見出し画像

観戦記⑥

レビュー休止を決めて最初の記事は観戦記。
6回目の今回、向かった場所は藤枝総合運動公園サッカー場。
J3第4節藤枝MYFC対カマタマーレ讃岐戦。
元ヴァンフォーレ甲府の須藤大輔監督が率いる藤枝の試合を観戦に行ってきた。
ちなみに私が甲府の選手で最初に好きになったのが須藤選手であり、思い入れのあった選手の監督姿を見たいと以前監督を務めていたガイナーレ鳥取時代から願っていたが、念願叶い観戦することができた。
また、コーチには養父雄仁氏がおり甲府でJ1昇格に貢献してくれた選手が現在藤枝で監督、コーチとして活躍している。
今回は藤枝を中心に書いていきたいと思う。

1.行き方

普段私は甲府サポーター向けに書いており、私自身山梨に住んでいるため甲府駅をスタート地点として紹介したい。
車を使って中部横断自動車道でのルートを今回の行き方として私は選んだ。
甲府駅を出発し、目指すは双葉スマートインターチェンジ。
あるいは甲府駅発なら甲府昭和インターチェンジのどちらかから高速道路に乗るのが最も早く着くかと思う。
双葉スマートインターチェンジから中央自動車道に乗るとすぐに中部横断道静岡方面か中央道名古屋、長野方面という分岐が訪れるため中部横断道静岡方面へと進む。
そこからは道なりにひたすら車を進めていく。
途中パーキングエリアは増穂パーキングエリアしかなく、他に休憩できる場所も無料区間である南部インターチェンジを降りてすぐの道の駅南部しか無いため、お手洗い等は事前に済ませておいた方が良いだろう。
中部横断自動車道から新東名高速道路名古屋方面へと進んでいく。
そして目指すは藤枝岡部インターチェンジ。
藤枝岡部インターチェンジで高速道路を降りると一般道を20分ほど走り目的地の藤枝総合運動公園に到着。
所要時間はおよそ2時間となる。

藤枝総合運動公園サッカー場のメインスタンド外観

藤枝総合運動公園内にはJリーグで利用しているサッカー場以外にも陸上競技場付きのピッチ1面、人工芝のピッチもあったりとサッカーのまち藤枝はさすがだなと感じさせられた。
専用競技場の建設だけでなく、サッカーを見に、サッカーをプレーしに人が集まる施設が山梨にもいつか出来て欲しいと思う。
藤枝運動公園サッカー場のスタジアム内はこのような感じ。

メインスタンドから見たピッチ

非常に見やすく、座席もある程度ゆったりと座れるため窮屈感も無い。
芝生エリアは拡大できる余地もあり、今後カテゴリーを上げていく中でより魅力的なスタジアムになるだろうなとも感じた。

2.チーム状況

藤枝の特徴は須藤監督のコメントから垣間見ることができる。

【サッカーはエンターテイメント】

超攻撃的で直向きに走り、仲間の為に闘い、スペクタクルを表現する。

https://myfc.co.jp/news/20211206/1120520/

この言葉に藤枝の特徴が凝縮されているように感じる。
須藤監督は大木武監督(現ロアッソ熊本監督)の元でプレーしていただけあり、攻撃的なサッカーを標榜している。
私自身も大木監督のサッカーに魅せられ、ヴァンフォーレ甲府にハマったため須藤監督の藤枝は好きなチームであり今シーズンは開幕から追いかけている。

ここまでの両チームの成績を見てみたい。

https://www.football-lab.jp/comparison/team/2022/30677/2022/30536/

藤枝は開幕戦に勝利し、2節に長野と引き分け、前節は八戸に敗れてここまで1勝1分1敗の7位。
だが、ホームでは2試合戦い無敗となっている。
対して讃岐は2節に鳥取に勝ったものの開幕戦、前節と敗戦を喫し1勝2敗の12位。

超攻撃的なサッカーを標榜する須藤監督の藤枝だが、ここまで得点数はあまり伸びてきていない。

https://www.football-lab.jp/summary/team_ranking/j3/?year=2022

全般的にJ3リーグは得点が入っているが、藤枝の4ゴールはリーグでも中位に留まっている。
対して讃岐はリーグ2位の6ゴールとまだ3節が終わった段階でしかないが、藤枝よりも多くのゴールを奪っている。
しかし、その分失点もかさんでいるのが讃岐の現状。

https://www.football-lab.jp/summary/team_ranking/j3/?year=2022

リーグワースト3位の6失点を喫している。
対して藤枝は2位タイの2失点とここまではバランスの良い結果を残している。
昨シーズンまでの藤枝は今シーズンの讃岐のように出入りの激しい印象があったが、昇格に向けて守備の安定感が増してきたか。

