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スポーツ協会・団体の運営に向いている人材を見分ける実践的な方法

当アカウントでは、感情に流されることなく「心のスイッチを切って」スポーツセクターの様々な構造やアスリートの位置づけについて考えてきた。今回の記事では団体の運営方法について考えていく。

背景

スポーツ団体の運営では公になっている・いないに関わらず問題が起こっている。報道されるされないの如何によらず、横領事件なども多い。横領と言ってもスポーツ団体における横領も数億円のような規模でもない。そもそもスポーツ団体の資金はごく一部を除きそんなに多くない。以下では、特に比較的規模が小さめのスポーツ協会・団体の運営に向いている要素の客観的な見分け方について考えることとする。

スポーツに必要な3要素

スポーツ自体が遊びになりがちな状態を考えると、スポーツを行うには、以下の3点が前提として必要になる。

経済的余裕
精神的余裕
時間的余裕

これらの要素崩れると、まず個人の生活が危うくなり、団体のことなど眼中から消え去ってしまう。特に自分の生活が苦しくなってしまえば、団体の資産に手を出したくなってしまうのかもしれない。

個人の生活が厳しくなってしまえば、団体のことなど二の次になってしまうことは明らかである。これは団体としては、可能な限り避けなければならない。

運営に必要なスキル一覧も加えてある。少人数で業務に取り組めるようにするためのIT技術、国際連盟との連絡や交渉をするための英語力などは最低限必要になる。小さい団体でも全体で必要なスキルセットは変わらないため、人数が少なければ少ないほど、多才な能力を必要とする。

ということは、上記のような安定性と、多才なスキルを持ち合わせた人物に協力いただくのが最も効率的で効果的であることが分かる。

デュー・デリジェンスを行う

こういう人材を見分けるためにはどうすれば良いか?自己申告では不十分である。客観的な指標が効いてくる。いわゆる信用調査を行うことが最も確実である。一般企業では取引や、場合によっては面会対象者ですら、事前に調査を行う。一般的には帝国データバンクなどの専門サービスで行うことが出来る。

しかし、基本的に資金が乏しいスポーツ団体では、毎回専用サービスを利用した調査を行うのは難しい。

クレジットカードの与信額

では代用方法を考えよう。最も安価で上記の調査を代用できるのは、個人のクレジットカードの与信額をチェックすることである。

銀行をはじめとした金融機関では、貸した相手が倒産したりなどして貸した資金を回収することが出来なくなることを可能な限り避けようとする。要するにより信用度が高い人には多くの額を貸してもらえるが、信用されていない場合にはお金を貸してもらうことが出来ない。そもそも一定以上の信用がない限りクレジットカードすら作ることが出来ない。これは上記の信用と直結する。

自己破産などを行った場合でも、クレジットビューロなどの情報機関に情報が登録され、いわゆるブラックリスト状態である。

クレジットカードを作れない理由も、上記の前提やスキルとは対極に位置することが分かる。

さらに社会的信用とも高い相関があり、広報にも役に立つ。これを調べることは有効である。

金融機関自体がデュー・ディリジェンスを行っているため、このクレジットカードの与信額を確認すれば、該当者の信用が間接的ではあるが高い精度で、無料で確認することが出来る

どのような理由であれ、クレジットカードを持っていない場合は既に赤信号となる。横領が発覚しても、保証できる額が大きいとみることができ、そもそもスポーツ団体の運営費レベルの金額で手を付ける可能性も低くなる。

これを行うと、上記の3要素とスキルを持っている人たちは、一定の職業に集中していることが多い傾向もあることだろう。こういう視点で見ると、多くの業界団体などでは一定の職業に集中している傾向があるようにも見える。

勿論上記は一定基準として有効であり、金額をいくらにするか?などは団体の規模や方針にもよるが、客観的な視点として有効な指標ではないだろうか?

適性のない人の全力よりも、適性のある人の片手間

上記のようなスキルと前提を持った人材というのは、おそらくスポーツに関わる人全体と比べて一部に限られているはずである。ここで、副業解禁・働き方改革はこういうエリアには非常に追い風である。

運動音痴の全力ダッシュと比べても、ウサインボルトの適当なスキップの方が速いだろう。適性のある人物の片手間の方が、無い方の本気よりもうまく機能する現実がある。

逆に言えば上記のような前提とスキルを持ち合わせる人物に如何に協力いただける環境を効率的に作るかどうかで、今後の発展性が決まっていくのではないだろうか?

規模の拡大に伴い、宣伝や発展など様々な要素も出てくるが、このようなコアな要素を固めてからでないと砂上の楼閣と化してしまう。

感情ではどうにもならない部分

「やる気と熱意があればどうにかなる!」そう思いたい気持ちはわかる。しかし背に腹は代えられないのも事実である。個人ならまだ自滅するだけで済むが、会員を抱えている団体の場合、団体の運営によって会員や関係団体取引先などにも迷惑をかけてしまう結果となり、被害が広がってしまう。そして現にそうなっている側面もある。

「スポーツは誰でも楽しめるのが重要」というのも勿論わかる話である。上記の話題はあくまで運営サイドの話であり、スポーツ自体を行うことには影響もない。

キャリア形成について

現在アスリート・スポーツ選手で、引退後にも協会の運営などに参画したい場合には、上記のリストをなるべく多く満たすことが、協会のみならず、業界からも欲しがられる人材となれる可能性が高い。

同時に他の分野でも重宝される人材であるともいえる。このような視点でスポーツ以外でもスキルを身に着けていけば、スポーツから離れた際でも有効な、良いキャリア構築が出来るのではないだろうか。

「マイナースポーツ」ではなくベンチャースポーツの団体、日本ベンチャースポーツ連盟は、特に発展途上にあるスポーツの直接的な運営支援や、サポートを中心に行っています。他分野他業種から参画を促し、運営ガイドなども公開中です。


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