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【GO三浦崇宏・大長敬典】20代のみんなへ伝えたい「自分の道を切り拓く、20代の働き方」

高校や大学で留学やインターン、学生起業などさまざまな経験をしても、新卒一括採用で一括りにされてしまうことに違和感を持つ若者が増えている。これからの時代に合った道の切り開き方は必ずあるはずなのに――。そこで、VENTURE FOR JAPANでは自分の未来のあり方を想像して「挑戦するキャリア」の第一歩を踏み出すための、オンラインイベントを開催している。第一回目のゲストはGO代表の三浦崇宏氏大長敬典氏100名近くの若者が参加したイベントで、お二人は20代をどのように過ごしてきたのか、働く上で大切なことは何なのかを語っていただいた。

異なる専門性を持つ人が集まったチームで仕事をしたい

三浦さん大長さん②

小松 三浦さんは博報堂、大長さんは電通にそれぞれ新卒で入社されています。まずは、なぜその会社を受けたのかを教えてください。

大長 僕は高校と大学時代にアメフトでキャプテンをしていたから、チームで成し遂げることが好きでした。就活で広告業界のセミナーに参加してみると、みんなのアイデアで一つのクリエイティブを作っていく過程が、アメフトに似ていたんです。

三浦 まさにチームプレイですよね。アメフトはポジションによって役割が違うのと同じように、広告も営業やコピーライター、クリエイティブディレクター、PRなど、それぞれに役割が違う。専門性を持った人が集まってチームを形成するから、確かに似ています。

大長 そう、それが面白いと思って広告業界に絞りました。スポーツの常勝集団は勝つために必要なことがわかっているから、しんどい練習も続けます。同じように、広告業界にいくならトップの企業に入ろうと思って、電通を選びました。

三浦 僕は大学生のときに、企業の採用イベントなどを請け負うイベントプロデューサーをしていました。だから、周りからはそのまま起業すると思われていたけれど、当時は起業に興味がなくて。

もっと社会を大きく変えられるような規模感で、表現に関わる仕事は何かと考えたとき、選択肢に上がったのはテレビ局と広告代理店。だから民放各社と電通、博報堂を受けました。

ただ、就活自体をなめていたんですよね。博報堂でインターンをしていたときに、クリエイティブの成績がダントツだったし、間違いなく1位指名でそのまま入社できるだろう、と。だけど、ふざけたエントリーシートが仇となり、インターンからの採用面談は不採用になりました。

ここで反省すればいいものの、僕は「なんだ、博報堂はおれのユーモアもわからないのか」と勘違いし、そのままの調子で民放各社を受けた結果、すべて不採用に。さすがに最後に残った電通の採用試験は不安になりました。

それでも電通の面接はトントン拍子で進んで、最終面接にたどり着いたんですね。電通は最終面接まで進むとほぼ100%内定確定なのですが、最後に余計なプレゼンを長々としてしまい、後日不採用を伝えられました。

これで全滅したわけですが、博報堂の人事から「一般応募を受けないか」と声がかかったんです。面接を受けにいくと人事局長から「インターンで1位だったのになぜ不採用だったかわかるか?」と聞かれ、「ふざけていました」と謝ったところ拾ってもらえることに。自分はどれだけ勘違いしていたかを痛感した就活でした。

仕事はできるかできないかではなく、やるかやらないか

小松 20代の頃は、どんなことを考えながら仕事をしていましたか?

大長 僕は、スポンサーさんからお金をもらってテレビ番組のCM枠を取りに行く、テレビ局担当(局担)の仕事をしていました。チームのために、とにかく真面目に愚直に、目の前の仕事をこなしていた自負があります。

ただ、CM枠はテレビ局の人と仲良くならならないとなかなか取れないので、朝7時半には出社して、昼や夕方からテレビ局の人と飲みに行ってまた会社に戻り、深夜や明け方まで仕事をするという相当ブラックな働き方をしていました。

三浦 CM枠の値段は同じだから、テレビ局の人は仲良い人に売りがちなんですよね。その過酷な労働環境で、何がエンジンになっていた?

