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【クロスフィールズ小沼大地】20代のみんなへ伝えたい「自分の道を切り拓く、20代の働き方」

高校や大学で留学やインターン、学生起業などさまざまな経験をしても、新卒一括採用で一括りにされてしまうことに違和感を持つ若者が増えている。これからの時代に合った道の切り開き方は必ずあるはずなのに――。そこで、VENTURE FOR JAPANでは自分の未来のあり方を想像して「挑戦するキャリア」の第一歩を踏み出すための、オンラインイベントを開催している。第4回目のゲストは、企業で働くビジネスパーソンと新興国をつなぎ、現地で社会課題解決に取り組む「留職プログラム」等を展開しているNPO法人クロスフィールズ代表理事の小沼大地氏どのような思いから起業に至り、何を成し遂げたいと考えているのか、また小沼氏の人とは違う人生の選択について語っていただいた。

働く人と新興国をつなぎ、社会課題を解決する

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小松 まずは小沼さんのキャリアとクロスフィールズの事業についてお話しください。

小沼 大学を卒業後、青年海外協力隊として2年間海外で活動し、帰国してマッキンゼーで3年働いた後、2011年にNPO法人クロスフィールズを創業しました。クロスフィールズのメイン事業は、企業で働く人を新興国に派遣し、現地NPOで本業のスキルを生かしながら社会課題の解決に挑んでもらう「留職プログラム」です。

現在、国内で「留職プログラム」を導入した企業は約50社。企業の力を活用した途上国の課題解決と、未来を切り開くグローバル人材の育成を実現させています。

このプログラムを運営して嬉しく思うのは、参加者が新興国から帰国すると、自社のリソースを使って社会課題を解決する新規事業を立ち上げるケースが増えていること。一度の体験プログラムで終わるのではなく、その経験を生かした事業が誕生するのを見るのは、大きなやりがいにつながっています。

トップダウンとボトムアップの両方から会社を変え、社会を変える

小松 起業後、ぶつかった壁などはありましたか?

小沼 創業5年目に「本当に社会を変えられるのか」という本質的な課題にぶつかりました。

というのも、同世代の起業家たちは大型の資金調達に成功して世の中にインパクトを与えているのに、自分の規模はとても小さいと思ってしまって。そこで、改めてビジョンに立ち返り、どうすれば世の中を変えられるのかを考えました。

若手が変われば会社が変わり、会社が変われば社会が変わるのはわかっていました。ただ、挑戦する若手をきっかけに企業に属する一人ひとりが変わるには、10年や20年といった長い月日が必要です。

そこで、経営層や役職者にこそ、挑戦する若手を応援してくれるような意識改革が必要だと思い、経営層や役職者向けの「社会課題体感フィールドスタディ」を始めました。このプログラムの狙いは、経営層や役職者が1週間程度現地に行って社会課題を体感することで、トップダウンとボトムアップの両方から会社を変えていくことです。

大手企業を中心に「留職プログラム」と「社会課題体感フィールドスタディ」の参加者は年々増え続け、社会課題とビジネスの架け橋になりつつある実感を得られるようになりました。

ただ、新型コロナウイルスによって世界の分断が進むことになり、今はいかにして新興国とつながれるかを考えています。たとえば、日本にいながらグローバルな社会課題に取り組む機会を設けたり、VRを使って社会課題の現場を体感してもらったりなど、さまざまな企業と協業しながら形にしているところです。

震災の時もそうでしたが、今回のコロナ禍も同じで、人や社会は外圧による大きな痛みが伴うときこそ変化するチャンス。だから、このピンチの状況をチャンスだと捉えて、挑戦を続けていますよ。

王道の道に新しい未来はない。マイナーな道こそ面白い

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小松 小沼さんは新卒で青年海外協力隊を選ぶという、普通とは違う選択をしていますが、学生時代はどんな学生だったのですか?

小沼 僕は典型的な体育会系で、一橋大学で100人くらい部員がいるラクロス部の主将でした。教員志望だったので教員免許を取ろうとは思っていたけれど、決して感度の高い学生ではなかったです。

小松 教員を志望したけれど、青年海外協力隊の道を選択した背景には何があったのでしょうか。

小沼 僕は甚だしく人と違うことをやりたいと思っていたんですね。

高校時代は硬式野球ではなく軟式野球に打ち込んでいたから、県大会でも優勝できたし、大学ではマイナースポーツのラクロスに打ち込んだから、21歳以下日本代表にも選ばれた。

メインストームではなく、マイナーな道に進むと面白い未来が待っていることを体験していたから、メインではない方向に進むことは決めていました。教員免許を取ろうと思ったのも、一橋大学から教員になる人が少なかったからです(笑)。

