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J2第9節 SC相模原戦 プレビュー

4試合負けなしと開幕ダッシュに成功したが、そこから4戦勝ち無しと急失速。
甲信ダービーと勝てば勢いに乗れる一戦も、2点差を追いつかれる嫌な引き分けを経て迎える9節の相手はJ3から昇格してきた相模原。
初対戦の相手に先輩の威厳を見せ、勝ち無しを止めたい。

1.対戦成績

相模原は今シーズン初めてJ2に昇格したため、過去の対戦は一度もない。
そこで、今回は過去の初対戦のチームとの対戦を振り返りたい。
2018年にJ2に降格以降の相手を並べてみた。

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初対戦の相手は苦手なイメージを持っていたが、実は伊藤監督になってからは初対戦の相手には全勝している。
初対戦の相手だからと身構えなくては良くなったようである。

2.前節

甲府

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勝ってきっかけにしたかった甲信ダービーだが、またも勝てず。
これで4戦勝ちなしとなった。
試合内容についてはレビューをご覧ください。

相模原

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試合は立ち上がりに動く。
4分に左サイド松本からのクロスにルキアンが合わせ、磐田が先制する。
相模原は追いかける展開ということもあり、前線からプレスを掛けていくが後方が連動できないこともあり、磐田はルキアンに預けることでボールを失わない。
そんな中、ワンチャンスを物にして相模原が19分に追いつく。
左サイドから舩木のクロスに対し、藤本が中でフリーとなり折り返すとユーリが押し込み得点を挙げる。
同点に追いついて以降は相模原がペースを握る形となる。
24分には左サイド舩木のクロスから右サイドの石田がシュートを放つも磐田の三浦が防ぐ。
飲水タイムを経て以降はお互いに一進一退の状況が続く。
前節までの532の形ではなく、523でブロックを形成する相模原の前に磐田はボールを持つだけに終始し時間だけが流れていく展開となる。
後半開始から磐田は今野に代えて鹿沼を投入する。
後半に入っても共に大きな場面は作れない中、56分に相模原はホムロに代えて平松を投入する。
58分には負傷した川崎に代えて鎌田を投入する。
68分には磐田が大津に代えて伊藤を投入する。
70分に相模原が交代枠を使い切る。
藤本、石田、芝本に代えて和田、星、梅鉢を投入する。
74分に試合が動く。
右サイドから大森のクロスにルキアンが合わせ、磐田が勝ち越す。
DFに押さえ込まれてもフィジカルで圧倒したルキアンの強さに屈した形で、相模原は勝ち越しを許してしまう。
78分に磐田は大森に代えて藤川を投入する。
83分には2得点挙げたルキアンに代えて小川を磐田は投入する。
後半はチャンスらしいチャンスを作れず、磐田相手に敗戦を喫した。

3.今季成績

両チーム比較

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甲府は7位、相模原は18位に位置している。
共に失点数は9で同数だが、得点力の差が順位に違いを生んでいる。

甲府
直近5試合成績

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ここ4戦勝ちがなく、失速していることがわかる。
得点が取れなかったことで勝てなかったが、前節は3点取りながらも守りきれなかった。
攻撃と守備は一体であるサッカーにおいて、得点を増やすためには守備への負担が大きくなる難しさがある。

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得点力不足と言われることが多いが、勝てていない要因はどちらかというと失点にあるのではないか。
前節3失点で失点数が増えてしまったとはいえ、リーグ12位と昇格を目指す上では多くなっている。
例外もあるとはいえ、基本的には失点が少ないチームがリーグ戦においては勝ち点を伸ばしていきやすいだけに失点を減らすことが急務となっている。
被シュート、被チャンス構築率は上位ということを考えるとチームディフェンスは機能している一方で、被シュート成功率が高いことからDF陣のシュートコースを消す働きや単純なGKの力量が失点に繋がっていると言える。
特にGKの岡西はここ数戦、判断の迷いやミスから失点に繋がっているだけに修正を期待したい。
以下で失点の内訳をみていく。

