シナナイ03-2

ヒトリシナズ

目が覚めると、私は死んでいた。

今度は胸を一突きか。こういうのは痛いから嫌だ。
起き上がり、深々と突き刺さった剣を抜く。
火の手はもう既に収っている。戦火に巻き込まれるのも慣れた。
ただ、いくら死なない身体とはいっても痛いものは痛い。

死なない。否、死ねない。
私は死ぬ事が出来ない。
クソッタレの悪魔に押し付けられた契約だ。私は死ねない。人類を滅ぼすまで。

周りを見渡す。そこかしこに死体。私がやった。死ぬために。でもこれじゃ焼け石に水だ。

どれだけ人類がいると思ってる。
どこに人類がいると思ってる。
どうすれば全人類を滅ぼせる…!

胸の傷は塞がり頭に血が巡る。脳が怒りで満ちる。理不尽な契約…!

「…やってやる…何百、何千年かかっても…この死なぬ命を以て…お前の望むとおり、人類を一人残らず滅ぼしてやる」


「一人残らず!」


それから数百年。
2011年版世界人口白書によると、世界人口は70億人を越えたという。


「…無理だこれ


【続く】

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