そんななか、青年海外協力隊を選んだのは、電車で偶然見た募集広告がきっかけだったのですが、これは人生最良の選択だったと思っています。

小松 人と違う道を選択して進むのはすごく共感します。サッカーでは日本代表に選ばれないけれど、フットサルなら選ばれるということが往々にしてありますからね。僕自身、震災後に東京から宮城県の女川町に移って起業したことで、チャンスが増えました。

小沼 王道の道に新しい未来はなくて、邪道と言われるような道にこそ未来があると思うんです。ただ、それを選ぶにはクレイジーな意思決定が必要ですけど。

小松 自分が本当にワクワクできる道を選ぶことは大事ですよね。ちなみに青年海外協力隊のみを志望して突き進んだのでしょうか。

小沼 いえ、青年海外協力隊は倍率が高いので、新卒で合格するのは結構難しいんです。だから、保険として大学院への進学と海外大学への留学という選択肢も持ちながら選考を受けていました。みんなとは違う道を選ぶけれど、ビビリなんですよね(笑)。結果、運良く3つとも合格し、青年海外協力隊の道を選びました。

シリアで出会ったドイツ人コンサルタントがきっかけでマッキンゼーへ

小松 青年海外協力隊のあとはマッキンゼーに入社していますが、協力隊での経験は次の進路に影響を与えましたか?

小沼 渡航先のシリアのNPOに、ドイツ人の経営コンサルタントが出向してきたのですが、その人との出会いは次の進路に大きく影響しました。

それまで、僕はビジネスを「悪だ」と思っていたけれど、その人はビジネスの力を使って現地の人と一緒に、課題解決をしていたんです。そのとき初めて、ビジネスとNPOをつなぐと社会課題の解決に貢献できるんだと思えました。

だから、次のキャリアではビジネス側を知りたいと思って、その人にキャリア相談をしたところコンサルタントを勧められ(笑)、シリアから日本のマッキンゼーに応募しました。

仮に僕が大学4年性の就職活動中にマッキンゼーを受けていたら、間違いなく採用されなかったと思います。だけど、青年海外協力隊の道を選んだことで、世界的な視座を持ち、アラビア語も話せる“変わった人枠”で採用されたのはラッキーだと思いましたね。特殊な経験を得たことで、キャリアの選択肢は広がりました。

小松 普通の採用活動では採用できない人を欲しがる企業は多いですよね。それくらい、人と違う経験には価値があると思います。ちなみに、ドイツ人のコンサルタントと出会う前は、次のキャリアはどう考えていましたか?

小沼 実は、最初の3つの選択肢にあった大学院への入学は、蹴ったわけじゃないんです。大学院を2年休学して青年海外協力隊として渡航していたので、帰国後は新卒として就職活動もできるし、当初目指していた教員の道もあったし、さらにはイギリスの大学への留学も考えていました。

でも、ドイツ人のコンサルタントとシリアで出会って本当に良かったと思っています。青年海外協力隊からコンサルタントになったのは日本で僕しかいないと思うし、「自分が進む道はオンリーワンだ」と自信を持てたことで、自由になれました。

自分の“コンフォートゾーン”を超えた道を進んでほしい

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小松 小沼さんが今まで一番しんどかった経験は何でしょうか。

小沼 青年海外協力隊での2年間はしんどかったです。なぜなら、やることが決まっていなかったから。大学時代のラクロスでは、辛い練習が続いても「関東制覇」という目標があったから頑張れました。

でも、協力隊は何をしてもいいから、自分で現地の課題を見つけて、現地の人と一緒に解決しなさいと言われて。自由の裏側にある責任を感じたし、自分で設定した目標に向かって頑張る辛さや厳しさを経験しましたね。

ただ、渡航していた2年間、さまざまな困難を自分の力で突破したことで自信がついたのは間違いありません。現在のコロナ禍でも「なんとかなる」と思えているのは、青年海外協力隊の経験があったからだと思っています。

小松 ありがとうございます。最後に、就職活動やキャリアに悩んでいる若手に向けてメッセージをお願いします。

小沼 ぜひ、自分のコンフォートゾーン(居心地の良い場所)ではない、挑戦する道を選んでほしいです。むしろ、今回のコロナ禍によって今までの常識はガラリと変わっているので、これからはコンフォートゾーンにいること自体が危険な行為になるかもしれません。

就職や転職、起業など複数の選択肢があり、悩んだ末に出した結論に対して、みんなから「いいね」と言われたら、それはコンフォートゾーンの選択。現在の価値観による選択なので、やめた方がいいと思います。それより、周囲からは疑問に思われても、本当に信頼できる数人から「いいね!」と言われる選択肢を選んでほしい。

一度しかない人生、挑戦して失敗した後悔よりも、挑戦しなかった後悔を抱える方がリスクです。だからぜひ、自分で考えて納得できるような、マジョリティではない道に突き進んで欲しいと思っています。

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