過去の対戦成績を見てみたい。

https://www.football-lab.jp/comparison/team/2022/30677/2022/30536/

これまで藤枝が勝ち越しているが、特にホームでは3戦全勝と得意としている。
昨シーズンの前回対戦では5ー0と大勝を飾っているように相性が良い相手と言えそうだ。

3.スタメン

藤枝

スタメン
GK 内山 圭
DF 川島 將
DF 小笠原 圭祐
DF 神谷 凱士
MF 鈴木 翔太
MF 鈴木 惇
MF 水野 泰輔
MF 横山 暁之
MF 榎本 啓吾
FW 岩渕 良太
FW 土井 智之

ベンチ
GK 名良橋 拓真
DF 秋山 貴嗣
DF 温井 駿斗
MF 堀 研太
MF 松村 航希
FW 押谷 祐樹
FW 中井 崇仁

前節ヴァンラーレ八戸戦からスタメン2人を変更。
温井と河上に代えて神谷と榎本が共に今シーズン初スタメンとなった。
J3屈指の破壊力を持つ温井、久保のWBコンビは共にスタメンを外れることとなった。
特に久保藤次郎は最も見たかった選手であっただけにメンバー外は残念であった。

讃岐

スタメン
GK 高橋 拓也
DF 西野 貴治
DF 内田 瑞己
DF 西本 雅崇
DF 渡辺 悠雅
DF 遠藤 元一
MF 長谷川 隼
MF 後藤 卓磨
MF 青戸 翔
FW 松本 孝平
FW 小山 聖也

ベンチ
GK 渡辺 健太
DF 田尾 佳祐
DF 伊従 啓太郎
MF 鯰田 太陽
MF 中村 駿太
FW ドゥンガ
FW 福井 悠人

前節のAC長野パルセイロ戦からスタメン4人を変更。
伊従、川崎、臼井、中村に代えて西本、内田、渡辺、青戸を起用した。
元甲府の重松健太郎はメンバー入りせず。
FC東京U−18時代から注目していた選手だが、甲府在籍時には負傷により出場は叶わず。
今節もメンバー外と私は縁が無さそうだ。

4.試合展開

立ち上がりからアグレッシブな姿勢を見せる藤枝。
積極的にボールを保持していくが、ボール保持時には可変を行いボール保持を試みる。

特徴的なのがシステマチックに人が動いていくこと。
動いて空いたスペースには別の選手が入っていくというように選手個々人に立ち位置を与えるのではなく、立ち位置は与えるが誰が立っても良いという流動性がある。
規則性もあり、伊藤彰監督(前ヴァンフォーレ甲府)にも似た特徴を持ったサッカーである。

立ち上がりから押し込む藤枝は中央からのコンビネーションで崩すことを狙うが、シュートに繋げるまで至らない。
20分を過ぎた辺りから鈴木惇がDFラインに下がり、ビルドアップに加わり出す。

状況によって前進の仕方を変える柔軟性もあり、パターンも豊富に用意されており讃岐としても前進を防ぐのは容易にいかない。

41分に土井がこぼれ球から反転してシュートを放つが枠を捉えられない。
42分にも鈴木翔太が縦への突破からのクロスに岩渕が合わせるも枠外となる。
一方の讃岐も43分に松本が遠目からミドルシュートを放つが内山の正面となり、前半は共に得点無く終える。

讃岐は後半開始から青戸に代えて中村を投入する。
しかし、48分に藤枝が先手を取る。
鈴木からのラストパスに抜け出した土井のシュートは高橋に止められるもこぼれ球に岩渕詰めてゴールネットを揺らす。

57分には右サイドから鈴木惇がロングボールを入れると岩渕がダイレクトボレーで合わせるが枠には飛ばず。

59分にも岩渕がミドルシュートでゴールに迫る。

62分鈴木惇のパスを受けた岩渕が抜け出し、シュートを放つが高橋が防ぐ。

68分に讃岐は小山に代えて福井を投入する。

72分に讃岐は右からのクロスに中村が決定機を迎えるも内山が防ぐ。

するとロングボールに対して福井が先に触ると遅れて足を出した神谷が倒してPKを讃岐が獲得する。
キッカーは倒された福井。
真ん中へのキックは内山が足を残し、防ぐ。

78分に藤枝は岩渕に代えて押谷を投入する。

82分には神谷に代えて秋山を投入。

85分には足を攣った横山に代えて中井を投入する。

87分に讃岐は長谷川、後藤に代えて鯰田、ドゥンガを投入するのに合わせて西野も前線へ上げてパワープレーを行う。
だが、藤枝の秋山がヘディングで跳ね返し続けチャンスを作れない。

