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【大学生ヒッチハイク体験記#2】埼玉から仙台へ、300km超えのヒッチハイク旅

こんにちは、トム蒼也と申します。現在、都内の国公立大に通っている4年です。

初投稿となる前回は以下の記事で、初めてのヒッチハイク旅(東京→関西→東京)のことや始めた経緯について記しました。

その旅があまりにも鮮烈でもう1度挑戦したいと強く思うようになり、翌年の2022年8月、東京から仙台を目指して2泊3日のヒッチハイク旅に出発。今回はそれについて書いていきます。

旅の準備


前回は関西方面へ向かったため、今回は反対の東北方面に行くことを決意。中でも訪れたことがなく、ずっと行きたかった仙台を目的地にしました。

1人でやるにはまだ勇気が出ず、かといって去年の友人と一緒だと、会話を彼に頼りきりになってしまう。そこで、同じ大学の別の友人を誘ったところ2つ返事でOKしてくれたため、2人で仙台へ向かうことに。

友人はもちろんヒッチハイク未経験、僕も1年ぶり2度目で不安も大きい中、必ず辿り着こうと約束。
スタート地点は、東北道のSAで、広そうかつ徒歩で入れる埼玉県の蓮田SAに決定。

スケッチブックとペン、そして後に役立つことになる野宿用のレジャーシート以外は特別なものは用意せず、午前11時に家を出て最寄駅に向かいました。

スタート


電車に乗っている途中で友人と合流。宇都宮が旅の経由地になることは想定していたなか、このJR宇都宮線にずっと乗っていれば宇都宮駅に着くことに気づきました。
「なんか俺らめっちゃ無駄なことしようとしてね?」と話しながらも、蓮田駅で下車。

埼玉県北東部に位置する蓮田SA

SAまでは徒歩40分を要することもあり、旅の始まりからかなりきつい。昼すぎなので気温は相当上昇していて、何度も休憩しながら向かいました。
さらに、着いたと思ったら入り口がいくら探しても見つかりません。

歩いて入れると書いてあったのですが、渋々従業員専用っぽい道を見つけてそこから入りました。
多分グレーゾーンなので、真似しないでください。

なんとかたどり着いた蓮田SAは利用者が多く、広くて助かりました。ただ、日陰でできるような場所はなく何としても早く脱出しないといけないので、目立つゴミ箱の近くにポジションを取ります。

荷物を足元に置いて、まずは栃木を目指そうと思い「佐野SA方面」と書いたスケッチブックを掲げて13時半ごろ、ヒッチハイクスタート!

1台目:蓮田SA(埼玉)→佐野SA(栃木)

掲げて5分後、友人は「もう慣れたわ」と言ってて驚きました。「変な目で見られてもどうせこれ以降会わないから気にならないな」という彼のマインドは参考になります。

「とりあえずまだ元気な内に頑張ろう」そう思ってからたった3分後、佐野までならと声をかけてくれた1人の男性が現れました。まさか8分で乗せてもらえるとは思わず、テンションは爆上がり。

40代で建設の現場監督をしているその方は、仕事の帰りで一時的に住んでいる東北に戻る途中とのことでした。

「コロナだし暑そうで大変そうだったから乗せた」と、状況まで気にかけてくれて、本当に優しさに驚嘆です。
また、「遠くは無理だから迷ってたけど、佐野SAの文字を見てそこまでなら行けるから決断した」とも語ってくださり、行き先を小刻みにすることの重要性を実感。

車内では約1時間半、出身の関西のこと、学生時代に頻発してた喧嘩や暴力、シンガー志望のお子さんのことなどをお聞きしました。

現場監督の仕事で日本各地を回っており、神社とお寺巡りが趣味だから毎回出張のついでに訪れていて、この後も日光東照宮に行くとのこと。
おすすめの場所を尋ねると、山形県の立石寺はマジですごいから一度は行くべきだと教えてくれました。

最後に、「若いうちはとにかく沢山失敗したり遊んだりしておくべき」という、関西で荒れた学生時代を過ごすも今は仕事や趣味に精を出しながら家族を養い、こうしてヒッチハイカーを乗せてくれる彼のメッセージは、ものすごく説得力がありました。

佐野SA下り

1番不安に感じる旅の出発を順調に終えられてとにかく嬉しく、お礼を伝えて佐野SAで降ろしてもらいました。

2台目:佐野SA→宇都宮市文化会館(栃木)

広くて綺麗で、車も多い佐野SAを目にして「これはいける!」と自信が湧き、一旦中で座って休憩&作戦会議。今日中に宇都宮に着くことを目標に、15時半ごろ出口付近でヒッチハイクを再開。

しかし、そんな期待とは裏腹に車は次々と通り過ぎ、気づくと40分が経過。少し焦ってきたところで、車の中から声をかけてくれた60代のご夫婦に乗せていただくことになり安堵しました。