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セットプレーからの失点が多くなっていることがわかる。
直接セットプレーから喫するだけでなく、前節の松本戦では1失点目はFKのリスタートから結果的にマークを見失い、3失点目はスローインからのリスタートでポジションニングのミスを突かれた。
プレーが切れた時間帯の集中力も失点を減らすために必要となる。

相模原
直近5試合成績

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相模原も甲府同様に4戦勝ち無しとなっている。
だが、首位の新潟に唯一勝ち点を落とさせたチームであり力を持ったチームであることに疑いはない。

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攻撃のスタッツは軒並みリーグ下位であることがわかる。
一方で守備面はリーグ上位の数字が並ぶように、粘り強く戦いワンチャンスに賭けるチームであることがわかる。

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シュート数、チャンス構築率は下から2番目である一方で、シュート成功率は13位と少ないチャンスを得点に結びつけている。
守備面でも被シュート数は下から2番目、被チャンス構築率は下から4番目とシュートもチャンスも作られながら失点数は12位と安定している。
被シュート成功率が5位と甲府とは反対に、最後はやらせない守備ができている。

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得点の半数はセットプレーから挙げていることがわかる。
甲府はセットプレーからの失点が多いことから相模原としてはつけ込みたい。
一方で失点数はセットプレーとクロスからの失点が大半であり、甲府のストロングポイントと被るだけに警戒してくるだろう。

4.予想スタメン

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甲府
中3日のため、大きく入れ替えない可能性もあるが5人の変更を予想した。
40歳の山本に3連戦全て先発を託すことは難しいのではないかと考え、浦上を初先発と予想する。
ボランチは毎試合変わっており、試合中にも両方変えることが多く監督の信頼を勝ち得ている選手はいないため、よりフレッシュな選手を起用すると予想。
WBには負担が掛かっているため、金井を起用するのではないか。
また、最前線は鳥海のゼロトップが機能したが、足を攣っての交代だったため同様の働きを期待し、宮崎へ変更するのではないか。

相模原
甲府同様に前節から5人の変更を予想したが中2日のため、全く読めない。
鎌田が前節復帰したため、スタメン復帰を予想。
和田、星、平松は好調な選手であり甲府戦を見据えて前節スタメンから外したのではないだろうか。
また、前節磐田戦では3421の布陣で戦ったが、甲府が松本相手に352に苦しんだことも踏まえ、本来の布陣に戻すと予想した。

5.注目選手

甲府

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新井涼平
前節悪い意味で一番目立った選手であった。
キャプテンでありながら、精神的に悪目立ちしている現状ではチームにツキや運はやってこない。
苦しいチーム状況だからこそ率先してチームを引っ張り、悪い雰囲気を一変させる姿勢を期待したい。

相模原

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平松宗
開幕から前節まで全試合フル出場しており、チームトップの2得点を挙げているストライカー。
得点だけでなく、起点となる働きや前線からの守備と結果に見えないところでの貢献度も高い選手。
高さがある選手だが、裏への抜け出しも得意としており、あらゆる局面で注意が必要となる。

6.展望

中3日の甲府と中2日の相模原。
日程面では優位に立っている一戦ではあるが、油断はできない相手である。

相模原の守備の特徴は北九州や松本のハイプレスとは異なり、ブロック内に入ってきた相手に厳しく寄せていく。
ブロックの前でボールを回されることは許すが、ブロックに入ってきたタイミングで相手を捕まえに掛かりボールを奪いにいく。
取れなくてもブロックの外に追い出すことができれば、良しとするスタイルである。

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甲府としては、WBの前、中盤の脇にはスペースがあり、このエリアを上手く活用したい。

