今と昔

いま、長野県上田市でワイン用ぶどうの栽培をしている。農業だ。

なんでだろう? と疑問に思ったことはないが、

ときどき、昔の自分と何ひとつ係わりがないことを思いだし、ちょっと不思議な気分もある。

神奈川県藤沢市で生まれ、中学まで行動範囲は家の周辺域のみ。

高校が鎌倉だったので、初めて市外に出るようになったが、近隣の横浜にも行ったことがなかった。

大学で初めて東京へ。そのまま東京で社会人へ。そして東京郊外のアパート住まい。

結婚してしばらくしてから横浜に転居。仕事はずっと東京。

その間、長野県との繋がりは皆無。

長野県に移住する人には「山が好き」という方が多いが、ぜんぜん興味が無い。

そんなわけで、親戚はおろか誰ひとり知人もおらず、縁もゆかりもないこの地に住み始めたのは2013年だ。

生来、複数の事々を器用にこなすことができないからか、ひとつの事に集中しがちだ。勉強も努力も情報も偏りがち。いきおい、見落とし、見識不足、欠落する部分が多くなる。そのくせ、新しい刺激は大好物だ。

しかも、両親のDNAを素直に受け継いだため頑固さが身の内に潜んでいる。だから、偏屈な人間になる。

いまの若い方々には恨まれるかもしれないが、こんな自分のような人間でも、社会研修の期間が甘かった時代だったのが幸いし、色々失敗しながらも人並みの生活・精神は保てていたと思われる。

自分は何をやっても突出した才能がないのだが、もし神様が何かを与えてくれていたとしたら、体力と集中力かな。そして鈍感さも。

あと、不器用にしてくれたこと。好きなことを少しにしてくれたこと。

迷わずにすむ。

だから、今も昔も、走り続けるだけ。

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