大長 CM枠が取れるとみんなが喜んでくれるんですよ。やればやるほど売上が上がるし、仲間も増えていく。結果、日本中どこに行っても知り合いがいる状態を作れたし、それは僕にとって大切な財産になりました。しかも、過酷な労働環境への耐性がついて、何事も無理だと決めつけなくなったのは良かったです。

三浦 人より良い仕事や報酬の高い仕事は、ほとんどが無理なこと。でも、無理だと決めつけずにやってみる努力が必要ですよね。

大長 その通りで、できるかできないかではなくて、やるかやらないか。無理なことを形にするためには何が必要で誰に相談すべきかを考える。だから、どんなに過酷でも「どうしたらみんなに喜んでもらえるのか」をずっと考えていました。

自尊心と自分勝手さが仇となり、無駄に過ごした1年間

三浦さん大長さん③

三浦 僕の場合は、就活中の勘違いが入社後もしばらく続きました。入社前の集合研修でクリエイティブの成績がトップだったので、当然クリエイティブの部署に配属されるだろうと信じて疑わなかったのですが、最初に配属されたのはマーケティングの部署。

「僕はクリエイティブの才能があるのに、なんでマーケティングなんだ」と上司に噛みつき、何を言われても反発するとんでもない新入社員でした。しかもある日、遅刻をしたことがバレているのに嘘をついてごまかそうとしたことで、全く仕事をもらえなくなったんです。

普通ならここで謝ると思いますが(笑)、仕事がなくて暇だからと、スタートアップのコンサルティングとラジオの放送作家を始めました。しかも博報堂のオフィスで会社支給のパソコンを使って(笑)。

ただ、半年が経った頃、「世の中に大きな影響がある仕事をチームで成し遂げたいと思って入社したのに、今自分がやっていることは学生時代のイベントプロデュースと変わらない。何をやっているんだろう」と気づき、「仕事をさせてほしい」と上司に泣きながら謝りました。

1年間を無駄に過ごしてしまったし、周りの同期からずいぶん遅れたという焦りもあったので、そこからは必死で頑張りましたね。チャンスがあれば取りに行ったし、他の人の3倍も5倍も仕事をしたと思います。

その後、クリエイティブの部署に異動することになり、トップから最初の配属がクリエイティブの部署じゃなかった理由を聞かされました。クリエイティブは世の中に出たときに本当に人の心が動かせるかわからないから、最後までドキドキしながら作っていくもの。いくら成績が1位でも、謙虚さと臆病さがない自信満々な人に本当のクリエイティブはできない。だから配属させなかった、と。

この言葉の意味は、実際にクリエイティブディレクターになったときにわかりましたが、今振り返っても自尊心が癌になっていたなと思いますね。

小松 壮絶な経験ですね(笑)。大長さんは、しんどかった経験はありますか?

大長 局担の仕事はしんどかった記憶しかないです。仕事量が異常に多くて終わらないから、土日も関係なく会社に行ったし、とにかく時間が全然足りなかった。

ただ、しんどい経験の先には必ず嬉しいことや、今まで見たことのない景色が待っているから、ネガディブなことではありませんでした。何かをやるときに楽なことはないし、物量をこなせばこなすほど、得られるものは多いです。

三浦 世の中は入力と出力でできていて、出力を高めたいなら入力量を増やすほかないですからね。

世の中が変わっても、物の見方や捉え方は変わらない

小松 今回、事前質問で多かったのが、「withコロナの時代で、働くということはどう変化しますか?」「今20代だったら何をやりたいですか?」の2つなのですが、三浦さんはどう思いますか?

