『企業法務1年目の教科書 契約書作成・レビューの実務』ができるまで

出版に至る経緯

2024年2月16日に『企業法務1年目の教科書 契約書作成・レビューの実務』を中央経済社様より出版させていただきました。
以下のツイートにあるように、この書籍は、私が出版の予定もないまま12万字の原稿を書き(※最終的には出版が決まってから加筆したので17万字強)、その原稿を自ら出版社に持込みを行い、出版に至ったものです。

なぜ出版の予定もないのに原稿を書いたのか

出版の予定もないまま12万字の原稿を書くのは自分でも相当変わっていると思うのですが、私が頑張って原稿を書いたのには私なりの理由があります。
それは、私自身が、ここ何年も一貫して持っている、「過去の自分のような人の役に立ちたい」という想いです。

話は少し脱線しますが、私がかつて立ち上げに関わったローヤーズインフォ(※現在は関わっていません)も、また、私が一昨年立ち上げたクロスローネットも全く同じ想いで立ち上げたものです。

※ローヤーズインフォ立ち上げの想いについてはこの記事で語っています。

※クロスローネット立ち上げの想いについてはこの記事に書いています。

実は、この本も過去の自分(と似たような境遇にある人)のために書いたようなものなのです。

過去の自分の経験

私は、弁護士としてのキャリアのスタートはいわゆる新興系事務所で、一般民事・家事・刑事事件を中心に取り扱ってきました。
弁護士5年目になったところで、企業法務系事務所に移籍し、それ以来、(出向や留学も経験しつつ、)現在まで企業法務を中心に取り扱っています。
よく「一般民事から企業法務への転職は難しい」などと言われますが、私はまさにそのパターンなのです。

私が移籍したのは上記のとおり「弁護士5年目」ですが、「弁護士5年目」ともなると、もはや新人ではありませんので、移籍後の事務所でもある程度即戦力としての貢献を期待されます。
率直に言って、移籍時点の私は、企業法務の経験はほとんどないといっても過言ではない状況でした(企業をクライアントとする案件はある程度経験はありましたが、債権回収等の紛争系が多く、契約書レビュー等の経験はほとんどありませんでした。)。
そのため、当時の私は、企業法務のやり方を身に付けつつ、5年目の弁護士として期待される価値を提供しなければならず、振り返ってみると、なかなか大変な経験だったと思います。

ある日のやりとり

こんな感じで四苦八苦しながらも企業法務弁護士の経験を積み、気が付けば一般民事を取り扱っていた期間よりも企業法務を取り扱っている期間の方が長くなっていました。

そんなある日、同期の某弁護士(以下「甲」といいます。)に、話しかけられました。以下、その会話を再現します。

甲:「幅野って、企業法務系事務所に転職するとき、契約書レビューのやり方ってどうやって勉強した?あべいくぼのやつ(※阿部・井窪・片山法律事務所編著『契約書作成の実務と書式 企業実務家視点の雛形とその解説』のこと。)を通読したりした?」

私(幅野):「あべいくぼのやつは移籍してから業務の中で何度も参照したけど、通読したことはないよ。そういわれると、あんまり学習用に読んでおくべき本って思いつかないね。」

甲:「そうなんだよね。なんかいい本ないかなぁ。」

まあ、会話の再現度は低い気がしますが、だいたいこんな感じの会話をしたことは事実です。

ここで、甲がなぜ私にこんな質問をしたかという背景を説明します。
甲は、ある若手弁護士(以下「乙」といいます。)の相談にのっていました。乙は、かつての私と同じように、一般民事から企業法務への転職を予定していました。そのため、甲は、「移籍前の準備としてやっておくべきこと」を、乙にアドバイスするための参考意見を私に求めたのです。

乙と過去の自分が被った

聡明な皆さんはもうお気付きかと思いますが、私の中で、乙の境遇が、まさに過去の自分の境遇と被ったわけです。そのため、私が常日頃から抱いている「過去の自分のような人の役に立ちたい」という想いの琴線に触れてしまったのです。
「この本を必要としている人がいるはず」という事実だけで私が行動を起こすには十分でした。出版できるかどうかは二の次です。そして、私は、一旦スイッチが入ると止まりません。出版の予定もないまま、12万字の原稿を書き上げたのでした。

おまけ

書籍に関することはまだまだ書けることはたくさんあるので、また気が向いたら書いていきます。
最後に宣伝になりますが、Amazonと楽天のリンクを貼っておきます。

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