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(19)おおきいばあちゃんとちぃばあちゃん

 ケンが大学に合格した年の12月に、同居していたおばさん(お義母さんの妹)が亡くなりました。享年88歳。その半年後に、後を追うようにお義母さんもこの世を去りました。享年93歳。
おばさんにはケンが大学に合格し、元気に通学しているところまで報告できました。そしておばさんは、「リュウはリュウで今蓄えている力を発揮する時が必ずくるから心配することはない。」と私を励ましてくれました。
 晩年、車椅子生活になってしまったおばさんは、ケンやリュウにその姿を見られるを嫌がっていました。それでも顔を合わせれば
「ケンちゃんもリュウちゃんも結婚するなら、お母さんみたいな人と結婚しなさいよ。あなたたちのお母さんは、本当に素敵な女性なんだから。」
 と、何度も話してくれました。しかし、かたや中庭をはさんだ母屋では、日々、親子喧嘩が繰り広げられ、お互いの気持ちが理解できないまま殺伐とした空気が流れていました。
 認知症のお義母さんは、長女のメイの認識はありましたが、なぜかケンとリュウはいつまでも小学生のままでした。そのため顔を見るたびに
「え?もうこんなに大きくなったの?」
と驚いては、みんなを笑わせていました。おばさんは不登校やひきこもりになってしまったケンとリュウに、いつも優しかったのですが、お義母さんの「ケンとリュウはこんなに大きくなったのか!」と毎回驚くのも2人にとっては優しい認知症状だったな、と今でも思います。

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