三浦 新しい生活様式やリモートワークの浸透などによって、これから世の中の変化は加速します。でも、物の見方や世の中の捉え方はあまり変わりません。

博報堂にいた10年間で学んだのは、技術ではなく世の中との向き合い方。マーケティングで世の中の大きな流れに気づき、PRでメディアや人をどうやって巻き込むかを学び、クリエイティブではどこまでこだわれば人の心を動かせるかを学んできた。これらはすべて世の中との向き合い方ですよね。

だから、どれだけ世の中が変化しても、それをどう捉えたら意味のある答えが導き出せるのかを考える姿勢は変わらないと思います。この姿勢を手に入れるには、いい師匠と出会えるかどうかが大きい。早く走るために良いフォームを身につけるのと同じように、自分のフォームを修正してくれる師匠の存在は重要だと思いますよ。

そこでいうと僕の師匠は、マーケティングの部署で反発しまくっていた上司です。師匠だと思うようになったきっかけは、「狭い世界の中で自分勝手に生きていて、このままではいいクリエイターにもいい社会人になれないから、これから生まれ変わります」と言ったときに返された言葉でした。

「人間は簡単には変われないし、そもそも三浦には世の中を変えたいという強い意志と、こんな社会を作りたいという思いがあるじゃないか。少しひねくれているのは三浦の良さ。今はいびつな形をかもしれないけれど、面白いアイデアを説明するロジックや、自分の仮説と違うものを見つける視点など、今持っていない要素をたくさん足して、大きな丸になればいい」と。

大長 素敵な上司ですね。何事も誰かの真似から始まるので、師匠と思える人を真似てみて、何ができるようになるのかを学ぶのはすごく大切だと思います。

命がけで成功させたいと思うことで、トライアンドエラーを繰り返す

三浦さん大長さん①

小松 次の質問は「今就活をするならスタートアップや起業を選びますか? それとも大企業を選びますか?」。

三浦 僕はいろんな人がいる大企業がいいですね。ただ、人が多すぎて良くない影響を与える人は一定数いるかもしれないし、いい師匠に出会えるかわからないというリスクはあります。その点、スタートアップは師匠がわかりやすい。就活生にアドバイスをするとしたら、何をやるかより「誰と」やるかを考えた方がいいですよ。

大長 僕も大企業ですね。いろんな人と出会えるから成長できるし、同じ会社というだけで違う部署の人も仲良くしてくれて、その輪が枝葉のように広がっていくのが大企業のいいところ。とはいえ、大企業は細分化されているからいい人に出会えないリスクはありますけどね。

小松 次は、「自分に合う師匠と出会うコツはありますか?」

三浦 自分に合う・合わないというよりは、信じられるかどうか。僕もずっと反発していた上司から、「変わるより足していけ」と言われたときにすごく感謝して、信じてついていこうと思いました。その人を謙虚に愛せるか、信じる姿勢を持てるかが大事ですね。

大長 周りからの評判を聞いて、勝手に判断してしまうことはあると思います。でも、誰もが強みを持っているのだから、何ができる人なのかを知るのはとても大切です。自分が持っていない強みを持つ人と補完関係になるためにも、どんな人にでも興味を持ってまずは話しかけることが大切だと思います。

小松 ありがとうございます。では最後に、地方企業の経営者の右腕として2年間チャレンジするVENTURE FOR JAPAN(以下、VFJ)の可能性についてお二人のお考えを聞かせてください。

三浦 人はトライアンドエラーを繰り返すことで成長します。しかも、ここで言うトライとは簡単なものではなく、命がけで「絶対に成功したい」と思う挑戦のこと。そのためには、ものすごい熱量と誠実さと使命感を持てる環境が必要で、まさにそれがVFJの提供してくれる環境だと思うんです。

しかも、僕らサポーターや小松さんなど応援してくれる大人がちゃんと後ろでバックアップしてくれている状態で挑戦できるので、必ず実力につながると思います。

大長 自分は何のために働くのかをきちんと考えた上で、しんどい仕事をするのはすごく大事なことです。応援してくれる存在がいる状態で、地方の中小企業の新規事業の責任者を任せてもらえるなんてチャンスでしかないし、そんな環境は他にないと思います。僕がいま就活中の学生だったら、VFJを選択したいですね。

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