小学生の孫娘が宇都宮市文化会館でダンスの発表会に出るから見に行くとのことで、幸運にも高速を降りて宇都宮市内まで行けることに。
佐野SAからは東北に向かう人が多く、宇都宮市内は中々難しいし大変そうな様子だったからと、乗せた理由を語ってくれました。

石油などに関する施設の設計をする会社で社内結婚された、静岡県磐田出身のお父さんと横浜出身のお母さんは、今は定年を迎えて余生を楽しんでいるそうです。

お父さんは海外出張を何度も経験したらしく、英語を使うのはもちろん部品や作業員を現地で集める必要があり非常に大変だったのに加えて、アルジェリアではテロに遭遇するなど波乱万丈の海外生活について話してくれました。
他にもイランや北京、モロッコでも仕事をし、シンガポールは1番住みやすかったとも語ってくれました。
こんなにも海外経験ある人の話を聞いたことがなかったので、めちゃくちゃ新鮮で面白かったです。

文化会館

さらに、お2人から宇都宮の名物やお店、家庭を持つ2人のお子さんのことなどを聞いているうちに、文化会館に到着。
人生を楽しんでいる絵に描いたような老夫婦という感じで、とにかく和やかな気持ちと感謝に溢れました。

初日の到着は断念し、宇都宮で一息

明日中に仙台に着こうと決め、ひとまず宇都宮駅にバスで移動。途中、バスの窓から街を見ているととても大きな鳥居が突然現れ、驚きました(二荒山神社かな?)。

大体の店が閉まってたから急いでかけこんだチェーン

夜ご飯にはもちろん餃子を食べ、市内の川を訪れたあと、バスで20分の場所にある快活クラブに泊まりました。鍵付き個室はなぜか部屋が広くて、静かだし快適だったのを覚えています。

3台目:大谷PA(栃木)→那須高原SA(栃木)

下道からのヒッチハイクは難易度が高すぎるので、歩いて入れるSA・PAを探すのが自分が思う攻略法の一つ。
しかし、宇都宮からだと最短でも徒歩2時間弱かかる大谷PAしかなく、朝9時に快活を出発してから長距離歩行が始まります。

遠すぎ!

周囲を田んぼや住宅に囲まれた、太く長く真っ直ぐな幹線道路。延々と続く道のりに気が遠くなりそうでしたが、コンビニ休憩などを挟みながらなんとか辿り着きました。

いきなり福島は難しいと思って栃木の「那須高原SA」と書いたスケッチブックを、移動でヘトヘトになりながら掲げて30分後、スーツを着た貫禄のあるお父さんにお声がけいただき、乗せてもらえることに。

車にはたくさんのご家族がいて、運転しているのはなんと僕らと同い年で建築を学ぶ大学生。後ろには小学生と中学生のお子さんが1人ずつ、お母さんも座っていました。
ご家族はお母さんの実家がある福島県郡山に葬式に向かう途中で、ヒッチハイカーを乗せるのは初めてだそうです。

お父さんは会社の営業職から40歳ごろに独立してリフォーム会社を経営していて、人が喜ぶ顔を見ることが1番のやりがいということや、経営の苦労などを語ってくださいました。

また、とにかく温くて器が広い方で、若者の挑戦を応援する!みたいな姿勢でとても元気づけられました。
ヒッチハイカーを乗せるのはリスクもあるためドライバーは乗せるのにも勇気が必要で、ご家族が一緒ならなおさらです。そんな中、リターンが来るかも分からないただの学生の僕らを受け入れてくださり、本当に感謝です。

那須高原SA

13時半に那須高原SAに到着。涼しさに驚きながら、順調にいけば仙台に向かえると希望が膨らみました。

4台目:那須高原SA→仙台市内着

福島方面と書いて掲げ、出口付近でヒッチハイクを開始。そこはちょうどバイクの駐輪場のすぐ横で、30分ほど立っているとライダーに声をかけられました。
同じ大学生の彼は横浜からツーリングに来ているといいます。ヒッチハイクでずっと無視されながら立ち続けるのは辛いので、こうして絡んでくれる方がいると本当に楽しい。

彼は一旦SAに入り、戻ってきたらまた話そう、そう思ってすぐ、前にハイエースっぽい大きな車が停車して助手席の窓が開きました。

「カモン!!」

手のジェスチャーとともにその一声で呼んでくれたのは、50代で短髪のスーパーイケおじでした。
こんな映画みたいな乗せてもらい方あるんだ、と内心驚きつつ、30代の後輩の方が運転する車に乗せてもらいました。

さらに、福島の郡山で降ろしてもらう予定でしたが、「そこは何もないから」と行き先をわざわざ仙台に変更してくださいました。

お2人は岩手の花巻にある会社の本事務所に帰る途中で、会社で製造した芝刈り機の営業をしているそうです。東北から関東圏まで飛び回っていて、仕事の苦労や乗り越え方などに関して沢山尋ねたところ

