見出し画像

オリエンテーリングの四面体~戦略論~

■オリエンテーリングにおける戦略とは

オリエンテーリングにおける戦略とは何でしょうか?
例えば、レース前にたてた「今日はミス率は下げる」という目標は戦略と言えるのでしょうか。
オリエンテーリングにおける戦略がまだしっかりと議論されたことがないと思うので、ここで書きたいと思います。

早速ですが、僕が考える戦略とは

レースで掲げた目的を効率よく達成するための方針

である。この定義からオリエンテーリングの戦略とはなにか。立てるためにはどうすれば良いのか、そしてオリエンテーリングの技術論の全体像の俯瞰をしたいと思う。

自分なりの戦略を立てられるようになれば、あなたはより勝負強くなれるかもしれない。

そんなことを期待してくれた読者の方に、この難解で理屈ぽい記事を読んで見てほしいと思っている。

■戦略を噛み砕いてみよう

レースで勝ちたいと思うタイミングがあるだろう。○○さんに勝ちたい、優勝したい等々。
ただ、その達成したいと思う目的は、何をしても100%達成できるというものではないだろうし、もしかしたらすこし背伸びをしたものかもしれない。

そしてまた、目的達成のために使える自分の技術や体力は限られている。当日レース前の5分間で体力が上がったりはしない。

自分が使える資源(技術や体力など。競技者が使えるものはすべて資源と呼ぶ)は必ず限られていて、資源の使い方の巧拙で目的を達成できるかどうかが決まる。

この「目的達成のための資源利用の指針」が戦略である。

戦争での戦闘でいえば、目的=勝利を達成するために、持っている資源=お金、武器、兵士等々を効率よく運用する指針である。

また、オリエンテーリングでも同じように、コントロールにたどりつくという「目的」に、様々な「技術」(例えば、コンパス直進、線状特徴物をたどる、リロケート、登坂力、不安のコントロール等々)を使っている。

ただし、ここでお話する戦略は、あるレッグで確実にコントロールにたどりつく「目的」達成のための使い方を示すナビゲーション戦略ではなく、
もう一つ上の階層の、「レースで早く走り勝つために、使えるものすべての『資源』を活用する」指針、オリエンテーリング戦略の話をしたい。


戦略があると何が良いのか

利点①成功確率があがる
成功確率が上がるということはつまり、失敗確率が減るということである。失敗の理由から説明していきたい。失敗した理由は次の内どれかになる。

①資源に対して目的が高すぎた。目的に対して資源が少なすぎた
②資源は十分であったのに、組み合わせ方が悪くて資源を十分に活用できなかった。


①は目的設定と資源獲得の問題の問題である。戦略を立てるには目的と資源の棚卸が必要で、その過程で目的と資源のバランスを正しく把握できる。戦略を早めに立てれれば、足りない資源を獲得することができ、失敗を避けれる。

また、目的を下げて達成できる最大限の成果を出すことにつながる。
同時に資源の棚卸をすることで、適切な資源の組み合わせ方が見えて、②の失敗も少なくできる。それによって、成功確率が上がっていく。

利点②経験値を獲得できる
目的が達成できなかった場合、それは既に戦略が破綻している。ただ、「こうやったら失敗」するという知識は、失敗の経験を通じて獲得した資源だと言える。同じ失敗を繰り返さない。


利点③勝負強くなれる
 勝負強くなれるに関しても、勝負弱いとは何かから考えていきたい。勝負弱いとは次のいづれかもしくは両方である

①重要な勝負の場面で、普段より力が出せない状態
②重要な勝負の場面で、周りがより力を出している状態

①は、プレッシャーがかかる勝負の場面で、心理的に乱れが生じて正しく資源を活用できなくなっている状態である。これも戦略を立てる際に資源の棚卸をすることで、自分自身を客観視=メタ認知することができるようになってくる。自分自身を客観視できるようになれば、勝負の場面でも心理的な乱れを抑える、もしくは乱れた状態を自覚して、その状態を踏まえた戦略に立てなおすことができる。

