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Architectural Publisher

本、雑誌、メディアを取り巻く状況は時代と共に変化しており、生き残りをかけ時代に対応した柔軟な対応が求められる様になってきました。建築業界を見ても、10+1の更新終了の様に、骨太なメディアを維持する事の難しさを感じます。海外を見てみると、ArchiDaily,DesignBoom,Dezeenといった世界中の建築をまとめるプラットフォームがあります。今回は、そこまで大きくなく独自路線をとっている海外の建築メディア、出版社についてまとめてみました。

1.MAS Context

MAS Contextはシカゴを拠点に活動する建築家Iker Gillが編集長を務める建築雑誌です。大体1年に4回のペースで出版しており毎号違ったテーマを設定し、若手から大御所まで様々な切口のエッセイやインタビューが載っています。毎回、骨太なテーマが多く、例えばIssue20 Narrativeでは建築と物語の関係について、ヒメネズ・ライといった若手建築家や謎の建築漫画家Klaus(彼の活動は非常に興味深いのでいずれまとめたいと思います。)、ピーター・クックのインタビューなど某有名雑誌が霞むほどの内容になっています。驚くべき事に、このボリュームで全号、無料でPDFダウンロードできます。そんな事をして金銭的に大丈夫なのかと思いますが、アメリカは寄付の文化があるので財団や企業からの寄付がある様です。

2.Divisare

Divisareはイタリアの建築情報サイト兼出版会社です。学生、学校関係者なら無料(大学のメールアドレスが必要)。一般は年60ユーロでのサブスクライブになります。サイトからの抜粋にあるように、SNS時代のメディアの在り方、情報の在り方について独自の考え方を持っているメディアです。アンチArchdaily, Dezeenですね(笑)

"Divisare is the result of an effort of selection and classification of contemporary architecture conducted for over twenty years. Patient work, done with care, image after image, project after project, to offer you the ideal tool with which to organize your knowledge of contemporary architecture. Instead of a quick, distracting web, we want a slow, attentive one. Instead of hastily perused information, we prefer knowledge calmly absorbed. This is why Divisare is a place to perceive architecture slowly, without distractions. No click — like — tweet — share, no advertising, banners, pop-ups. Just architecture, no more and no less. "(サイトからの抜粋)

3.Kontextur

Kontexturはライプツィヒを拠点にKatharina Benjamin とAlen Linnemannが運営する建築オンラインマガジンサイトです。このサイトの面白いのは、若手建築家、建築学生、建築写真家など有名・無名に関わらずインタビュー形式で紹介している所です。あえて質問を形式化して、それぞれの思想を炙り出している所も面白い所です。サイトにはSubmitのタブがあり、インタビューのアプライが出来る様です。

4.Arquine

Arquineはメキシコを拠点に、建築出版やイベント、コンペといた建築メディアを運営している団体です。メキシコ等の中南米系の建築家のモノグラフが多く他の出版社とは毛色の違う特集をしています。

5.Nemofactory

Nemofactoryは韓国の出版社で、日本の建築家のモノグラフを多く出しています。他にはアメリカ西海岸系の建築家の作品集も多く出して、中でもMorphosisの作品集は素晴らしく個人的にはMorphosisの作品集の中で一番の出来だと思っています(他のが良く無さすぎるのもありますが)

6.Uncube

Uncubeは2012年にベルリンに設立された建築プラットフォームです。月1でデジタルマガジン、週1でニュースレターが届くようです。このサイトの特出すべきはWEBデザインにあります。PCやスマートフォンで読むことを前提デザインされており文量、動き、色すべてが美しいです。何か新しいメディアの在り方を提示しているような気がします。

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