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このエリアをどのように活用していくのが良いか。
今節は相手が2トップと予想したため、甲府が3CBの形で挑めば数的優位でビルドアップを行うことができるため前線は可変すると思うが、後方は山本起用時のような可変はしないと考える。
ここで大事になるのが、長崎戦でも触れた運ぶプレーとなる。

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CBが相手の構造上空くエリアにボールを運ぶことで、守備組織を動かしズレが生じることで最終的に危険なエリアに時間とスペースを与えることにも繋がる。

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また、今節は荒木を右サイドに予想したが、泉澤が左サイドからインスイングのボールをファーサイドに入れていくお決まりの形を逆サイドの荒木から入れていく形を見せたい。

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特に期待したいのがこの形。
荒木から金井とWBからWBへのクロス。
泉澤のクロスに関口が飛び込むパターンはあるが、WBからWBへという場面はそんなに多くはない。
金井は得点力もある選手なので、活かさない手はない。
相模原のCB陣は対人に強く、前への強さはあるため後ろ向きに守る形を多く作りたい。
また、寄せが甘く自由にクロスを上げさせている場面も見られた。
最前線には有田ではなく、宮崎を予想したのはクロスに対してだけでなく、相模原守備陣の裏へ飛び出すタスクを与え、背後を意識させていくのではと予想したためである。
宮崎には得点やドリブルにも期待したいが、裏への飛び出しのように味方を活かすための囮になる動きにも期待したい。

一方で、相模原の攻撃はカウンターが主体となる。
高い位置でボールを奪い、ショートカウンターを狙う形よりかは中央を固めブロックの中に入ってきたこところを潰し2トップ、2シャドー、両WBの推進力を活かし長い距離のカウンターに活路を見出していく。
また、2トップに入るのは主に平松、ユーリ、ホムロとなるがいずれも高さがありサイドからのクロスでも脅威となる。

そして、気をつけなくてはいけないのがセットプレーとなる。
高さがある選手が多く、キッカーを務める舩木の左足は精度が高い。
また、ロングスローを持ち味としているチームであり、スローワーも複数いる。
舩木、ユーリ、梅井がこれまで投げてきたがユーリと梅井はターゲットにもなるだけに、左サイドからは主に舩木が投げてくることが予想される。
梅井も左のCBであることから右サイドからは主にユーリが投げるだろう。
ユーリのロングスローは両足が揃い、上体の力だけで投げる特徴的な投げ方をするので注目していただきたい。

甲府がボールを保持し、相模原がカウンターを狙う展開となるだろう。
甲府としては北九州戦、松本戦と続けてちょっとした隙やリスク管理を怠ったことで失点をしているだけに攻めながらもボールを失った後の備えはしておかなくてはいけない。
現地で見る方は、甲府のボール保持時に後方でどのように準備をしているか見てみるのも楽しみ方が増すと思う。

7.あとがき

4試合勝ちが無く、勝ちが早く欲しい状況。
得点が取れず、勝てなかった試合が続いていた中で3点取れたにも関わらず今度は守れずに勝てなかった前節。
サッカーとは難しいものである。
内容は上向いてきているが、結果に結びついていないことでモヤモヤ感は否めない。
若手が躍動する一方、チームを引っ張らなくてはいけないベテランの低調さも悩ましいところ。
4/19にはウィリアン・リラ、パウロ・バイヤがついに合流と嬉しいニュースも飛び込んできた。
次節琉球戦から登録が完了し、起用できるようだがコンディションは未知数。
映像を見る限りでは早期に起用できる可能性もあるが、今はこれまで積み上げてきたメンバーで戦うしかない。
勝てていないことで、批判的な声が多くなっている状況だが打破するためには結果しかない。
まずは、一つ勝たなくては次には繋がらないだけにとにかく勝つことにフォーカスする試合としたい。

連戦であまり時間がなく、今回は文量は少なくなりました。
真剣に書いたつもりですが、至らなければ申し訳ありません。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。




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