②は周りが勝負に向けて、普段より高い目的を達成できる戦略を練ってきた状態である。これに対抗するには、自分自身もより高い目的を達成する戦略を立てることで対抗する必要がある。


戦略的な選手は、戦略を立てることでより多くの成功を意識的に引き寄せているである。


 今年のインカレロングで優勝した小牧選手は優勝インタビューでこう答えていた。
「ビジュアルで1位でないことが分かったので、後半ギアを上げた」
 これも、小牧選手の目的=優勝のために、ビジュアル前までの資源の使い方を続けていては勝てないと判断し、資源の切り方の方針を変えた。と言い換えることができるだろう。

ポイント:戦略とは、目的達成のための資源利用の指針である。

■オリエンテーリングにおける目的

実際に戦略を強力なツールとして使いこなしていくために、「目的」と「資源」という二つの構成要素を十分に理解することが重要である。 
ここではまずはオリエンテーリングにおける目的から考察していきたい。

いい目的とは?

始めに、いい目的とは何かを考えたい。
それは、曖昧さがなく、自己目的化して手段ではないもの、つまり明確で最終的に達成したいことである。 例えば、レース前にたびたび「このレースの目標/目的は何?」「ミスをしないことです」という会話がなされることがあるだろうが、それはいい目的だろうか?。
いい目的を確かめる方法は簡単な2つの質問をすればいい。

①仮にその目的が達成されたとして、満足するか?  
②その目的を達成するために、次に何をすればいいかすぐ答えられるか?

「ミスをしないこと」はどうだろう。確かに、ミスをしないことそれだけで満足することは多々ある。
ただ、もし仮にあなたがレースで達成した結果があるなら、そちらの方が重要な目的である。ミスをしたって、優勝できればうれしい。

 また、「ミスをしない」ために、何をすればいいかすぐ答えらえるだろうか。なかなか難しい。10分ミス?1分ミス?そもそもミスって何か?それが明確でないと次のアクションにすぐには結びつかない。

そんな時はより具体的に、特に数値で測定できる指標に落とし込もう。
例えば、僕は4年生のインカレロングのセレクションの時は、「E権は○位まで、過去5年のタイムでいうと○○%~○○%、今回の優勝予想タイムなら○○分。確実に通過するには○○分をバッファーが欲しいので、○○分で走る」と目的設定をしていた。

オリエンテーリングにおける最も明確な目的

さて、オリエンテーリングで最も明確な目的は、タイムである。競技者は皆、より速いタイムを目指して走っている。 

 ここで、タイムを競うスポーツに普遍的な式を提示したい

t(タイム)=s(距離)/v(速度)

簡単な式だが、ここから多くのことが語れる。


また、先ほど出たミスについてもこの視点で分析できる。

①距離(s)が想定よりも伸びてしまうミスのルートチョイスミス
②ルートが維持できずプランしたルートから外れてしまうミス(いわゆるミス)という種類がある。
③一方で速度(v)に関するミスもある。現在地が不安になり減速or立ち止まってしまうミスだ。
一概にミスと言っても、どの種類のミスかによって対策は異なってくる。


さて、戦略の話に戻ると、タイム(t) を短くするという目的は(実走)距離(s)を短くするor 速度(v)を速くする二つの小目的に分解できる。

この二つの小目的を達成する戦略を組み立てる必要がある。

距離と速度と曖昧さ

ここで距離(s)と速度(v)の関係を考えたい。 距離(s)を短くしようとすればす、そのルートは難しくスピードは上がりにくくなり。スピードを上げれば上げるほど、ミスをしやすくなって距離(s)が伸びることが頻発する。
そして、その関係を媒介する変数が、「曖昧さ」である。