お客さんの不満はむしろありがたく、貴重な意見であり製品の伸び代。完成品なんてものはなく、そう思われているものも必ず廃れていく

若い内はやり直しがきくから会社選びを間違っても変えられる。後輩がその仕事を好きかどうかに関わらず、上司は一生懸命時間を割いて教える。教えられる側が仕事を辞めたい気持ち一心だったら、どちらにも利益がないからすぐ辞めたほうがいい

という2つのお話が特に印象に残りました。

他にも、道中では花巻や東北のこと、東日本大震災、名物、お酒、修学旅行、青年の船、成人式、結婚、趣味、車など話題が尽きませんでした。

お2人とも非常に気さくでギャグやボケをちょくちょく挟んで話してくださり、それがめちゃくちゃ面白くて笑い疲れるほどでした。

仙台駅

仙台に入ると、なんと高速を降りて市内の栄えている場所まで送ってくださいました。どこまで優しいんだろうと感動しながら、最大限にお礼を伝え、最高にファンキーでかっこいいお2人と別れました。

こうして2日間、埼玉から300km超えの道のりを4台乗り継ぎ、ついに仙台に到着!!

仙台の夜

ものすごい充実感とともに市内を歩き始め、夜ご飯には花巻のお2人におすすめされた「利久」で牛タンを堪能。

牛タン定食
仙台の夜景

その後、少し時間があったので仙台市を一望できる展望台に登って夜景を鑑賞。周りはカップルだらけで、大荷物を抱える男2人組は場違い感がすごかったです(笑)。
そして、昨日と同様快活クラブに宿泊しました。

最高だった仙台城と松島

3日目、とにかく1日観光できる時間ができたのが嬉しすぎました。
午前中は仙台城に向かって歩き、途中の「西公園」で休憩。SL広場には立派なSLが展示され、中にも入れました。

城に近づき城下町っぽくなってきてから、さらに30分ほど登って仙台城に到着。伊達政宗も見たと言われる天守閣からの眺めは絶景でした。

頂上からの景色

午後は、仙台から電車で北に30分の海岸にある、有数の景勝地「松島」に移動。
駅を降りてから歩き、海岸から赤い和風の橋を渡ると、島中に生える松と青空、海が一体となった素晴らしい景色が広がっていました。島の大きさも散策するのに丁度良かったです。

島から眺めた橋
海岸

開けた砂浜に着いて、朝も早かったしゆっくり休みたいと感じていたところ、野宿用のレジャーシートがあったことを思い出しました。
芝生の生えている部分に敷いて、自然に囲まれ時折聞こえる波打つ音とともに2人で30分ほど寝ていた時間は、人生でも有数の幸福感に満ち溢れた瞬間でした。

ところで、帰路をどうするか話し合ったところ、僕らは同時に「夜行バス」と答えが一致(笑)。行きのヒッチハイクで非常に満足してしまったこともあります。
松島から仙台駅に戻ってバスに乗車し、一本で東京まで行けるありがたみを実感しながら帰宅しました。

エピローグ

この旅を経て感じたことが、大きく2つありました。

①旅程

2泊3日で、行きはヒッチハイク、2日目までに到着し、3日目に観光、帰りは夜行バスという旅程はかなりおすすめです。
ヒッチハイクも往路のみなので余裕ができ、観光も1日あれば大体そのエリアの有名な場所は回れて、交通費も当然安く済みます。ただ、もちろんヒッチハイクだけで目的地に行けるかどうかは分かりませんが。

②家族連れに乗せていただいた時の難しさ

前回と今回どちらも、5人以上のご家族に乗せていただく機会がありました。ただ、相手が1人や2人の時と比べて、車内での会話を盛り上げるのが難しいなと感じました。

前者であれば、たくさん質問して深掘りしたり、たまに自分の話を交えたりして、自然に会話が続きます。しかし、後者の場合、全員がヒッチハイカーを歓迎しているかどうかが分からず、話したくない方もいるかもしれません。かといって、明らかに歓迎してくれてる方だけと会話をすると、他の人が退屈することもあります。

うすい会話にならないよう深掘りもしながら、均等に話題を振りつつ共通のテーマを引き出す、このバランスが非常に難しかったです。
さらに、家族という既に出来上がっている大人数の関係性に入り込むことも中々大変でした。

乗せてもらった以上絶対に楽しませないといけないので、この点は自身がさらに改善すべきだと気づくことができました。


ともあれ、今回の旅はとても順調に進行。
包食行為をしているにすぎない僕らを乗せてくださった方、絡んでくれた方には本当に感謝しかありません。

今後も、これ以降に行った国内ヒッチハイク旅や、乗せてもらうコツ・出発地の選び方などヒッチハイクに役立つ記事を投稿していくつもりです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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