
野党予備選の可能性
最近維新と立憲で野党予備選の話が出ている。
1人区において政策協定は無しで予備選をやって、
与党への対抗候補を1人に決めるという事である。
両代表が予備選挙の主導者なので、実現出来るのではないかと思うが、
そう簡単な話でもないらしい。
現在の立憲の党員・党友数は11.4万人、維新が4.9万人である。
そして支持組織の連合の強制力で参加する可能性がある国民が3.6万人だ。
しかし維新と国民は党員数に地域別の偏りがある。
維新は大阪・兵庫・奈良に党員が集中している。
国民は茨城・愛知・長崎・香川である。
一方の立憲は地域別の偏りが少ない。比較的東日本に党員が多く、
西日本に党員が少ないという事はあるが、
自治労は地方公務員や公立病院の労働組合、
日教組は教員の労働組合という事で全国に党員がいるからだ。
立憲と維新だけの予備選だった場合は、
奈良・和歌山が維新で残りは基本的に立憲になるだろう。
立憲、維新、国民の予備選の場合は、
奈良・和歌山を維新が、香川・長崎を国民が、
富山・福井・岡山・熊本が接戦になり、
残りが立憲になると予想される。
立憲にとっては少なくとも24選挙区は自党の候補が
自民の対抗候補になり、維新や国民は接戦県を競り勝てても
5選挙区前後しか出せないのだから文句が出るのは、
維新、国民であろうと思ったのだが、案外そうでもないらしい。
立憲は支持組織が全国にあるだけに参議院の全国比例区組が
反発しているというのだ。
参院選の全国比例は衆院選の様に党が名簿順位をつけるやり方ではない。
全国比例区に立候補した人で個人得票が多い順に当選が決まる。
つまり同じ党でも骨肉の争いをするライバルなのだ。
一度でも参院選の投票をした人なら分かると思うが、
もはや米粒に書いたみたいな文字で候補の名前が
記載台の前面に張り出されているのだ。
よって党の名前を書いても有効票なので、
組織票以外の人は党の名前を書いて終わりになる。
しかし大変なのは組織候補に投票しなければならない人である。
高齢だったり、そこまで熱心でない人は組合や団体から
頼まれた人の名前をド忘れしてしまう事がある。
まあもう亡くなったが扇千景とか浜四津敏子みたいな
苗字はあんたしかいないだろという人ならまだいい。
これが「鈴木健太」とかだったら大変である。
フルネームを思い出せない時点でほぼ詰む。
何せ記載台の名簿から相撲の番付表の様な立候補者名簿に
恐らく数人は鈴木が並んでいるのである。
しかも都道府県の選挙管理委員会次第で
党名があいうえお順だったり、届出順だったりするので、
右上の方の鈴木◯た(◯の部分を忘れたとする)って人だからって
教えられても、違う県ではその方が左下の方に書いてあり、
別の党の鈴木宏太がいらっしゃる可能性もあるのだ。
折角投票に行ったのに哀れ全然違う鈴木さんに投票し、
間違った方が受かり、本来入れるつもりだった鈴木さんは
次点で落選なんていう悲しい可能性もあるのだ。
話を戻ると立憲である。
立憲の比例全国区の方達は各都道府県で数千票を積み増し、
積み増しして当選ラインに乗せてくる。
8選挙区削られると、その県での(自分の認知度が上がらず、
(自分の)比例票の掘り起こしが出来ないと激怒しているのである。
つまり立憲は選挙区としては予備選はメリットだが、
比例区ではデメリットという二層構造を抱えている。
一方で国民と維新も選挙区とセットで(党の)票を掘り起こしたいのに
大半の選挙区で候補が立てられないと比例票が掘り起こせないという
苦しい事情を抱える一方で、勝てる可能性が高い選挙区に資源を
集中投下出来るメリットがあるのだ。
予備選をやった方が選挙区で議席を獲得出来る可能性は上がるが、
比例区にとっては必ずしもメリットとは言えない。
野田代表と吉村代表の苦悩は続きそうである。