ここでいう「曖昧さ」とは自分の現在地がどれだけ明確かの度合いを言う。

例えば、簡単な道周りのルートやコントロールにいる時は「曖昧さ」はゼロである。一方で、現在地がわからなくなるにつれて「曖昧さ」が上がり、最後は完全に現在地を見失う。

距離(s)が短いルートを選ぶほど、現在地がわかりにくく(=「曖昧さ」が高く)なり、「曖昧さ」が高まると不安でスピードが下がっていく。
 また、スピードが上がると、現在地が把握が難しくなり、「曖昧さ」が高まる。するとプランと異なるところに行ってしまい距離(s)が伸びる。
「曖昧さ」が媒介してと速度(v)の関係が作られている。


ポイント:タイム(t)を縮める大目的の達成の為に
小目的の①距離(v)の最小化②速度(v)の最大化を
③「曖昧さ」をコントロールしつつ、達成する必要がある。


■オリエンテーリングにおける資源

目的の次に戦略のもう一つの構成要素である資源について考えていきたい。
資源はいわば使えるものはなんでもである。
ここで、オリエンテーリングにおける重要な資源について考えていきたい。

ナビゲーションテクニック(「技」)
オリエンテーリングで競技者が使える資源は何か。
ひとつはナビゲーションテクニックだ。ルートチョイスも、リロケートも、直進も、地図とコンパスから生まれたナビゲーションテクニックである。
この資源は使っても減る事はない。

フィジカル(「体」)
次は身体能力の部分だ。以下の2つに分類できる

①ベースとなる平地での持久力とスピード
②不整地を走る上の身体テクニック


フィジカル 「体」は、レース中に使えば使うほど基本減っていく。フィニッシュまで、使い切らないようにするのが肝要。

メンタル(「心」)
「技」「体」ときたら、次は「心」である。これは不安のコントロールや、最後まであきらめない気持ちなど、が入る。メンタルは複雑で、減る事もあれば回復することもある。
量よりも、むしろ、緊張や不安、パニックでうまく資源を使えないことが起きるのが特徴だ。

もう一つの資源
「心」「技」「体」。これらはオリエンテーリングにおける資源である。 
だが、競技者がオリエンテーリング中に使える資源はこれだけなのだろうか。 

僕は、これらに加えて「時間」がオリエンテーリングにおける特徴的で重要な資源だと考えている。
競技者には競技時間が与えられている、その競技時間をある意味使って、地図を読んで身体を動かしている。その時間という資源の残り時間を競っているともいえる。
そして、この時間という資源が重要なのは、「技」を使うために「時間」も使う必要があるからである。

より具体的に考えよう。

 地図を読んで、ルートチョイスやプランをするとき、時間が流れる。0秒で地図を読むことはできない。地図を読むために「時間」をかけると決めてはじめて、地図から情報を得ることができる。
走りながら地図を読んでいれば時間を使わないと思うかもしれないが、地図を読めば「速度(v)」が落ちている。目的の章で「速度(v)」下がれば「タイム(t)」が増えることを示したが、地図を読まないで走った場合と比べ「時間」を使っているということである。

これは本質的に他の競技と異なる。陸上で、スピードを上げるために時間を使って身体を動かすということはしない。「体」が必要なのはエネルギーであって、「時間」ではない。ナビゲーションテクニックという「技」の資源を使うオリエンテーリングだからこそ、「時間」が重要な資源なのである。

そして、この「時間」という資源は扱い方が難しい。なぜなら、時間は資源であると同時に目的でもあるからだ。 時間を使うことは、時間をなるべく残すという目的と反対の行為である。

コントロールについた時、はやる気持ちのままプランに時間をかけず走りだし、結果ミスをしてしまった経験があると誰しもあると思う。

ポイント:オリエンテーリングで重要な資源は「心」「技」「体」「時間」

■目的と資源の関係

オリエンテーリングの目的と資源にそれぞれについて分析してきた。
続いて、それぞれも目的のために、どの資源を使っていく必要があるのかを整理したい。 

距離(s)を短くするために使う資源
距離(s)を短くする目的のためには「技」と「体」の資源を使っている。
「技」:①ルートチョイスと、②ルート維持の技術(正置と直進、特徴物のラインを辿る、特徴物を目視)→ここの「技」は多様。
「体」:①ルート維持の技術(藪や斜面に負けないように維持する)

