月刊Synthwave生活 2024年8月号

このシリーズでは、だいたい月1を目標にSynthwave、Outrun、Darksynth、Chillsynth等の作品のレビューと言うか紹介をしていきます。
非常に気温が高い日が続いてますが、こんな時はChillが必要です。そもそもChillという言葉は冷気とか悪寒とか冷蔵するというような意味だと思うんですが、音楽においてはchill outというワードからなんかアンビエント的な何かという意味が日本人にとっては定着してしまっているんじゃないでしょうか。実際にはチルド餃子とかチルド食品のチルと同じだと思います。そこでChillsynthというジャンル名を日本語化して「冷やシンス」にしたらどうでしょうか?なかなか語呂がいいと思います。まあ定着するとは思いませんし、私も今後一切使いませんが。
というわけで、今月もレビューの方に行きましょう。

Hotel Pools - FiLo

Chillsynthの最前線を行くHotel Poolsの最新作。Chillsynthというどうしても似たような曲になりがちなジャンルではあるが、それでもHotelPoolsの音だと聴いてわかるスタイルが確立されている。一個前のリリースと同じく今作も亡くなった弟さんに捧げられている。タイトルはLoFiではなくFiLoなのはどのような意味なのか、考えてみたくもなるがあまり見当はつかない。

Taeha - City Lights - The Mini Album

韓国の女性ヴォーカリストによるポップ系Synthwave。ポップといってもSynthwaveとしてのポップな曲調とシティポップ系の曲が含まれている。なんか歌詞は英語と韓国語が混ざっているような気もするが私は日本語しかわからないので実際どうなのか確証はない。EP扱いで4曲とそのリミックスを収録。リミックスにはMiami Nights 1984等が参加。

Pizza Hotline - Polygon Island

AmbientJungle/Atmospheric DnBの立役者Pizza Hotlineの待望の新作フルアルバム。ジャケット絵といいタイトルといい、やっぱりPS2辺りのゲーム業界が本格的にポリゴンの時代に突入した頃のバイブスを明確に打ち出している。あの時代のゲーム開発者はポリゴンに未来を見出し、ゲーム音楽においてはテクノとドラムンベースに未来を見出していたのだろう。今となっては立派なレトロフューチャーになってしまった。

arcologies - ocean deep

こちらもAmbientJungle系。出だしからして風格を感じる完成度の高さ。Pizza Hotlineと違ってゲーム音楽的なバックグラウンドがあまり感じられず、90年代の実際のドラムンベースに直接影響を受けたような感じだろうか。Bandcampからのダウンロード購入では、ボーナストラックとしてアルバム全編をカセットから録音したバージョンが入っている。

Hello Meteor - The Oahu GP 2: Hyper Tropic

Hello Meteorも今作はY2K期のゲーム音楽を意識したドラムンベース路線。とは言ってもコンセプト的には微妙な違いがあって、こちらは一本のゲームの起動からのプレイを再現したような作りのアルバムとなっていて、レースゲームを想定しているようだが具体的なゲームの内容が想像できるようなこだわりが感じられる。

VERY LARGE UNIVERSE - Asynchronicity

この記事を毎回見ている方はわかると思うが、私はいつもレビュー記事を書くにあたって作品の内容を否定したり悪く書いたりした事はない。しかし今回は遠慮なく書かせてもらう。この作品は聴くべきではない。間違っても↑のBandcampのリンクをクリックして開いてはならない。万が一リンクをクリックしたとしても、「デジタルアルバムを購入」のところをクリックするべきではないだろう。もう一つ言えば、価格は1ドルに設定されているが、支払い画面で5ドルとか10ドルと入力してから支払いするなどはあってはならない。最も恐れている行為は、↑のリンクをTwitterなどで拡散することだ。