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『パラサイト』には敵わない

先日、ようやく映画館で『パラサイト』を鑑賞した。
正直観るまではどんなもんなの?と舐めてかかっていたけれど、想像の斜め上を行くストーリー展開とジェットコースターのようなスピード感に脱帽した。
こりゃ、アカデミー賞も取るわと納得。

特に優れていたのが構図とメタファーだ。
レビューサイトに山ほど考察が書かれているけれど、本当に全ての場面にそれぞれ意味が込められていて無駄なシーンなんて一つも無かったように思える。



そして私は、こういう構図へのこだわりが、日本の映画にはまだまだ欠けているのではないかと思う。

(あくまで個人の見解だけど)

もちろん日本にも沢山良い映画があって、面白い作品を作る監督さんも沢山いる。
『パラサイト』に負けないくらい、社会のリアルを巧みに切り取っている作品とか、人間の深い闇を生々しく描いている作品も沢山ある。
優れているからこそ、是枝さんや河瀬直美さんなどなど、沢山の監督が世界でも評価されているのだ。

でも、ヨーロッパの賞を獲得できる日本映画が、アメリカのアカデミー賞を受賞できないのは何故だろう?


きっと答えはこれだ。
『ハリウッドっぽいか、ぽくないか』

ハリウッドの作品では、ちょっとしたモチーフが今後のストーリー展開を暗示したり、構図の切り取り方が物語の核心をついたりする事が多い。
マーティンスコセッシ監督の『タクシードライバー』を初めて観た時、その画面の切り取り方や登場人物の写し方に驚かされたほど。
物語をセリフと音だけで紡ぐのではなくて、画面いっぱいを使って表現する。
それこそがハリウッドの映画だ。

そして『パラサイト』を観て思ったのは、構図の使い方やメタファー、伏線の張り方がハリウッド映画とよく似ているという事だ。
一度観終えた後にもう一度よく観て確認したくなるような、そんなわくわくする面白さ。
それはまさにアメリカ人が好む、アメリカらしい映画と言えるだろう。


でも、構図を巧みに利用したり、何らかのメタファーとして象徴的なモチーフを扱うのって、日本映画ではあまり見た事がない。
むしろ日本は、ストーリーと役者の演技、そして映像の美しさに重きを置いているのではないだろうか?
日本の映画で複雑な伏線は張られているのは目にしても、メタファー的表現を目にする事はほぼないのだ。少なくとも私が知る限りでは。


とにかく『パラサイト』は、アカデミー賞を取るべくして作られたと言える。
きっとそれは、ポンジュノ監督の努力の賜物だろう。彼は沢山のハリウッド映画を何度も何度も見て研究してきたはずだ。壇上のスピーチで名を挙げたマーティンスコセッシ監督の作品からも、もちろん影響を受けていたはず。

一方日本映画は、アート好きなヨーロッパで好まれる。映像があまりにも美しくて、彼らの感性を揺さぶるからだ。でもどうやら、アメリカ人のタイプには合わないみたいだ。

いつかポンジュノのような、ハリウッド作品ヲタクな映画監督が日本にも現れる事を願って…

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服と旅と珈琲が好き。あと映画も。
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