ここの技が一番多様である。また、ルート維持でエラーをすると曖昧さが増加する。エラーを起こさないように、精度を正確に把握することが肝。
また、テレインによって使うべきものを適切に繰り出すのがポイント。

速度を上げるために使う資源
速度(v)を上げることを目的ためには、「体」と「心」の資源を使っている。「体」:エンジンの役目。
「心」:アクセル・ブレーキの役目。
身体的な能力を、いつ、どこで、どれくらいの「速度(v)」に転換するかを「心」で決めている。

高速道路で性能的には180㎞出せる車に乗っていても120㎞までしか出せないのと同じように、「不安」がブレーキをかける。一方「自信」や「過信」がアクセルを踏む。
そして、緊張や焦りといった「心」の乱れは、アクセルとブレーキの踏み間違えを起こす。
「不安」ブレーキを踏む回数を減らし、事故らず駆け抜けるのがポイント。
(「体」のエンジンについては、二俣くんのアドベントカレンダー、「心」の不安については国沢さんのアドベントカレンダーを参照)

曖昧さを下げるために使う資源
曖昧さを下げることためには、「心」「技」の資源を使っている。
「心」:センサー。不安という形で認知
「技」:事前のルートプランニングとリロケートの2大技術。

ここでのポイントは目的の曖昧さ(A)のコントロールは、速度(v)の低下との増加には繋がる一定の閾値を超えないようにすることだ。その閾値までは曖昧さ(A)を許容することができるので、ここに様々なスタイルが生まれる。
また閾値は「不安」センサーが感知するので、センサーの感度の上げ下げで、速度を調整できる。
(この「技」のスタイルについては北見くんの「戦術論:オリエンテーリングスタイルとは?その必要性と分類」を参照)


「技」を使うために使う資源

「技」は「時間」を必要とする。「技」の選択も重要だが、そもそも「技」をいつ、どこで使うかを決めることがその全体になる。ポイントは二つ
・時間の投資効率を把握
・速度(v)調整でコントロール


「時間」を使った分がどう、タイムに反映されるかの投資効率を把握して、決断できるようにする。
また、「時間」の使い方は速度の調整という形で行うため、減速をためらわない思考回路を準備することが重要である。

■戦略構築の具体例

取り上げるレースは2018年の駒ケ根インカレロングである。
僕は4年生最後のレースで入賞したいと思っていた。
MEは10.1km優勝設定75分のコースであった。

目的設定
入賞ライン=80分と想定。
①距離(s)かかさむようなミスはしにくいので、そちらは特に考えず、速度(v)は75分÷10.1km≒キロ7.5が、タイム80分でも要求ラインとざっと目的を落とし込んでいた。

②別の視点として、地図が読んで冷静に判断ができる速度(v)を平地で計っていており5:30程度と算出していた(地図読み走と、レースでの心拍数から算出。)。キロ5:30×10.1≒約55分は最低速度(v)の面で使っていまい、「技」の方では「時間」を25分程度しか使えないと想定。
後は、ポストで止まる時間が○○秒だから合計何分はそれで、、、など、目的をより細かい指標に落とし込んでいた。

②自分の資源の把握
「体」の資源や「技」の資源を時間ベースで評価したり、目測の精度や直進の精度を数字で出していた。また、それぞれの「資源」を動作レベルまで分解して、何がズレると狂うかなどを分析して、正確な資源の把握に努めていた。
例えば、直進だと次の通り。

コンパスと地図の合わせ方/コンパスの手首の角度/手首に合わせて腰が自動的に動くか/腰が動くことで脚がしっかり前にでるか/ルックアップをする/最初の一歩の方向/障害物をよけるときに右と左どちらでかわす傾向があるか/かわした後のコンパス確認/藪の中を抜けたとき等のルックアップ/コンパスを見る回数/何mズレるか。

