした。
城福監督が築いたブロックを構えて守り抜く戦い方でも、伊藤監督が作り上げた可変システムでも最も輝いたのは山本選手であった。
戦術理解度の高さ、適応力の高さは若手が見習おうとしてもレベルが高すぎて誰も手が届いていない。
まだまだ甲府には必要な選手であり、2021シーズンも山本選手のプレーを見られるのは楽しみである。

4.あとがき

データを元に自分なりに2020シーズンの考察を行ってみた。
チームとしてスタイルを変える、甲府の哲学を新たに生み出すシーズンとなったが望んだ結果は手に入れられなかった。
改革元年の2020年、勝負となる伊藤監督3年目の2021シーズン。
新体制発表はまだだが、足りない部分を補い、伊藤監督の目指すサッカーを高める補強ができているように思う。
残念ながら甲府は金銭面でも環境面でも劣ってしまうクラブである。
だが、シーズンオフにわかっているだけでも、吉田達磨元監督や小塚選手と甲府に在籍した人がクラブにやってくる暖かなクラブである。
フロントスタッフや強化部は全力で現場をサポートしているのが補強を見ても伝わってきている。
小瀬の空気を変えたい。
この想いから始めたレビュー。
少しずつレビューを読んでいただける方が増えていることは嬉しく思いますが、私自身の力では力不足である。
クラブとして足りない部分を補うのがサポーターにできる最大の貢献なのではと私は考えています。
金銭面、環境面で劣るなら小瀬でプレーしたいと思ってもらえるスタジアム作りがサポーターができる一番のサポートであります。
選手が甲府に来たい、甲府に残りたいと思える「JIT リサイクルインク スタジアム」を作りましょう!
お読みいただきありがとうございました。



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