アディショナルタイムには藤枝が鈴木惇のCKから押谷がフリーで合わせるも枠外へ。
このまま藤枝が勝ち切り、勝ち点3を得た。

5.注目選手

藤枝

内山 圭
今シーズンロアッソ熊本から加入したGK。
足下の技術に優れ、ビルドアップに積極的に参加する。
GKから一本のパスでシュートまで繋げられるだけの左足のキックの精度を誇る。
ペナルティエリアを飛び出してDFラインの背後をカバーできる守備範囲の広さがあり、シュートストップも得意としている。
大分の髙木駿を彷彿とさせる選手だ。

神谷 凱士
川崎フロンターレから育成型期限付き移籍で今シーズン加入した。
川崎では出場機会に恵まれず、藤枝に出場機会を求めて移籍。
左足からのビルドアップを得意とするCBで縦パスから攻撃の起点を作れる。
セットプレーのキッカーを任されるほど精度の高い左足が神谷の最大の特徴。
しかし、CBとしては空中戦の強さはあるものの軽いプレーも見られる。
今節もPKを与えたが、出場経験を重ねる中で軽さが抜けてくればJ1で活躍できるだけのポテンシャルは秘めている。
讃岐に所属している双子の弟椋士との対戦は今節実現しなかった。

鈴木 惇
長くアビスパ福岡で活躍したボランチ。
今シーズンが藤枝に移籍して2年目のシーズンとなる。
福岡時代から変わらぬ坊主に加え、左足の精度や対人の強さを活かした守備も健在であった。
自由にポジションを変えながらボールを引き出し、藤枝のパスサッカーの中心を担っている。
特にロングパスはアクセントとなっており、鈴木が不在となると藤枝は一本調子となってしまう印象も受けただけに今後も中心となり活躍しそうだ。

横山 暁之
須藤監督の申し子と呼べるような存在かもしれない。
東京ヴェルディのアカデミーで育った選手らしく高いテクニックを備えている。
だが、横山の最大の持ち味はオフザボールの動きか。
空いてるポジション見つけるのが上手く、DFとしては捕まえるのが難しい選手。
課題は得点に絡む回数を増やすこと。
今シーズンプロ3年目となるが、いまだに得点が無い。
得点に絡めるようになるとプレイヤーとしての価値は一気に上昇するはずだ。
「横山暁之」
この名前は覚えておいて損は無いだろう。

土井 智之
昨シーズンのシンガポールリーグMVPと得点王の実績を引き下げて藤枝に加入したストライカー。
開幕から2試合続けて得点を決め、得点王の名に恥じない活躍を見せている。
DFラインの背後への飛び出しを武器とする選手だが、今節受けた印象は土井の動き出しが無駄に終わる場面が多いこと。
背後への飛び出しを使ってくれるパサーがいると得点量産しても驚きはない。
また、背後への飛び出しだけでなくポストプレーや空中戦、前線からのプレスとFWに求められることは何でもこなせる万能型の選手である。
高さや強さは無いが、体の使い方が上手く対人の強いDFとも対等に渡り合える。
来シーズンJ2以上のカテゴリーにいるはずだ。

秋山 貴嗣
出場時間は10分に満たなかったが、最もインパクトを与えた選手かもしれない。
終盤、讃岐のパワープレーに対してヘディングで跳ね返し続けてチャンスを与えず。
西野、松本、ドゥンガと190cm近い選手相手に180cmの秋山が空中戦で勝つ様は圧巻であった。
須藤監督のサッカーでは今節のように終盤の守備固めが多くなりそうだが、自分にフィットするチームであればJ2でも充分活躍できる選手だろう。