そうすることで自分の資源の精度を、ほぼ正確に把握していた。
加えてレース前の準備としては、「技」の「時間」コストを下げること注力。

例えば
・お絵かきOや読図走で読図にかかる時間を下げる。
・事前のレッグ予想で、このエリアからこのエリアのレッグならどのルートを通るかというのを決めて、ルートチョイスの「時間」コストを下げる

(この「技」の「時間」コストの下げ方は宮西さん谷野くんのアドベンドカレンダーに詳しい)

そういった、資源の把握と錬磨を通じて、自分のオリエンテーリング戦略を次のよう組み立ていた。

目的から逆算
距離が伸びるようなミスはできない上「技」に使える「時間」も限られる。

方策①
リロケートを中心に「時間」のコストが低い「技」が多い。
「技」で「曖昧さ」を下げる。
※一つの資源の正確さは並、手数を増やす

方策②
「時間」を経験値からどのようにいつ使うべきかわかっているので、それに合わせて速度(v)をコントロールし、「時間」を使いすぎない。

方策③
勝負どころは不整地を走るテクニックがあるので、下りのレッグ。
そこではリロケートとメンタルコントロールの強みを生かした、
不安センサーの閾値を上げる「心」の資源も使える。

以上のような戦略を立ててレースを走った。

実際のレースにはトラブルが付きもので、一本目のロングレッグでは行先のコントロールを見間違え、負けルートをとってしまった。
対策の通りの選択でベストルートと信じて疑っていなかったので、気が付いた時の「心」へのダメージは大きかった。泣いた。
が、先輩からの激励の言葉と、立てていた戦略を思い出し、
後半のロングレッグ(下り)を勝負どころとして、1位ラップをとることが出来た。
それによって入賞圏内に入り、最後まで粘って4位になった。

以上が、僕が勝負強かった時のレースの戦略の構築である。

勝負の場では、「技」の切り方へのコースの要求は高く、「体」もベストでないことや、圧倒的な「体」を持つライバルもいる。また、緊張やトラブルで「心」を普段通り切れないこともある。
そうした中で、すべてをコントロールして資源を切り続ける選手が結果を出せる。そのためには、戦略を持つことが欠かせない。

■オリエンテーリング戦略構築の手順

レースの目的設定
戦略を立てるためには、まず自身が達成したいと思える結果の目的を設定することだ。

おすすめの方法は次の2つ。
速度(v)はどれだけ出す必要があるのか
「技」に使える時間はどれだけか

※結果ではなく技術の習得を目的にする際は「練習」として取り組み、レースでは結果の目的を達成するため準備をしよう。

資源の把握
次に自分の資源を精緻に把握することをする。
①レースや練習で反省
得意なレッグ、苦手なレッグがあるだろう。それを一つづつ丁寧に反省し、「資源」の棚卸をしよう。
※増澤さんの「ミスの分析について-アナリシスを深堀する-」が詳しい。

②自分が「資源」を細かく動作レベルまで分解
動作レベルまで落とさないと、人は意識的にコントロールできない。動作レベルに落とせば、「資源」がどういう条件では発揮しにくく、どういう条件なら発揮できるかわかる。また精度をはかろう。

③ひたすらオリエンテーリングをしまくろう。
上の二つが分析的過ぎて面倒な人は、トライアンドエラーを繰り返しながら、感覚的に自分の得意な資源、苦手な資源が認識できるようになる。

戦略の構築
目的を達成するための、資源の出し方を考えよう。ここが一番楽しいところなので、楽しんでやっていく。

①自分の強みを軸に立てていこう。
②強い組み合わせを複数考える。
曖昧さ(A)を意識的にコントロールでき、速度(v)を上げられ、距離(s)も短くなるというパターンを複数考える。
 ※おすすめの方法として、○○選手ならどうするかを考える。
  僕は、稲森選手になりきり、物まね練をやっていました。
  (整地するときの脇のしめ方の真似とかもしてました)
③最後に文章化
文章にすることで戦略が明確になる。また書き出すことで、戦略を客観視できる。レース中に不足の事態が生じた際にも、焦らず現状に合わせてこのままの戦略で巻き返せるのか修正が必要か判断できる。

戦略の反省
最後に、よりうまい戦略を立てていくためにはレースの反省をしよう。
ポイントは、

①○○の技術がうまく出来なかったから、ミスをしたという「資源」の不足という反省をしない。
②今持っている資源でうまくそのレッグをこなすための「資源の使い方」がどうだったのかを評価する。
 ※特に、そもそも「技」を切るための「時間」の資源が使えていないことが多い。
得意なパターンを把握し、それを次の戦略とする。
 これで、成功確率を高めていくことができる。


最後に~オリエンテーリングの四面体~

ここまでオリエンテーリングの戦略について述べてきた。最後に、オリエンテーリングの目的と資源(ナビゲーションテクニック、フィジカル、メンタル、時間)を再度整理してみたい。
まず、目的に関して、タイム(t)、距離(s)、速度(v)、曖昧さ(A)は、タイム(t)を頂点とする四面体で書いてみたい。

タイム(t)を決めるのは距離(s)と速度(v)で。距離(s)と速度(v)は曖昧さ(A)を高め、曖昧さ(A)は距離(s)は速度(v)に負の影響を与える。

画像2

続いて、資源の時間、心、技、体も同じく、時間を頂点とした西面体で書いてみたい。こちらも、技は時間を使って発揮されるとのことだった。

画像3

そして、これらは一つの四面体で表せる。

画像4

タイムと時間は頂点を共有し、技と体の間に距離(s)が、体と心の間に速度(s)が、心と技の間に曖昧さ(A)が来る。

そして、それぞれの関係もこの図に入れ込むと、次のようになる。

画像5

青はタイムを少なくするという基準において正の影響、赤は負の影響を表している。
例えば、曖昧さ(A)の上昇は、誤った現在地の把握(技の誤作動)を引き起こし、距離(s)を伸ばす。それに対して、対応するために時間をコストに技を使って、曖昧さ(A)を低下させる。という具合に関係を説明できる。

ここから言えることは、他のタイムスポーツは心技体と時間の速度(v)だけで、構成されるのに対し、オリエンテーリングは曖昧さと距離(s)の自由を手に入れて、それぞれ影響し合いながら、バランスをとっているということだと思う。
こうして整理しみたときに時に、オリエンテーリングというスポーツはなんて調和のとれた美しいスポーツなんだという感動を覚えた。

そして、オリエンテーリングの戦略とはこの四面体の中で、いかにうまく、心技体と時間を組み合わせることができるかということなのかもしれないと思った。


最後に、この記事を通じて、皆さんに何か一つでも、オリエンテーリングのレースをよりうまくこなすヒントを届けれてれば何よりです。


※本当はどうやって、オリエンテーリングの戦略を立てれるまでの成長手順を、資源の強み別で話したかったのですが、「時間」が切れてしまったので、またの機会に。
※戦略論については「なぜ『戦略』で差が付くのか」を多大に参考にさせていただきました。より深く戦略を考えたい人は是非とってみることをお勧めします。マーケティングの戦略を題材にしていますが、オリエンテーリングに置き換えて読むと発見が多数です。
 ※本当は、もう一つ別のテーマでも書きたかった。そちらもオリエンテーリングの魅力に迫ることを狙った記事だったので、またいつか書きます。
※四面体のアイディアは、『料理の四面体』という昔読んだ本から。  料理を体系だてて整理している、すごい本なので是非読んでみてください。
刺身はサラダと同じ出そうです。
去年に引き続き、料理に結び付いた。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?