讃岐

https://www.jleague.jp/player/1100286/#attack

西野 貴治
ユースから昇格して2年目でガンバ大阪のレギュラーを張った男も今年で29歳となる。
期待された程の活躍をこれまで見せてきたとは言い難いが、讃岐に移籍して4年目でキャプテンも任されるようになった今シーズンは花開くシーズンとなるかもしれない。
187cmの長身を活かした空中戦の強さに、経験が加わり読みも鋭い。
ポジショニングも良く、カバーリングのタイミングも素晴らしい。
最後はやらせないDFとしての肝もわかっている選手。
ついに開花するか。

https://www.jleague.jp/player/1635495/#attack

内田 瑞己
今シーズン国士舘大学から加入したSB。
讃岐ではWBを務めているが、国士舘大学出身者らしく豊富な運動量でタッチライン際を駆け上がる。
対人の強さを活かした守備から攻め上がり、高いキックの精度からのクロスでチャンスを作る。
SB、WBこなせることから需要は高い選手と言えるだろう。

https://www.jleague.jp/player/1624373/#attack

渡辺 悠雅
明治大学から加入して4年目のサイドアタッカー。
スピード含めたフィジカル能力が高い選手。
背後を取られることが多く、守備面の対応は課題があるものの背後を取られた後のリカバリーは速く身体能力でカバーできる。
ポジショニングを含めて守備を鍛えれば上のカテゴリーでも活躍できるだけのポテンシャルを持った選手である。
荒さが残る選手だが、伸びしろを多く残した選手であり今後の活躍が楽しみだ。

https://www.jleague.jp/player/1630113/#attack

長谷川 隼
身体能力が高い選手を多く揃え、活かしていく讃岐にあって違いを作れる選手。
高いテクニックを持ち、左右両足から精度の高いパスを出し攻撃の起点となれるアンカー。
守備面で自身の脇を突かれる場面が多く、立ち位置含めて守備面の強化は今後必要となるがWボランチなら良さも活かしやすいのではないか。
ラストパスも出せる選手なだけに1列前で起用しても面白そうだ。

https://www.jleague.jp/player/1607200/#attack

松本 孝平
今シーズンJFLのティアモ枚方から加入したストライカー。
国士舘大学卒業後、名古屋グランパスに加入したように高いポテンシャルを誇りながら活躍が叶わずもJFLでの活躍を経て4年ぶりにJリーグの舞台に帰って来た。
高い身体能力を活かしたポストプレーや背後への抜け出しを得意としているが、身体能力に依存傾向にあるのは国士舘大学時代から変わらない。
判断や繊細さが増せば得点量産しても不思議ではないポテンシャルは秘めている。

6.あとがき

須藤監督の監督姿を見られて良かった。

とにかくカッコ良かった。
いつか甲府で監督をやってくれる日が来たら良いなと願いつつ、藤枝での活躍を今後も応援したいと思う。

観戦して印象的だったのがスタジアムDJがゴール裏を先導し、スタジアム全体に拍手をするタイミングを与えてあげること。
チーム、サポーターが一体となり雰囲気を作り出そうとしていることが伺えた。
「一体感」というクラブスローガンを全員で体現しようという姿勢が見えた。
また、アウェイの選手紹介にも藤枝サポーターが拍手を送っていたことも好感を持てた。
過去にいろいろなスタジアムに行ったが藤枝のようなチームは見たことが無い。
本当に素晴らしいチームだと感じた。
しかし、今節の観客動員数はわずかに919人。
普段J2を主戦場とし、J1でも戦ったことのあるクラブのサポーターとしては少なく感じた。
昔は甲府もそのような時代はあったが、今の藤枝に919人という観客数は寂しい。
素晴らしいスタジアム、素晴らしいサッカーを見せているだけにもっと増えて欲しい。
この記事がきっかけとなれば嬉しいところ。

また、せっかく藤枝まで行ったので現地で食べたものも紹介して終わりたいと思う。
まず向かったのはななやさん。

こちらでいただいたのは抹茶アイス。

非常に濃厚で美味しかった。
だが、それ以上に自分の手が想像よりも綺麗で驚いた笑
一瞬女性の手かと勘違いし、3度程見直したがやはり自分の手であった笑
お茶やアイスも豊富に揃えており、モンブランなんかも美味しそうに見えた。
お土産に買って帰ったクッキーも美味しく、また行ってみたいと思う。

続いて向かったのは田中水産さん。

こちらではマグロ定食をいただいた。

元々マグロは好きであったが、今まで食べてきたマグロは別物なのではないかと感じる程美味しかった。
マグロを食べに行くだけでも藤枝に足を運ぶ価値は絶対にある。

山梨からは中部横断自動車道のおかげで静岡はかなり近くなった。
ぜひ、藤枝に足を運んで欲しいと思います。
食べ物も美味しく、魅力的なサッカーが見られる。
私にとっては最高の場所であった。
今回は見たかった久保藤次郎も見られなかったため、再び訪れてみたいと思う。

最後までお読みいただき、ありがとうございました

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?